ポールのアルバム “Flaming Pie(フレイミング・パイ)”
ポール最後の傑作アルバムか???
「フレイミング・パイ」
1970年代、数々の傑作アルバムを世に送り出してきたポール(ウイングス)であったが、80年代以降は「タッグ・オブ・ウォー」での成功を最後にめっきりヒットチャートに顔を出すことが少なくなっていた。
たしかに「プレス・トゥ・プレイ」や「フラワーズ・イン・ザ・ダート」など、平均点以上といえるアルバムもあるにはあった。だが、真のポールファンはその程度のことで満足するものではない。なぜなら、正真正銘のスーパースター、ポール・マッカートニーの本当の凄さを知っているからである。
だから正直言って、僕はもうあきらめていた。
もうポールに名作と呼ばれるアルバムは作れないかもしれないと思っていたのである。
それはマスコミ、メディアにとっても同様だったようで、いつしか彼のニューアルバムの発売が以前のように大きく取り上げられることはなくなっていた。
そんなわけで1997年、「フレイミング・パイ」は割と地味に発売された。僕も発売日にCDを買いに走るということはなく、そのうち買いに行くさぐらいの感じだった。そんな折、このアルバムがビルボードで初登場2位を記録したというニュースが飛び込んできたのである。
ビートルズ時代から常にヒット・チャートの常連だったポールだが、1982年に「タッグ・オブ・ウォー」が全米No.1を獲得して以来、全米アルバムチャートではNo.1はおろかトップ10にさえ顔を出すこともなくなっていた。実に「フレイミング・パイ」まで15年…。言ってみれば生まれた子供が高校生になるまでの間1度も10位以内に入っていなかったのだから、僕の驚きようも大変なものだった。色めきたって、僕は翌日さっそくCDを買いに行った。
それから僕は毎日「フレイミング・パイ」を聴きまくった。本当にいいアルバムだった。だが、その本当の良さがわかるまでには、かなり時間がかかったことを告白しなくてはならない。
たしかに「ヤング・ボーイ」はポールの新しいスタンダードナンバーと言えたし、「ビューティフル・ナイト」はビートルズから脈々と受け継がれているまさに“ポールらしい”曲だった。しかし、僕は「カリコ・スカイズ」や「スーヴェニア」や「サムデイズ」の本当の良さがなかなかわからなかった。実際何十回と聴いて初めてそれらの良さがわかってきたのである。そういう意味でもこのアルバムは僕にとって特別なのだ。
1曲目の「ザ・ソング・ウィ・ワー・シンギング」から7曲目「フレイミング・パイ」までは続けていい曲がならんでいる。僕から言わせれば、ほぼ完璧だ。いわば昔でいうLPのA面のようだ。8曲目からは即興的な曲や、愛息ジェームスとの初共演作など、少々お遊び的な曲もちりばめられている。だからといって、このアルバムの価値が下がるというわけではない。むしろ、そのあたりがこのアルバムの味になっているような気がする。
ポール自身も語っているように、「フレイミング・パイ」は親しい友人たちを自宅スタジオに呼び寄せ、あまり気合いを入れずに楽しみながら作ったアルバムなのだ。
「たいしたアルバムじゃないから、笑いとばしてほしい」というポールの一言がすべてを物語っている。そして「たかが1枚のアルバムじゃないか」と言い切れるところに人間ポール・マッカートニーのすごさを感じてしまう。
「フレイミング・パイ」はポールにとって特別な言葉だ。若き日のジョン・レノンはある夜、燃えるパイに乗った男の夢を見る。その男は、「お前は(綴りのeをaに変えた)ビートルズだ。」と言ったのだという。つまり、それはビートルズの始まりを象徴するエピソードなのだ。「フレイミング・パイ」とはポールの音楽人生の始まりを暗示している重要な言葉なのである。
このアルバムはまた愛妻リンダの存命中に発売された最後のアルバムでもある。優秀な写真家であり、ポールのソロアルバムのジャケットほとんどを手掛けてきたリンダだったが、このアルバムでも貴重なポールのプライベートショットの数々がCDのブックレットに収められている。また実際にCDを聴けば、何曲かに彼女のバックコーラスを聴くことができる。そんなわけで、僕にとってこのアルバムは家庭的な温かさ、優しさを強く感じる作品であると同時に、一種のやるせない寂しさをも感じてしまう1枚でもあるのだ。
このアルバムで好きな曲ベスト5
1.ビューティフル・ナイト
(後半部のアップテンポはなくてもよかったかな?)
2.ヤング・ボーイ
(♪find love♪のフレーズにはしびれた)
3.サムデイズ
(う~ん、心にしみ入る…)
4.フレイミング・パイ
(シンプルだけどカッコイイ。これがポールの真髄)
5.イフ・ユー・ワナ
(昔なら日本語タイトルついてたな。ライブでやってほしい)
ファンとしては、もちろんこのアルバムがポール最後の名作にならないことを祈る。(ちなみにオリジナルアルバムという意味である。カバーアルバムなら、このあとすぐ「ラン・デヴィル・ラン」という名作が出てしまったので…)
とにかくこの夏に発売予定のニューアルバムに超期待だ!
