ロックおやじを唸らせる音 ~ 『ウェイスティング・ライト』 by フー・ファイターズ
いくらポールと親交が深いとはいえ、僕は今までデイヴ・グロールにも、フー・ファイターズにもほとんど興味がなかった。というのも、あのニルヴァーナでさえ『ネヴァーマインド』を名作と認めながらも、僕は彼らが残した作品についぞのめり込むことはできなかったからである(『ネヴァーマインド』はアメリカだけで1000万枚も売れた)。よくあることだが簡単にいえば僕には合わなかったのだ。
だが、昨年末ポールと共演&再結成を果たしたニルヴァーナのステージに、僕はとてつもなく強烈な印象、いや衝撃を受けてしまった。70才のポールが吠えていた、そして輝いていた。ニルヴァーナが、いやおそらくはデイヴ・グロールがポールの内側に長く眠っていた激しいロックスピリットに火をつけ、ついには覚醒させしめてしまったのではあるまいか…。この圧倒的なステージ・パフォーマンスに、僕はなにか見てはいけないものを見てしまったような気にさえなっていたのである。
ポールにこんな事をさせてしまったデイヴ・グロールとはいったいどういう人なのか。そして彼はどんな作品を世に送り出しているのか。僕は調べてみなくてはならない衝動に駆られた。
残念なことに日本語版ウィキペディアにはフー・ファイターズの作品に関する記述が乏しく、僕は英語版に頼らざるをえなかったのだが、そこで真っ先に僕の目に飛び込んできたのが『ウェイスティング・ライト』というアルバムの存在だった。
このアルバムは2011年に発売されたフー・ファイターズの最新作である。まずなによりも僕の興味を引いたのは、このアルバムがアナログのレコーディング機器だけを使用して録音されたアルバムということだった。しかもレコーディングの場所はカリフォルニアにあるデイヴの自宅ガレージ!。デイヴはレコーディングがアナログからデジタルへと移行してゆく中で、ロック・ミュージックの大切な何かが失われてしまったと体験的に感じていたらしい。そこであえて時代に逆行する形で完全にデジタル機器を排除したレコーディング作業を決意するのである。
僕はアナログ機器を使ったからといって簡単に傑作が生まれるなどとは思わない。もしそれが本当なら、誰もがデジタル機器を使うのをやめ、アナログ・レコーディングに回帰するだろうから。だが僕はひとりのロック・ミュージシャンとしてのデイヴの心意気、つまり現代のロックが失ってしまった何かを取り戻そうとする彼の姿勢に強く打たれたのだった。
結果的に『ウェイスティング・ライト』は多くのロックファンの支持を得た(おそらくその中には40代、50代のおじさん世代も含まれていたと思われる)。アメリカ、イギリスを含む世界12カ国でNo.1を獲得。グラミー賞ではベスト・ロック・アルバムを含む5部門で受賞という栄誉に輝いた。
メイキング・オブ・『ウェイスティング・ライト』はこちら
http://www.youtube.com/watch?v=0jMObDEStkk
以上がこのアルバムの簡単な概略である。が、あくまでも問題はその音であろう。ともかく論より証拠。アマゾンでは日本盤のページで全曲を一部試聴できるので、まずは自分の耳で聴いてみていただきたい(できればヘッドフォンで)。基本的にかなりハードなロックの部類に入ると思うのだが、僕は聴き進めるにしたがって顔の筋肉がゆるんでくるのを抑えることができなかった。なんと懐かしく、心踊らされる音なのだろう。70年代、80年代のロックに慣れ親しんできたロック大好きオヤジ諸氏には、きっとこの意味がわかってもらえると思う。僕はさっそくCDを注文したが、全編を聴く前からこんなに褒めてしまっていいものなのか、かなり揺れている自分がいるのもたしかである(笑)。
もうこうなったら、ポールにもデイヴからの協力を得て完全アナログ・レコーディングのロック・アルバムを1枚作ってもらいたいものである。いや絶対にそうしたほうがよい。もう時間はあまり残されていないのだから。
参考:
『ウェイスティング・ライト』(CD 日本盤)
