ポールのアルバム:『ラン・デヴィル・ラン(Run Devil Run)』 その4
収録曲についての僕個人の感想を簡単に述べておこう。
記事の前半にも書いたが、1曲目の『ブルー・ジーンズ・ボップ』から4曲目の『ラン・デヴィル・ラン』までは完璧である。これでもかと畳み掛けるようにゴキゲンなロックナンバーが続き、興奮は1度『ラン・デヴィル・ラン』で頂点に達する。この『ラン・デヴィル・ラン』という曲はカバーアルバムに収録ということもあってか一般にはあまり知られていないのだが、僕自身は『ロング・トール・サリー』『アイム・ダウン』に並ぶポールのロックンロール曲の最高峰として高く評価している。
問題は5曲目の『ノー・アザー・ベイビー』である。この曲をどう捉えるかで、このアルバムに対する評価もかなり変わってくると思うからだ。僕自身に関していえば、発売当時ポールが無名かつ、ある意味冗長なこの曲をシングルカットしたことが許せなかったというイヤ~な思い出がある(笑)。しかも、両A面でカップリングされた曲がこれまたこのアルバムの中では比較的平凡な出来と思える『ブラウン・アイド・ハンサム・マン』だったから、その事がこのアルバム自体の評価を下げてしまったという側面を否定できない。
そして予想通りというかシングルはヒットせず(英:最高42位)、アルバムも中ヒットに終わった(英:12位、米:27位)。
僕はなぜ『ラン・デヴィル・ラン』をシングルにしなかったのかと不思議に、また悔しく思っていたものだ。『ラン・デヴィル・ラン』をシングルにしていればアルバムの注目度や与えるインパクトの大きさもまた全く別のものとなっていたはずである。ポールはまだこんなにもシャウトできる、ロックできるのかと世間の人はきっと驚いたにちがいない。そして仮に『ラン・デヴィル・ラン』ではなくとも、『ブルー・ジーン・ボップ』だって『ハニー・ハッシュ』だって『パーティ』だってよかった。他にもいい曲はいっぱいあったのにと思う。
『ノー・アザー・ベイビー』は全く無名の曲の発掘という点ではそれなりに意味はあったということになるだろうか。今では『ノー・アザー・ベイビー』と『ロンサム・タウン』はコンサートでいえばトイレ休憩、おっと失礼(笑)、ホッと一息タイムと捉えている。『ロンサム・タウン』はヴォーカルがすばらしい。ちなみに今は『ノー・アザー・ベイビー』はそれほど嫌いではない。
中盤から後半にかけてはロックンロールとはいってもかなりバラエティに富んだタイプの曲が楽しめる。このあたりはいかにもポールらしい。そしてアルバム後半だからと軽く見ていると損をするから注意。『アイ・ガット・スタング』『ハニー・ハッシュ』『パーティ』の3曲は冒頭の4曲に負けず劣らず破壊力抜群のナンバーだからだ。
僕はこれらカバー曲のオリジナルをほとんど知らないが、このアルバムにおけるポールの選曲は非常にセンスが良いと思う。たとえ有名ではなくてもこんなにもいい曲があるのだということをポールは僕たちファンに教えてくれたのだ。
最後に、ポールはこれらの曲を携え、伝説のキャバーンクラブで数十年ぶりにライヴを行なうというオマケまで残してくれた。もちろんライヴの出来は最高なので、このアルバムが気に入った人は是非ご覧になることをおすすめする。(完)
参考:
ラン・デヴィル・ラン(CD)
ライヴ・アット・キャバーン [DVD]
記事の前半にも書いたが、1曲目の『ブルー・ジーンズ・ボップ』から4曲目の『ラン・デヴィル・ラン』までは完璧である。これでもかと畳み掛けるようにゴキゲンなロックナンバーが続き、興奮は1度『ラン・デヴィル・ラン』で頂点に達する。この『ラン・デヴィル・ラン』という曲はカバーアルバムに収録ということもあってか一般にはあまり知られていないのだが、僕自身は『ロング・トール・サリー』『アイム・ダウン』に並ぶポールのロックンロール曲の最高峰として高く評価している。
問題は5曲目の『ノー・アザー・ベイビー』である。この曲をどう捉えるかで、このアルバムに対する評価もかなり変わってくると思うからだ。僕自身に関していえば、発売当時ポールが無名かつ、ある意味冗長なこの曲をシングルカットしたことが許せなかったというイヤ~な思い出がある(笑)。しかも、両A面でカップリングされた曲がこれまたこのアルバムの中では比較的平凡な出来と思える『ブラウン・アイド・ハンサム・マン』だったから、その事がこのアルバム自体の評価を下げてしまったという側面を否定できない。
そして予想通りというかシングルはヒットせず(英:最高42位)、アルバムも中ヒットに終わった(英:12位、米:27位)。
僕はなぜ『ラン・デヴィル・ラン』をシングルにしなかったのかと不思議に、また悔しく思っていたものだ。『ラン・デヴィル・ラン』をシングルにしていればアルバムの注目度や与えるインパクトの大きさもまた全く別のものとなっていたはずである。ポールはまだこんなにもシャウトできる、ロックできるのかと世間の人はきっと驚いたにちがいない。そして仮に『ラン・デヴィル・ラン』ではなくとも、『ブルー・ジーン・ボップ』だって『ハニー・ハッシュ』だって『パーティ』だってよかった。他にもいい曲はいっぱいあったのにと思う。
『ノー・アザー・ベイビー』は全く無名の曲の発掘という点ではそれなりに意味はあったということになるだろうか。今では『ノー・アザー・ベイビー』と『ロンサム・タウン』はコンサートでいえばトイレ休憩、おっと失礼(笑)、ホッと一息タイムと捉えている。『ロンサム・タウン』はヴォーカルがすばらしい。ちなみに今は『ノー・アザー・ベイビー』はそれほど嫌いではない。
中盤から後半にかけてはロックンロールとはいってもかなりバラエティに富んだタイプの曲が楽しめる。このあたりはいかにもポールらしい。そしてアルバム後半だからと軽く見ていると損をするから注意。『アイ・ガット・スタング』『ハニー・ハッシュ』『パーティ』の3曲は冒頭の4曲に負けず劣らず破壊力抜群のナンバーだからだ。
僕はこれらカバー曲のオリジナルをほとんど知らないが、このアルバムにおけるポールの選曲は非常にセンスが良いと思う。たとえ有名ではなくてもこんなにもいい曲があるのだということをポールは僕たちファンに教えてくれたのだ。
最後に、ポールはこれらの曲を携え、伝説のキャバーンクラブで数十年ぶりにライヴを行なうというオマケまで残してくれた。もちろんライヴの出来は最高なので、このアルバムが気に入った人は是非ご覧になることをおすすめする。(完)
参考:
ラン・デヴィル・ラン(CD)
ライヴ・アット・キャバーン [DVD]