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ポールの曲:『サム・ピープル・ネヴァー・ノウ(Some People Never Know)』

1971年に発売されたウイングスのデビューアルバム『ワイルド・ライフ』からの1曲。アナログLP時代は、僕はこのアルバムのA面を「ロック・サイド」、B面を「バラード・サイド」と考えていた。そしてA面は嫌い、B面は好きだったが(笑)、この曲はB面の1曲目に収録されていた。

ウィキペディア英語版によると、アルバム『ワイルド・ライフ』のレコーディングに費やされた時間はわずか1週間余り、『ビップ・バップ・リンク』と『マンボ・リンク』を除く全8曲のうちなんと5曲がワンテイクで録音されたそうである。『サム・ピープル・ネヴァー・ノウ』が1発録りであったかどうかは定かではないが、演奏も、ヴォーカルも、これが本当にポール・マッカートニーなのかと思うくらい雑でヘタクソな印象を受けてしまう。

前作『ラム』で聴かせた完璧に近いサウンドと比べると、まさに月とスッポン。昔からファンはこのあまりのギャップ大きさに驚かされ、悩まされ続けてきた。だが、ポールがこのアルバムをわざと未完成で、粗削りな作品として世に送り出したことは明白である。ポールは大切なソロキャリアの初期の段階において、大胆にも自らのブランドイメージをあえてぶち壊すという冒険に出たのだった。たとえそれが完全に真実ではないとしても、少なくとも一面的にはそれは事実であったと僕は考えている。(不思議な事に比較的新しいファンにはこのアルバムを評価している人が多い)

曲はリンダとの共作。ポールのヴォーカルはひょっとしたら音程が合っていないのではないかと思えるほど出だしからうわずって聞こえるし、演奏全体もなんとなくチグハグで切れがない(ちゃんと練習したのか?)。ポールとリンダのコーラスワークもこの曲に限っていえばあまり成功していないようだし、6分半という曲の長さも必要以上に長すぎるように思われる。

だがそれでも僕はこの曲が好きなのだ。なぜなら、この曲には必殺のメロディーラインが含まれているからである。

“Some people can sleep at nighttime, believing that love is a lie
I'm only a person like you, love
And who in the world can be right, all the right time
I know I was wrong, make me right, right”

冗長とさえ思えるこの曲の中に、突如として珠玉のメロディーラインが現われ曲の印象が一変してしまうのである。このメロディーの美しさは自分で口ずさんでみるとよくわかるだろう。自分で歌ってみて感動してしまう曲というのはそうそうあるものではない。

この手の甘ったるい曲は硬派のロックファンには毛嫌いされるのかもしれないが、僕のようなファンにとっては極上の逸品である。そして思う、やはりポールはソロになってよかったのだと。

『サム・ピープル・ネヴァー・ノウ』。この曲を僕は未完の名曲と呼ぼう。

参考: Wild Life(アマゾン・デジタルミュージック)

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