ウイングス回想
以下2007年12月に行なわれたインタビューの抜粋である。
珍しくポールの口からジョー・イングリッシュの名前が出てきたので紹介する。ポールもインタビューの中で語っているとおり、ポール、リンダ、デニー・レイン、ジミー・マッカロック、そしてジョー・イングリッシュの5人からなるウイングスの時代はポールが“バンド”として一つの頂点を迎えた時期だったと思う。中でも、僕はギターのジミー・マッカロックとドラムのジョー・イングリッシュが大好きで、もし聞かれれば歴代のメンバーの中で躊躇なくベスト・ギタリスト、ベスト・ドラマーに選ぶほどだ。
たしかに現在のポール・マッカートニー・バンドはうまいと思う。だが、残念なことに多分に職人的でサウンドに味がないのだ。それに比べ、ジミーのギター、そしてジョーのドラムは今聴いても個性的でとても味がある。ポールだけを追いかけていた10代の頃にはとても気付かなかったことだが、今“Wings Over America
”を聴いてみると、当時いかにウイングスが彼ら独自のサウンドを確立していたかがよくわかる。
しかし、僕が知るかぎりにおいて、彼ら2人の力量やウイングスへの貢献度が正当に評価されてきたとはとても言い難いものがあるのだ。そういう意味で、ポールがジョーの名前を挙げてくれたことを僕はとても嬉しく思ったのだった。さすがポール。
ついでにウイングス脱退後のジョー・イングリッシュについて少し調べてみた。
彼はウイングスの“London Town
”のセッションの途中で体調を崩しウイングスを脱退する。その後、シー・レベルというバンドに加入したが、のちにジョー・イングリッシュ・バンドを立ち上げツアーも行なった。その後は宗教(キリスト教)に目覚め、あまり表立った活動はしなくなったということである。ちなみに1990年代後半以降は健康上の問題からほとんど全くプロとしての音楽活動は行なっていないとのこと。
僕が最も好きなジョーのドラムプレイは“Silly Love Songs”のである。これは本当にすばらしいと思う。
前置きが大変長くなってしまったが、以下ポールのインタビューである。
Q:DVDを見ればわかりますが、あなたはビートルズ以降にたくさんのミュージシャンたちと共演してきましたよね。リンダや今のバンドメンバー以外で一番なつかしく思える人は誰ですか?もう一度どこかで一緒にやってみたいと思う人はいますか?
A:ビートルズ以降かい?かなり難しい質問だね。というのも、みんなその人なりにすばらしかったわけだから。それに、僕は新しいバンドにとても満足しているんだ。だから、これから5年先に今のバンドメンバーたちと一緒にやっていなかったとしたら、たぶん彼らの事をなつかしく思うだろうね。そのときに誰を選ぶのかというのはは難しい問題だよ。
実際に頭に浮かぶのはジョー・イングリッシュかな。不思議だけどね。ジョーは本当にすばらしいやつだったし、彼のことが好きだったよ。それに実際すごいドラマーだったしね。そうは言っても、1人だけを選ぶというのはいつも大変な事なんだ。彼のことを思い出したけれども、それはある意味無理やり選んでみたという感じだよ。彼とはいくつかいい思い出があるね。
ジョーがドラムをやっていた1976年当時のウイングスのラインナップはひとつの頂点だったと思う。リンダと僕はいつもその頃がウイングスの頂点だと考えていた。でも、そうかと思えば“My Love”の頃のラインナップを思い出したりもするんだ。元グリース・バンドのギタリスト、ヘンリー・マッカロックがいた頃のウイングスだ。僕にとってヘンリーの頂点は“My Love”のレコーディングのときだった。リハーサルも全部済んでいて、彼の弾くソロも大体わかっていたし、僕はそれでいいと思っていたんだ。僕たちはアビイロードの第2スタジオでオーケストラとのライブ・セッションに臨むところだった。そこで彼がふらふらとやってきて、テイクの直前にこう言ったんだ、「ちょっと違うことをやってみたいんだけど、いいですか?」おいおい、そんな事急に言うなよ、って感じだったね。「台本通りでいこう」と言うのか、それとも「もちろん、やってごらんよ。」と言うのか。
