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アルバム『NEW』 独断的レビュー その3 - Macca Go Go Go! ポール・マッカートニーファンブログ・・・プラス!PLUS!+!

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アルバム『NEW』 独断的レビュー その3

『クイーニー・アイ』(ポール・マッカートニー&ポール・エプワース)
プロデュース:ポール・エプワース
ポール・マッカートニー:ヴォーカル、ギター、ラップ・スティール・ギター、ベース、ピアノ、モーグ(シンセサイザー)、シンセサイザー、メロトロン、タンバリン
ポール・エプワース:ドラムス

この曲も完全にマッカートニー&エプワースだけで作り上げられた逸品である。楽器はエプワースのドラムス以外はすべてポールが担当している。何も知らずに聴けば、この曲がたった2人だけでレコーディングされたとはとても信じられないだろう。僕はちょっともたもたした感じのポールのドラミングも味があって大好きなのだが、この曲でエプワースにドラムスを任せているのは大正解だと思う。

ポールは早くもこの曲をライヴのレパートリーの一つに加えているが、実際に生で聴いたこの曲の迫力は個人的にはスタジオ録音を遥かに上回るものであったことを付け加えておきたい。

ついでにポール・エプワースについて少し調べてみたので、この機会に簡単に紹介しておこう。彼はロンドン生まれの39才。今をときめくアデルの『21』でグラミー賞の最優秀アルバム賞、最優秀レコード賞、最優秀楽曲賞、最優秀プロデューサーなどを受賞し、今世界で最も注目されている音楽プロデューサーの1人である。彼は自らが優秀なミュージシャンでもあり、作曲、ドラムス以外に、ベース、ギター、キーボード、トランペット等を器用に弾きこなす。つまり今回の2人の共演はまるでポール・マッカートニーが2人揃ったような感じだったわけで、即興で曲がどんどん出来上がっていったというのもなるほど合点がいくのである。とかくプロデューサーにエプワースを迎えたことばかりが取り沙汰されるが、世界一の作曲家&マルチプレイヤーであるポールと一緒に仕事をした経験は、むしろエプワースにとってより収穫の大きい出来事だったのではなかろうか。

『アーリー・デイズ』(マッカートニー)
プロデュース:イーサン・ジョンズ(&ジャイルズ・マーティン)
ポール・マッカートニー:ヴォーカル、ギター、ビル・ブラック・ベース(エルヴィス・プレスリーが『ハートブレイク・ホテル』で使用した金色のベース)、ハーモニウム(オルガンの一種)、パーカッション
イーサン・ジョンズ:ドラムス、パーカッション
ラスティ・アンダーソン:ギター
ブライアン・レイ:ダルシマー(打弦楽器の一種)
エイブ・ラボリエル・Jr:コーラス

スローで淡々とした曲調はポールにしては珍しい曲の部類に入るが、聴き込むほどに味わい深い作品である。ポールはしゃがれた声をこの曲では逆手に取ってマイナスをプラスに転化することに成功している。まるで老人が若き日々を回想するかのような視覚的イメージが広がる。『NEW』はポールにしては詩がよいともっぱらの評判だが、『アーリー・デイズ』は詩の内容では、おそらく一、二を争うものではないだろうか。

ポールはこの曲でかつてリンダから贈られたというビル・ブラックのベースを使用している。バンド・メンバーもラスティ、ブライアン、エイブの3人が参加している。エイブのコーラスは今やマッカートニー・サウンドになくてはならないものになりつつあるのかもしれない。プロデュースはイーサン・ジョンズで、ジャイルズが追加で仕上げを行なっている。

『ニュー』(マッカートニー)
プロデュース:マーク・ロンソン(&ジャイルズ・マーティン)
ポール・マッカートニー:ヴォーカル、ベース、ハープシコード、ピアノ、メロトロン、ウーリッツァー(電気ピアノ)、コンガ・ドラムス、マラカス、ブズーキ(弦楽器の一種)
ラスティ・アンダーソン:ギター、ブズーキ、コーラス
ブライアン・レイ:ギター、コーラス
エイブ・ラボリエル・Jr:ドラムス、コーラス
ウィックス:コーラス
スティーヴ・シドウェル:トランペット
ジェイミー・タルボット:テナーサックス
デイヴ・ビショップ:バリトン・サックス

オリジナリティ溢れる、まさに世界でただ1人ポール・マッカートニーにしか作れない最高のポップソングであり、70年代、80年代であればモンスターヒットを記録したであろうニュー・マッカートニー・クラシックである。この曲の良さになんでもっと早く気付かなかったのか。お前は何年ファンやってるんだ、と今になって後悔することしきりである(笑)。今は個人的にはこの曲をビートルズの新曲としてもいいほどの高い評価を与えている。

ポールとバンドメンバーたちが様々な楽器を駆使して、古くて新しいサウンドを創り出した。バンドとしてこれだけの音が作れるのならば、ポールはもう一人きりのレコーディングにこだわる必要はないだろう(と思える)。プロデュースはマーク・ロンソン。『アリゲーター』とこの『ニュー』を聴くかぎり、ロンソンのプロデュースは音に厚みがあり、聴きごたえがあるという印象だ。この曲もまたジャイルズが追加でプロデュースを行なっている。

『アプリシエイト』(マッカートニー)
プロデュース:ジャイルズ・マーティン
ポール・マッカートニー:ヴォーカル、シガーボックスギター、キーボード、ドラムス
ラスティ・アンダーソン:ギター、ブズーキ、コーラス
ブライアン・レイ:ギター、バリトン・ギター、コーラス
エイブ・ラボリエル・Jr:ドラムス、コーラス
トビー・ピットマン:プログラミング

『アプリシエイト』もポールにはあまりないタイプの曲で、多分に実験的な要素も感じられるのだが、この曲に関する限り僕は成功していると思う。サビもカッコいいし、いろんなアイディアが満載で聴く者を飽きさせない。最後のギターソロはやってくれるな、さすがという感じ。確認したわけではないが、あの味はポールにしか出せないだろうと思う。「今日一日に感謝しよう」。ポールはさらっと実に重要なメッセージを曲に乗せている。やっぱすごいわ、この人。

プロデュースはジャイルズ。これまたまったく文句なしの仕事である。

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