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ポールの曲: 『ロード・オール・ナイト(Rode All Night)』 - Macca Go Go Go! ポール・マッカートニーファンブログ・・・プラス!PLUS!+!

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ポールの曲: 『ロード・オール・ナイト(Rode All Night)』

ポールちゃんだぜい~、ワイルドだぜぇ~(笑)

『ラム』リマスターのボーナスディスクに収録された未発表音源の中で、僕が最も驚かされ、また最も気に入っているのがこの曲である。

演奏者はエレクトリック・ギター&ヴォーカルのポールとドラムスのデニー・シーウェルの2人のみ。この2人がまるで火花でも散らすかのようなパフォーマンスを実に8分間以上にも渡って繰り広げるのである。初めに聴いたときは即興的でラフなジャムセッションという感じがして軽く聴き流していたのだが、何度か聴き直すうちにだんだんとこの曲の魅力に取りつかれるようになってしまった。

まず僕が驚かされたのが、デニー・シーウェルのドラムテクニックのすばらしさだった。「ひえ~、この人こんなにうまかったんだ」というのが僕の正直な印象である(ヘッドフォンで音量を大にして聴いてみてほしい)。たしかにファンの間ではデニーはポールと仕事をした歴代のドラマーの中でも特に高い評価を受けていることは知っていた。だが、僕個人は彼が参加したアルバム(『ラム』と『レッド・ローズ・スピードウェイ』)の演奏を聴くかぎり、特別すごいドラマーだとは思ったことは1度もなかったのである。というよりは、僕はこれまでデニー・シーウェル(実際の発音はデニー・サイウェルに近い)のことをなんとなくさえない感じのおっさんだな、くらいにしか思っていなかったのである。まずミュージシャンとしては見た目がイマイチで地味な感じだし、なにより『バンド・オン・ザ・ラン』のナイジェリアでのレコーディング出発直前に突如ウイングスを脱退し、ポールをパニックに陥れたことを軽く恨んだりしていたのだった。ともかく僕の中では彼の音楽的バックグラウンドやその人となりに関する情報が決定的に不足していたのがその背景にあった。

しかし、この曲1曲を聴くことによって、僕の中での彼のドラマーとしての評価は完全に一変してしまった。やっぱりポールはすごい人をバンドのドラマーに選んでいたのだなと納得した。そしてさらに『ラム』リマスター・ボックス・セットの豪華本に掲載された彼自身の言葉を読み、人間的にも魅力にあふれた人物であることを初めてうかがい知ることができたのである。ああ偏見とは恐ろしや、と深く深く反省…。

ポールはどうやら自らギターを弾きながら歌っているらしい。実際には歌っているというよりは9割方叫んでいる、シャウトしているといったほうが適切なのだが、ともかく全盛期のポールのシャウト全開の澄んだ歌声がこれでもかというぐらいに堪能できる。このヴォーカルパフォーマンスを聴くだけでもこの曲は十分な価値があると思う。これだけシャウトしている曲が他にあるか考えてみたのだが、『アイム・ダウン』とか『ヘルター・スケルター』とか、タイプは違うが『ナッシング・トゥー・マッチ・ジャスト・アウト・オブ・サイト』ぐらいしか思いつかないほどにポールは叫びまくっているのである。しかも、ギターもいろいろと小技を利かせつつ、パターンを変えつつさすがの腕前を披露している。これが歌いながらというのがポールのまた一つすごいところで、彼にはまるでヴォーカル用以外に演奏用の脳みそが別にあるかのようである。

そして何度か聴き込んでゆくうちに、演奏面で2人の息が寸分の狂いもなくピタリと合っていることに気付かされるようになった。つまり、この曲は即興的な体裁をとってはいるが、実際は入念にリハーサルを繰り返したことがうかがわれるのである。それゆえ9分近い曲ではあっても、互いに様々なパターンを織り交ぜながらの演奏、ヴォーカルとなっていて最後まで聴く者を飽きさせない構成となっている。

しかし、こんなに出来のいい曲を未発表のまま40年も眠らせておくなんて、ポールってなんてすごい人なんだろうか。この曲で僕が特に強く感じるのはポールの(そしてデニーの)演奏者としてのプロフェッショナルな一面である。しかし、ポールが実際に作品として公式発表したものを眺めてみると、楽器演奏のテクニカルな部分を前面に押し出した曲というのが極めて少ないということがわかる。もっと言えば本当はテクニカルにすごいことをやっていたとしても、あえて聴き手にそれを感じさせないような工夫をしているのではないか?、とさえ思えることさえあるほどなのだ。この傾向は特にビートルズ解散以降の作品について顕著といえる。これはあまり語られることのないポールの音楽に関する主要な特徴の一つであり、ひょっとするとここにマッカートニー・ミュージックの秘密の一端が隠されているのかもしれない。

ただファンとしては、このような曲をポールが録音していたというのは非常な驚きであるし、個人的にも大歓迎である。今後もアーカイブ・コレクションを通して第2、第3の『ロード・オール・ナイト』が発表されてゆくことを大いに期待したいと思う。

参考:
『ラム』リマスター日本語盤
スーパー・デラックス・エディション(4CD+DVD)
デラックス・エディション(2CD)

『ラム』リマスター海外盤
デラックス・エディション・ボックス・セット(4CD+DVD)
スペシャル・エディション(2CD)


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