参考:フレイミング・パイ
「フレイミング・パイ」
1970年代、数々の傑作アルバムを世に送り出してきたポール(ウイングス)であったが、80年代以降は「タッグ・オブ・ウォー」での成功を最後にめっきりヒットチャートに顔を出すことが少なくなっていた。
たしかに「プレス・トゥ・プレイ」や「フラワーズ・イン・ザ・ダート」など、平均点以上といえるアルバムもあるにはあった。だが、真のポールファンはその程度のことで満足するものではない。なぜなら、正真正銘のスーパースター、ポール・マッカートニーの本当の凄さを知っているからである。
だから正直言って、僕はもうあきらめていた。
もうポールに名作と呼ばれるアルバムは作れないかもしれないと思っていたのである。
それはマスコミ、メディアにとっても同様だったようで、いつしか彼のニューアルバムの発売が以前のように大きく取り上げられることはなくなっていた。
そんなわけで1997年、「フレイミング・パイ」は割と地味に発売された。僕も発売日にCDを買いに走るということはなく、そのうち買いに行くさぐらいの感じだった。そんな折、このアルバムがビルボードで初登場2位を記録したというニュースが飛び込んできたのである。
ビートルズ時代から常にヒット・チャートの常連だったポールだが、1982年に「タッグ・オブ・ウォー」が全米No.1を獲得して以来、全米アルバムチャートではNo.1はおろかトップ10にさえ顔を出すこともなくなっていた。実に「フレイミング・パイ」まで15年…。言ってみれば生まれた子供が高校生になるまでの間1度も10位以内に入っていなかったのだから、僕の驚きようも大変なものだった。色めきたって、僕は翌日さっそくCDを買いに行った。
それから僕は毎日「フレイミング・パイ」を聴きまくった。本当にいいアルバムだった。だが、その本当の良さがわかるまでには、かなり時間がかかったことを告白しなくてはならない。
たしかに「ヤング・ボーイ」はポールの新しいスタンダードナンバーと言えたし、「ビューティフル・ナイト」はビートルズから脈々と受け継がれているまさに“ポールらしい”曲だった。しかし、僕は「カリコ・スカイズ」や「スーヴェニア」や「サムデイズ」の本当の良さがなかなかわからなかった。実際何十回と聴いて初めてそれらの良さがわかってきたのである。そういう意味でもこのアルバムは僕にとって特別なのだ。
1曲目の「ザ・ソング・ウィ・ワー・シンギング」から7曲目「フレイミング・パイ」までは続けていい曲がならんでいる。僕から言わせれば、ほぼ完璧だ。いわば昔でいうLPのA面のようだ。8曲目からは即興的な曲や、愛息ジェームスとの初共演作など、少々お遊び的な曲もちりばめられている。だからといって、このアルバムの価値が下がるというわけではない。むしろ、そのあたりがこのアルバムの味になっているような気がする。
ポール自身も語っているように、「フレイミング・パイ」は親しい友人たちを自宅スタジオに呼び寄せ、あまり気合いを入れずに楽しみながら作ったアルバムなのだ。
「たいしたアルバムじゃないから、笑いとばしてほしい」というポールの一言がすべてを物語っている。そして「たかが1枚のアルバムじゃないか」と言い切れるところに人間ポール・マッカートニーのすごさを感じてしまう。
「フレイミング・パイ」はポールにとって特別な言葉だ。若き日のジョン・レノンはある夜、燃えるパイに乗った男の夢を見る。その男は、「お前は(綴りのeをaに変えた)ビートルズだ。」と言ったのだという。つまり、それはビートルズの始まりを象徴するエピソードなのだ。「フレイミング・パイ」とはポールの音楽人生の始まりを暗示している重要な言葉なのである。
このアルバムはまた愛妻リンダの存命中に発売された最後のアルバムでもある。優秀な写真家であり、ポールのソロアルバムのジャケットほとんどを手掛けてきたリンダだったが、このアルバムでも貴重なポールのプライベートショットの数々がCDのブックレットに収められている。また実際にCDを聴けば、何曲かに彼女のバックコーラスを聴くことができる。そんなわけで、僕にとってこのアルバムは家庭的な温かさ、優しさを強く感じる作品であると同時に、一種のやるせない寂しさをも感じてしまう1枚でもあるのだ。
このアルバムで好きな曲ベスト5
1.ビューティフル・ナイト
(後半部のアップテンポはなくてもよかったかな?)
2.ヤング・ボーイ
(♪find love♪のフレーズにはしびれた)
3.サムデイズ
(う~ん、心にしみ入る…)
4.フレイミング・パイ
(シンプルだけどカッコイイ。これがポールの真髄)
5.イフ・ユー・ワナ
(昔なら日本語タイトルついてたな。ライブでやってほしい)
ファンとしては、もちろんこのアルバムがポール最後の名作にならないことを祈る。(ちなみにオリジナルアルバムという意味である。カバーアルバムなら、このあとすぐ「ラン・デヴィル・ラン」という名作が出てしまったので…)
とにかくこの夏に発売予定のニューアルバムに超期待だ!
参考:フレイミング・パイ