古いCDを生かす
昨今のリマスターブームを見てもわかるように、CDの音は最初に言われていたほど最高の音でもなければ、半永久的な価値を持つものでもないことが判明した。こう考えてみると、アナログ・レコード盤からCDになってよかったことといえば、レコード針のプチプチ音がなくなったことぐらいのものである。
「CDは最高レベルの音質を半永久的に楽しむことができる。」表現の違いこそあれ、CD発売初期に一般人の頭にインプットされた宣伝文句がこれである。つまり一度CDを買ってしまえば、もう二度と同じレコードは買う必要がないと僕たちは信じ込まされたのだった。これを聞いて、素直な僕は好きな作品がCD化されると、後先を全く考えずにせっせと買い込んだものである。CDの発売から最初の10年間ぐらいはそんな感じで200枚を超えるCDを買い集めていた。それは音楽が好きな僕にとって必要な投資なのだった。今から考えると、レコード会社の戦略にうまいこと乗せられたものだと思う。
そんなわけで、僕が持っているポールやエルトン・ジョン関係のCDは、そのほとんどがいわゆる第一世代のCDばかりである。最初の頃は値段も高く、プラケースの裏側を見ると3200円から3500円ほどの値段が書かれていたものが多い。CDは最初高級品だったのだ。しかしながら、そうやって高い金を払って買ったCDほど、今考えれば音が悪かったというのも皮肉な話ではある。特に音圧が低すぎるというのはもう救いようがないほどで、初期のCDを聴いたあとに続けて最近のCDをかけると、同じヴォリュームのままなのにバカでかい音がスピーカーから流れ出すというはめになる。僕の場合そのような経験を何度か繰り返してゆくうちに、古いCDはいつの間にかだんだんと聴く回数が少なくなってしまったように思う。
ところがその反動からなのか、その後CDの音圧は上がる一方というもうひとつの対極へと走ることになってしまった。そして結果的に、今度は音圧がバカ高過ぎてダイナミックレンジのない単調な音のCDを量産するという状況が生まれてしまったのだった。一方からもう一方の対極へ…。これに付き合わされ、振り回された消費者はどえらい迷惑だったと思う。
ともあれ、それら負の遺産の反省を踏まえ、いわば中道をゆくアナログの音に近いリマスターCDが再生産されているというのが今現在の状況といえるのではないだろうか。そういう意味でも2009年のビートルズリマスターが果たした役割、意義というものは、一般に考えられてるよりもはるかに大きいものがあったと個人的には考えている。2009年こそが本当の意味でのCD元年だったのかもしれない。
さて前置きが長くなってしまったが、そんなわけで我が家でも音圧の低い、古いCDはいつの間にやら押入れの奥にしまい込まれるという悲惨な状況になってしまっていたのだった。だが昨年の暮れあたりから、このまま古いCDを眠らせたままにしておくのはもったいないという思いが頭をよぎり始めた。もしこれらのCDの音圧をある一定のレベルに引き上げることができたなら、また以前のように古いCDを楽しむことができるようになるのではないか。僕はそう考えたのである。
そうして自分なりに調べた結果、CDのままで音圧を上げるということはできないが、MP3に変換した音楽ファイルを一定の音圧レベルに自動調整してくれるパソコンソフト(音量均一化ソフト)が存在することがわかったのである(これをノーマライズという)。僕は今音楽をほとんどMP3プレーヤーを通して聴いているので、これはなんとかなるかもしれないということになった。
こうして年末年始は僕の仕事が増えた(笑)。僕はたくさんの古いCDを押入れから引っぱり出し、MP3に変換し、さらに音量(音圧)を一定化させる、という作業を繰り返していた。ノーマライズのソフトはMP3Gainというソフトを使用した。このソフトは特に音圧が低いCDに大きな効果を発揮すると思う(逆に音圧が高いほうのCDは思ったほど音圧が下がらないように感じる)。ともかくおかげでたくさんの古いCDが息を吹き返し、再び音楽を聴く楽しみが増えたのである。これは自分にとって予想以上に大きな収穫だったので、こうして記事にして読者の方々にもお伝えするのである。興味のある方は参考にしていただきたいと思う。そして今さらながらしみじみ感じるのは特に70年代、80年代はいいアルバムが多かったなぁ~、ということ。何の誇張もなく、死ぬまで聴き続けられる音楽が今の僕にはたくさんある。あんなすばらしい時代に自分が青春時代を過ごせたのは本当に幸せだったと思うのである。
