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ポールのアルバム:“Pipes of Peace(パイプス・オブ・ピース)” その2 - Macca Go Go Go! ポール・マッカートニーファンブログ・・・プラス!PLUS!+!

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ポールのアルバム:“Pipes of Peace(パイプス・オブ・ピース)” その2

このアルバムに収録された曲の多くが前作『タッグ・オブ・ウォー』の制作と同時期に録音されていたことはよく知られている事実である。というのも、『タッグ・オブ・ウォー』は当初2枚組のアルバムになる予定だったからだ。ビートルズ解散以降一度もダブル・アルバムを発表したことがないポールだけに(ライヴ盤は除く)、今から考えれば少し惜しい気もするのである。しかしながら、『タッグ・オブ・ウォー』と『パイプス・オブ・ピース』のサウンドカラー、そして個々の楽曲の完成度の違いは歴然であり、ポールのこの判断は妥当であったと言えると思う。

さて、僕がこのアルバムから感じる全体的な印象はひと言でいえば、統一感の欠如であろうか。かなりいい曲が集まっているにもかかわらず、一枚のアルバムとして見ると作りがかなり雑な印象を受けてしまうのである。前作に続いてプロデューサーはジョージ・マーティン。しかし、今回ばかりは彼のプロデュースは少し精彩を欠いていると思わざるをえない。けっして手抜きをしたわけではないのだろうが、こと本作に関しては彼の仕事とは思えないような平凡な出来に終わってしまっていると思わずにはいられない。特に前作の仕事がすばらしかっただけによけいにそう思うのである。

アルバムの全体的な印象としてもう一つ指摘しておきたいのは、このアルバムに収録された各曲の音圧が一定でないということである。そして、このことが『タッグ・オブ・ウォー』のアウトテイク集という悪い印象(?)にさらに追い打ちをかける結果となっているように思われる。あくまでも比較論での話だが、『タッグ・オブ・ウォー』の見事なまでの統一感とバランスの良さを考えるとき、この落差はいったい何なのだろうと思わず首をかしげたくなってしまうのである。

マイケルとの共作曲(2曲)にしても、その作品自体の出来の良さは認めるとしても、アルバムを通して聴いたときに、これら2曲だけがどうしても浮き上がっているような違和感を感じてしまうのはきっと僕だけではないだろう。近いうちに行なわれるであろうリマスター化に際しては、せめて各曲の音圧を一定レベルに統一してもらいたいものである。そうすれば、このアルバムに対する評価も一変する可能性がある。

各曲の完成度にしても、前作『タッグ・オブ・ウォー』のほぼ完璧ともいえる仕上がりに比べるとやや雑な印象は否めない。これはプロデューサーが前作と同じジョージ・マーティンであり、録音時期もほとんど変わらないというという事実から考えるとなおさら不思議な気がしてしまうのである。しかし、これが音作りというものの難しさなのかもしれない。最高のアーティストと最高のプロデューサーがタッグを組んだからといって、必ずしも毎回傑作が生まれるとは限らないのである。実際、過去にも似たような例は数限りなくある。

のっけからかなり手厳しい評価となってしまったが、だからといって僕はけっしてこのアルバムが嫌いというわけではない。旧B面の3曲『タッグ・オブ・ピース』、『ヘイ・ヘイ』、そして『スウィート・リトル・ショー』を除けば、僕はこのアルバムに収録されている曲がすべて好きだし、このアルバムは実際にもっともっと売れても何の不思議もない良作であったと思っている。

タイトル曲『パイプス・オブ・ピース』、『もう一人の僕』で聴かせる定番のポール節。『キープ・アンダー・カヴァー』と『アヴェレージ・パーソン』で見せるスピード感。『ソー・バッド』と『スルー・アワ・ラヴ』の泣けるほど美しいスローバラード。そして黒人音楽との融合から生まれた名曲2曲、『セイ・セイ・セイ』と『ザ・マン』。これらに加え、もしポールらしいロックンロール曲などが収録されていたならば、ほぼ完ぺきな作品にさえなったかもしれない、などとさえ思うのである。

『タッグ・オブ・ウォー』と『パイプス・オブ・ピース』。これら2枚のアルバムは、ジョンを失った深い悲しみを乗り越えて、ポールが再び世界に復活を宣言した記念すべき作品である。ジョンが生きていれば、おそらくいつかは実現したであろうレノン=マッカートニーの再共作、再共演への道は永遠に断たれることとなってしまったが、そのあまりにもショッキングな事実から再起を果たしたポールの精神力は並大抵のものではなかっただろう。だが、ともかくポールは戻ってきたのだった。そして、ここから真の意味におけるポール・マッカートニーのソロ活動が始まったといっても過言ではない。しかし、その道はけっして楽なものではなかった…。

好きな曲ベスト5
1.『スルー・アワ・ラヴ』
2.『ソー・バッド』
3.『セイ・セイ・セイ』
4.『ザ・マン』
5.『もう一人の僕』


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