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ポールのアルバム:“Give My Regards to Broad Street(ヤア!ブロード・ストリート)” その1 - Macca Go Go Go! ポール・マッカートニーファンブログ・・・プラス!PLUS!+!

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ポールのアルバム:“Give My Regards to Broad Street(ヤア!ブロード・ストリート)” その1




ジョンの死という人生最大の試練を乗り越え、音楽的には『タッグ・オブ・ウォー』と『パイプス・オブ・ピース』で見事復活を果たしたポールが新たなプロジェクトとして選んだのが自身の音楽を使った映画製作であった。

なぜポールが映画製作を?などと思うかもしれないが、当時の状況から考えてこれはいかにも妥当な選択であったと思える。なぜなら、ポールは盟友ジョン・レノンを失った深い悲しみから未だ完全に立ち直れてはおらず、すべてを忘れて打ち込めるだけの一大プロジェクトを必要としていたからである(注:勝手な想像です、笑)。しかも、そこにコンサートツアーという選択肢はなかった。一般人にいとも簡単に尊い生命を奪われたジョンの死の衝撃は余りにも大きく、当時ポールは2度と再びライブ活動は行わないだろうと言われていたし、僕たちファンもそれを当然の事として受け入れていた時代だったからである。さらには、映画という媒体を通して、ポールはファンに対してコンサートのライブ体験に近いものを提供できると考えたかもしれない。

さて映画自体の出来については脇に置いておくとして、このアルバムはポールのビートルズ以降の作品の中でも、かなりユニークな位置を占めるものとなった。第一に、このアルバムは映画のサウンド・トラックであること。第二に、レコーディングにはこれまでになかったほど多くのゲスト・ミュージシャンを迎えているということ。そして第三に、新曲が4曲だけであり、半分以上がセルフカバーで占められているということである。

まずポールとプロデューサーのジョージ・マーティンがやろうとしたことは、ビートルズ時代に『レット・イット・ビー』でやりきれなかったスタジオでのライブ感を映像に残す、という試みの再現ではなかったかと個人的には思っている。つまりポール・マッカートニーという不世出の天才音楽家のスタジオ・パフォーマンスをできる限り生に近い形で高画質、高音質で映像に残すという試みである。

この映画の公開当時、友人と二人で大阪の小さな映画館に足を運んで「動くポール」を見たときの感動は今でも忘れることができない。動くポールなどと言うと今の若者には何を寝ぼけたこと言ってるんだこのオッサン、と笑われそうだが、このアルバムが発売された1984年当時はビートルズ関係の映像が現在の100倍も貴重な時代であった。ゆえに、彼らの映像を観たいと思えば「フィルムコンサート」と呼ばれるファン限定のイベントに出かけるぐらいしか方法がなかったのもまた歴史的事実なのである。家庭用のVHSビデオデッキも10万円以上はしていた時代であり、ビートルズやポールの姿がテレビで放映されること自体が本当に稀であった。もちろん未だパソコンなどが存在するわけもなく、僕たちファンが受け取る主な情報の媒体といえば雑誌か、本か、ラジオぐらいのものだった。我々ファンは文字通りポールやビートルズの映像に飢えていたのである。

そんな時代に製作され、映画館で公開された本作の意義というものは、やはり実際にその時代を生きた人々にしか理解できない一面がある。映画公開時、スクリーンに大写しにされたポールの姿に僕は思わず息を飲んだ。あのビートルズのポール・マッカートニーが、今自分の目の前で『イエスタデイ』や『エリナー・リグビー』を歌っている!しかも、その映像はそれまでに観たどんなポールやビートルズのフィルムよりも美しく、圧倒的な臨場感があったのだ。純粋にCDに収録された曲だけを聴けば、ああだこうだと言いたくなるのが人情であるが、このアルバムがそもそも映画のサウンド・トラックを前提として製作されたという事実を考えれば、その出来は一般に言われているほどけっして悪いものではない。いや、むしろ口パクではないライブ・レコーディングに近い形式で撮影/録音されたといわれる演奏部分だけを抜き取って考えれば、そのクオリティは今見ても信じ難いほどにすばらしいものがある、というのが僕個人の評価である。

特に『悲しきバッドボーイ』『ノー・ヴァリュース』『ソー・バッド』の3曲の演奏シーンはまさに脂の乗り切ったライブ感たっぷりの歌と演奏で、個人的には10点満点に近い点数を付けたくなるほどだ。その次に好きなのが、『フォー・ノー・ワン』と『エリナー・リグビー』の演奏シーン。そして、全員が猫に扮したといわれる見せ場たっぷりの『心のラヴ・ソング』がそのあとに続く。個人的に少し残念なのが、前半のメドレー3曲『イエスタデイ』『ヒア・ゼア・アンド・エブリホエア』『ワンダーラスト』の出来が今一つに思えることだが、これでさえもポールとリンゴ、ジョージ・マーティンが同じスタジオに会し、レコーディング作業を行なっている、というだけで十分視聴に値するシーンなのである。

各曲の演奏シーンのすばらしさは、You Tubeで“Paul McCartney Broad Street”などと入力して検索すればいろいろ出てくるので、ご自分で実際に確認してみていただきたい。(続く)


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