『ウェイスティング・ライト』(CD UK盤)
『ウェイスティング・ライト』(iTunes Deluxe Version)

『ネヴァーマインド』(CD Deluxe Edition)
『ネヴァーマインド』(iTunes Deluxe Edition)

だが、昨年末ポールと共演&再結成を果たしたニルヴァーナのステージに、僕はとてつもなく強烈な印象、いや衝撃を受けてしまった。70才のポールが吠えていた、そして輝いていた。ニルヴァーナが、いやおそらくはデイヴ・グロールがポールの内側に長く眠っていた激しいロックスピリットに火をつけ、ついには覚醒させしめてしまったのではあるまいか…。この圧倒的なステージ・パフォーマンスに、僕はなにか見てはいけないものを見てしまったような気にさえなっていたのである。
ポールにこんな事をさせてしまったデイヴ・グロールとはいったいどういう人なのか。そして彼はどんな作品を世に送り出しているのか。僕は調べてみなくてはならない衝動に駆られた。
残念なことに日本語版ウィキペディアにはフー・ファイターズの作品に関する記述が乏しく、僕は英語版に頼らざるをえなかったのだが、そこで真っ先に僕の目に飛び込んできたのが『ウェイスティング・ライト』というアルバムの存在だった。
このアルバムは2011年に発売されたフー・ファイターズの最新作である。まずなによりも僕の興味を引いたのは、このアルバムがアナログのレコーディング機器だけを使用して録音されたアルバムということだった。しかもレコーディングの場所はカリフォルニアにあるデイヴの自宅ガレージ!。デイヴはレコーディングがアナログからデジタルへと移行してゆく中で、ロック・ミュージックの大切な何かが失われてしまったと体験的に感じていたらしい。そこであえて時代に逆行する形で完全にデジタル機器を排除したレコーディング作業を決意するのである。
僕はアナログ機器を使ったからといって簡単に傑作が生まれるなどとは思わない。もしそれが本当なら、誰もがデジタル機器を使うのをやめ、アナログ・レコーディングに回帰するだろうから。だが僕はひとりのロック・ミュージシャンとしてのデイヴの心意気、つまり現代のロックが失ってしまった何かを取り戻そうとする彼の姿勢に強く打たれたのだった。
結果的に『ウェイスティング・ライト』は多くのロックファンの支持を得た(おそらくその中には40代、50代のおじさん世代も含まれていたと思われる)。アメリカ、イギリスを含む世界12カ国でNo.1を獲得。グラミー賞ではベスト・ロック・アルバムを含む5部門で受賞という栄誉に輝いた。
メイキング・オブ・『ウェイスティング・ライト』はこちら
http://www.youtube.com/watch?v=0jMObDEStkk
以上がこのアルバムの簡単な概略である。が、あくまでも問題はその音であろう。ともかく論より証拠。アマゾンでは日本盤のページで全曲を一部試聴できるので、まずは自分の耳で聴いてみていただきたい(できればヘッドフォンで)。基本的にかなりハードなロックの部類に入ると思うのだが、僕は聴き進めるにしたがって顔の筋肉がゆるんでくるのを抑えることができなかった。なんと懐かしく、心踊らされる音なのだろう。70年代、80年代のロックに慣れ親しんできたロック大好きオヤジ諸氏には、きっとこの意味がわかってもらえると思う。僕はさっそくCDを注文したが、全編を聴く前からこんなに褒めてしまっていいものなのか、かなり揺れている自分がいるのもたしかである(笑)。
もうこうなったら、ポールにもデイヴからの協力を得て完全アナログ・レコーディングのロック・アルバムを1枚作ってもらいたいものである。いや絶対にそうしたほうがよい。もう時間はあまり残されていないのだから。
参考:
『ウェイスティング・ライト』(CD 日本盤)
『ウェイスティング・ライト』(CD UK盤)
『ウェイスティング・ライト』(iTunes Deluxe Version)
『ネヴァーマインド』(CD Deluxe Edition)
『ネヴァーマインド』(iTunes Deluxe Edition)