涙、ただ涙…
なんというすばらしいアルバムだろう。
考え得る限りの成功と、栄光と、賞賛と、名誉の味を知り尽くした63歳のスーパースターが、このようなクリエイティブな作品を2度と再び私たちに届けてくれるなどと一体誰が想像しただろう?
少なくとも僕は全く予期していなかった。
今はただ驚きと、畏敬の念でいっぱいである。
このアルバムはポール・マッカートニーがビートルズ解散後に発表した作品の中で、最もビートルズに近い作品として位置づけられると思う。
アルバム全体を流れる独特の緊張感は、まさにビートルズそのものだ。
そして録音がとてもすばらしい。
ナイジェル・ゴドリッチは世界最高のプロデューサーの一人であることを、このアルバムで完全に世界中に知らしめた。
ジョージ・マーティンに勝るとも劣らぬ天才である。
そしてもちろん我らがポール・マッカートニー。
彼にかかればまさしく「音楽はマジック」だ。
彼が触れるものすべてが音楽になる。
ほとんどすべての楽器をポールがこなしたことを誰が信じることなどできよう?
音楽はテクニックではないことを、このアルバムが完璧に証明している。
あらゆる音が生き生きと脈打っている。
天才の音楽センスは世界最高の演奏テクニックさえをも凌駕する。
一つ一つの微妙なタッチが芸術の域にまで高められ、バラエティに富んだニュアンスがダイヤのように散りばめられている。
また一切の手抜きがないところはあの「サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド」にさえ肉薄するものがある。聴き込むほどに細部まで磨き抜かれたアレンジと演奏が確認できるからだ。
今頃になって、というのも変だが、全くおそろしい作品を作ってしまったものだ。
実はポール・マッカートニーという人がアーティストとして終わっていることを心の中のどこかで認めている自分がいた。
認めたくはないが、ソロ期の曲を栄光のビートルズの作品群と比べるとき、そこには見逃すに見逃せない明らかな違いが存在したからだ。
それでもポールはポールには違いなかったから、好きなところだけを受け入れ、良くないところには目を伏せているようなところがあった。
実際のところ、それがあまりにも長い間続いてきたものだから、それを既成の事実として当たり前のことのように受け入れるしかなかったのである。
だがポールは死んでいなかった。
ポールは終わっていなかった。
最高である。このアルバムは最高である。
ついに待ち望んでいた作品、おそらく「バンド・オン・ザ・ラン」以来の傑作が登場したのだ。
“At the Mercy”も
“This Never Happened Before”も
“Too Much Rain”も
“Certain Softness”も
“English Tea”も
“Any Way”も
“Fine Line”も
とにかく最高だ!
今夜は感動でとても眠れない。
ありがとうポール。
涙、ただ涙である…。
参考:Chaos And Creation In The Back Yard(完全初回生産限定盤DVD付)(CCCD)
考え得る限りの成功と、栄光と、賞賛と、名誉の味を知り尽くした63歳のスーパースターが、このようなクリエイティブな作品を2度と再び私たちに届けてくれるなどと一体誰が想像しただろう?
少なくとも僕は全く予期していなかった。
今はただ驚きと、畏敬の念でいっぱいである。
このアルバムはポール・マッカートニーがビートルズ解散後に発表した作品の中で、最もビートルズに近い作品として位置づけられると思う。
アルバム全体を流れる独特の緊張感は、まさにビートルズそのものだ。
そして録音がとてもすばらしい。
ナイジェル・ゴドリッチは世界最高のプロデューサーの一人であることを、このアルバムで完全に世界中に知らしめた。
ジョージ・マーティンに勝るとも劣らぬ天才である。
そしてもちろん我らがポール・マッカートニー。
彼にかかればまさしく「音楽はマジック」だ。
彼が触れるものすべてが音楽になる。
ほとんどすべての楽器をポールがこなしたことを誰が信じることなどできよう?
音楽はテクニックではないことを、このアルバムが完璧に証明している。
あらゆる音が生き生きと脈打っている。
天才の音楽センスは世界最高の演奏テクニックさえをも凌駕する。
一つ一つの微妙なタッチが芸術の域にまで高められ、バラエティに富んだニュアンスがダイヤのように散りばめられている。
また一切の手抜きがないところはあの「サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド」にさえ肉薄するものがある。聴き込むほどに細部まで磨き抜かれたアレンジと演奏が確認できるからだ。
今頃になって、というのも変だが、全くおそろしい作品を作ってしまったものだ。
実はポール・マッカートニーという人がアーティストとして終わっていることを心の中のどこかで認めている自分がいた。
認めたくはないが、ソロ期の曲を栄光のビートルズの作品群と比べるとき、そこには見逃すに見逃せない明らかな違いが存在したからだ。
それでもポールはポールには違いなかったから、好きなところだけを受け入れ、良くないところには目を伏せているようなところがあった。
実際のところ、それがあまりにも長い間続いてきたものだから、それを既成の事実として当たり前のことのように受け入れるしかなかったのである。
だがポールは死んでいなかった。
ポールは終わっていなかった。
最高である。このアルバムは最高である。
ついに待ち望んでいた作品、おそらく「バンド・オン・ザ・ラン」以来の傑作が登場したのだ。
“At the Mercy”も
“This Never Happened Before”も
“Too Much Rain”も
“Certain Softness”も
“English Tea”も
“Any Way”も
“Fine Line”も
とにかく最高だ!
今夜は感動でとても眠れない。
ありがとうポール。
涙、ただ涙である…。
参考:Chaos And Creation In The Back Yard(完全初回生産限定盤DVD付)(CCCD)