クリスマスの約束2009
小田和正が毎年クリスマスの深夜に音楽ライブ番組をやっていることは知っていたが、初めから終わりまで通しで観たのは今年が初めてだった(僕はオフコース時代から小田さんのファンでもある)。
それで、今番組を見終わって、感動のあまりこの文章を書いているのである。今までにないものを見せてもらった、と。
話は小田さんがこのクリスマス特番を始めた2001年にさかのぼる。この年、彼は7組の有名アーティストに自筆で手紙を書き、この番組への出演依頼をしたそうである。しかし、その全員から出演を辞退されてしまう。そのとき以来、彼の心の中には日本の一流ミュージシャンたちが番組の制作という共同作業を通して「一緒に何か」を作り上げることはできないか、という思いがあったのだそうだ。
そして今年、そんな彼の思いが8年越しに実現するチャンスが訪れた。彼は再び有名ミュージシャンたちに手紙を書いた。そして今回は、実に多くのミュージシャンたちが彼の呼びかけに答えたのだった。
藤井フミヤ、財津和夫、鈴木雅之、スターダストレビュー、広瀬香美、AI、JUJU、いきものがかり、スキマスイッチ、一青窈などなど、年代もジャンルも様々な新旧の有名ミュージシャンたちが一同に会し、22分50秒という超ロングメドレーをライブで披露したのだった。そして、その「大作」を作り上げてゆく過程が番組内でドキュメンタリータッチで描かれていた。そこには、時にこのプロジェクトへの反対意見や批判を投げつけられ、一人苦悩する人間小田和正の姿があった。彼はなるべく多くの人の意見を取り入れようとしていたのだった。60才を過ぎてもなお、ひょっとすると自分の孫ほども年の離れた若者たちと力を合わせ何かを作り上げようとする小田さんの姿に、僕は素直に心を打たれた。
しかし、ともかく長いリハーサルと制作期間を経て、22分50秒という未だかつてないスケールのメドレーが完成したのだった。その感動を言葉で表わすのは難しい。だが、小田さんがまた一つ大きな仕事をやり遂げたことだけは確かだと思う。時代が大きく動いたとさえ言ってもいいだろう。そして、この試みはまちがいなく日本音楽界の歴史に残るだろう。この番組を深夜枠の一回だけの放送で終わらせておくのはとてももったいないと思う。もし再放送したらそのときはお見逃しなく!
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