参考:
MP3Gain
懐かしの名盤:『南から来た男』
懐かしの名盤:『ブレックファスト・イン・アメリカ』
懐かしの名盤:『幻想飛行』
「CDは最高レベルの音質を半永久的に楽しむことができる。」表現の違いこそあれ、CD発売初期に一般人の頭にインプットされた宣伝文句がこれである。つまり一度CDを買ってしまえば、もう二度と同じレコードは買う必要がないと僕たちは信じ込まされたのだった。これを聞いて、素直な僕は好きな作品がCD化されると、後先を全く考えずにせっせと買い込んだものである。CDの発売から最初の10年間ぐらいはそんな感じで200枚を超えるCDを買い集めていた。それは音楽が好きな僕にとって必要な投資なのだった。今から考えると、レコード会社の戦略にうまいこと乗せられたものだと思う。
そんなわけで、僕が持っているポールやエルトン・ジョン関係のCDは、そのほとんどがいわゆる第一世代のCDばかりである。最初の頃は値段も高く、プラケースの裏側を見ると3200円から3500円ほどの値段が書かれていたものが多い。CDは最初高級品だったのだ。しかしながら、そうやって高い金を払って買ったCDほど、今考えれば音が悪かったというのも皮肉な話ではある。特に音圧が低すぎるというのはもう救いようがないほどで、初期のCDを聴いたあとに続けて最近のCDをかけると、同じヴォリュームのままなのにバカでかい音がスピーカーから流れ出すというはめになる。僕の場合そのような経験を何度か繰り返してゆくうちに、古いCDはいつの間にかだんだんと聴く回数が少なくなってしまったように思う。
ところがその反動からなのか、その後CDの音圧は上がる一方というもうひとつの対極へと走ることになってしまった。そして結果的に、今度は音圧がバカ高過ぎてダイナミックレンジのない単調な音のCDを量産するという状況が生まれてしまったのだった。一方からもう一方の対極へ…。これに付き合わされ、振り回された消費者はどえらい迷惑だったと思う。
ともあれ、それら負の遺産の反省を踏まえ、いわば中道をゆくアナログの音に近いリマスターCDが再生産されているというのが今現在の状況といえるのではないだろうか。そういう意味でも2009年のビートルズリマスターが果たした役割、意義というものは、一般に考えられてるよりもはるかに大きいものがあったと個人的には考えている。2009年こそが本当の意味でのCD元年だったのかもしれない。
さて前置きが長くなってしまったが、そんなわけで我が家でも音圧の低い、古いCDはいつの間にやら押入れの奥にしまい込まれるという悲惨な状況になってしまっていたのだった。だが昨年の暮れあたりから、このまま古いCDを眠らせたままにしておくのはもったいないという思いが頭をよぎり始めた。もしこれらのCDの音圧をある一定のレベルに引き上げることができたなら、また以前のように古いCDを楽しむことができるようになるのではないか。僕はそう考えたのである。
そうして自分なりに調べた結果、CDのままで音圧を上げるということはできないが、MP3に変換した音楽ファイルを一定の音圧レベルに自動調整してくれるパソコンソフト(音量均一化ソフト)が存在することがわかったのである(これをノーマライズという)。僕は今音楽をほとんどMP3プレーヤーを通して聴いているので、これはなんとかなるかもしれないということになった。
こうして年末年始は僕の仕事が増えた(笑)。僕はたくさんの古いCDを押入れから引っぱり出し、MP3に変換し、さらに音量(音圧)を一定化させる、という作業を繰り返していた。ノーマライズのソフトはMP3Gainというソフトを使用した。このソフトは特に音圧が低いCDに大きな効果を発揮すると思う(逆に音圧が高いほうのCDは思ったほど音圧が下がらないように感じる)。ともかくおかげでたくさんの古いCDが息を吹き返し、再び音楽を聴く楽しみが増えたのである。これは自分にとって予想以上に大きな収穫だったので、こうして記事にして読者の方々にもお伝えするのである。興味のある方は参考にしていただきたいと思う。そして今さらながらしみじみ感じるのは特に70年代、80年代はいいアルバムが多かったなぁ~、ということ。何の誇張もなく、死ぬまで聴き続けられる音楽が今の僕にはたくさんある。あんなすばらしい時代に自分が青春時代を過ごせたのは本当に幸せだったと思うのである。
参考:
MP3Gain
懐かしの名盤:『南から来た男』
懐かしの名盤:『ブレックファスト・イン・アメリカ』
懐かしの名盤:『幻想飛行』