僕の答えは後者だった。“My Love”のソロはこうして生まれたんだ。これは本当にすばらしい瞬間だったと思うよ。疑いなくヘンリーそのものだった。1人だけを挙げるのは難しいし、本当はそんなことすべきじゃないんだ。誰もが皆すばらしかったし、どの瞬間も大切だったしね。
珍しくポールの口からジョー・イングリッシュの名前が出てきたので紹介する。ポールもインタビューの中で語っているとおり、ポール、リンダ、デニー・レイン、ジミー・マッカロック、そしてジョー・イングリッシュの5人からなるウイングスの時代はポールが“バンド”として一つの頂点を迎えた時期だったと思う。中でも、僕はギターのジミー・マッカロックとドラムのジョー・イングリッシュが大好きで、もし聞かれれば歴代のメンバーの中で躊躇なくベスト・ギタリスト、ベスト・ドラマーに選ぶほどだ。
たしかに現在のポール・マッカートニー・バンドはうまいと思う。だが、残念なことに多分に職人的でサウンドに味がないのだ。それに比べ、ジミーのギター、そしてジョーのドラムは今聴いても個性的でとても味がある。ポールだけを追いかけていた10代の頃にはとても気付かなかったことだが、今“Wings Over America
しかし、僕が知るかぎりにおいて、彼ら2人の力量やウイングスへの貢献度が正当に評価されてきたとはとても言い難いものがあるのだ。そういう意味で、ポールがジョーの名前を挙げてくれたことを僕はとても嬉しく思ったのだった。さすがポール。
ついでにウイングス脱退後のジョー・イングリッシュについて少し調べてみた。
彼はウイングスの“London Town
僕が最も好きなジョーのドラムプレイは“Silly Love Songs”のである。これは本当にすばらしいと思う。
前置きが大変長くなってしまったが、以下ポールのインタビューである。
Q:DVDを見ればわかりますが、あなたはビートルズ以降にたくさんのミュージシャンたちと共演してきましたよね。リンダや今のバンドメンバー以外で一番なつかしく思える人は誰ですか?もう一度どこかで一緒にやってみたいと思う人はいますか?
A:ビートルズ以降かい?かなり難しい質問だね。というのも、みんなその人なりにすばらしかったわけだから。それに、僕は新しいバンドにとても満足しているんだ。だから、これから5年先に今のバンドメンバーたちと一緒にやっていなかったとしたら、たぶん彼らの事をなつかしく思うだろうね。そのときに誰を選ぶのかというのはは難しい問題だよ。
実際に頭に浮かぶのはジョー・イングリッシュかな。不思議だけどね。ジョーは本当にすばらしいやつだったし、彼のことが好きだったよ。それに実際すごいドラマーだったしね。そうは言っても、1人だけを選ぶというのはいつも大変な事なんだ。彼のことを思い出したけれども、それはある意味無理やり選んでみたという感じだよ。彼とはいくつかいい思い出があるね。
ジョーがドラムをやっていた1976年当時のウイングスのラインナップはひとつの頂点だったと思う。リンダと僕はいつもその頃がウイングスの頂点だと考えていた。でも、そうかと思えば“My Love”の頃のラインナップを思い出したりもするんだ。元グリース・バンドのギタリスト、ヘンリー・マッカロックがいた頃のウイングスだ。僕にとってヘンリーの頂点は“My Love”のレコーディングのときだった。リハーサルも全部済んでいて、彼の弾くソロも大体わかっていたし、僕はそれでいいと思っていたんだ。僕たちはアビイロードの第2スタジオでオーケストラとのライブ・セッションに臨むところだった。そこで彼がふらふらとやってきて、テイクの直前にこう言ったんだ、「ちょっと違うことをやってみたいんだけど、いいですか?」おいおい、そんな事急に言うなよ、って感じだったね。「台本通りでいこう」と言うのか、それとも「もちろん、やってごらんよ。」と言うのか。
僕の答えは後者だった。“My Love”のソロはこうして生まれたんだ。これは本当にすばらしい瞬間だったと思うよ。疑いなくヘンリーそのものだった。1人だけを挙げるのは難しいし、本当はそんなことすべきじゃないんだ。誰もが皆すばらしかったし、どの瞬間も大切だったしね。