“Memory Almost Full” 寸評その4
各曲目について 1~3曲目 ( )内は10点満点で自己採点
“Dance Tonight”
64才にして初めてマンドリンの弾き方を覚え、その勢いでいとも簡単に曲を作ってしまうところがいかにもポールらしい。そういえばマンドリンをフィーチャーしたポップソングというのはこれまで全くなかった気がする。イントロはよく聴くと“I'm Looking Thorough You”のイントロに少し似ているような・・・。
これでスーパーマルチプレーヤーのレパートリーがまた1つ増えたわけで、常に新しいことに挑戦し続ける姿勢がすばらしい。
ポール自身も語っているように、全アルバム中一番最後に作曲された曲だが、最終的に見事オープニングチューンに選ばれた。きっとポール自身もお気に入りの曲なのだろう。シングル・カットされ、アルバムのプロモーションクリップ的な役割も果たしている。
ただファンの間ではシングルカットについては賛否両論で、ファースト・シングルとしては曲が弱いとの声も。僕自身もどちらかといえば否定派で、個人的には“Only Mama Knows”、“See Your Sunshine”、“Mr. Bellamy”あたりをシングルにしてほしかったところだ。(それにしてもいい曲が多い!)しかし、ライブでこの曲を演奏すれば盛り上がることは間違いない。「今夜は皆でダンスを踊ろう」というテーマはライブにはうってつけの曲といえる。日本公演でポールと一緒にステップを踏みたいものだ。(7)
“Ever Present Past”
典型的なポール製ポップソングといった感じだが、ポール自身初めから「ポップでキャッチーな曲を狙って書いた曲」ということである。悪く考えれば受け狙いの曲?とも取れるのだが、ポップソングを書こうと思って書けてしまうあたり、やはり天才ならではの芸当といえるだろう。素直に見事と言う他はない。
曲の出来はまさに職人芸とでもいえるもので、「何から何まで全部一人でやりました」感がとても良く出ている。たしかに一聴するとキャッチーなポップソングなのだが、実際に聴きこんでみると曲の厚みやアレンジの緻密さが半端ではないことがわかるだろう。“McCartney Ⅱ”における多重録音などと比較しても、完成度はこの曲が数段上回るように思われる。ポールは今もなお進化し続けているのだ。
アメリカではシングルカットされたが、爆発的なヒットには至らなかったものの、売れなかった=つまらない曲と単純に決めつけられない魅力にあふれている。
イントロのギターだけを聴いても、これまでのマッカートニーサウンドにはない斬新な試みが感じられる。(7)
“See Your Sunshine”
イントロのコーラス部分を初めて聴いたときは衝撃だった。冗談抜きで全く別のアーティストの曲が何かの間違いでポールのCDに紛れ込んだのではないかと思ったのである。この曲のイントロはそれくらいポールのイメージとは遠くかけ離れた印象を僕に中に残していった。
この曲に流れるソウルフルな感覚は・・・モータウン調などといえば言い過ぎかもしれないが、70年代に黒人アーティスト達が好んで使った手法を思い起こさせるものがある。たとえばアース・ウィンド&ファイヤーのように。
ポールのヴォーカルが入ってくると、なるほど安心して聴ける彼らしいポップチューンに様変わりするのであるが、ともかくコーラス部分は長年のファンを驚かせるには十分な爆弾といっていいだろう。
演奏についてはポール自身がこの曲の印象的なベースプレイについて語っている。調子に乗ってちょっとやり過ぎかな、と思えるほどに弾いてみたらプロデューサーのデビッドが最高と言ったので採用したのだという。ポールは、たまたまこの曲に合っていたから結果オーライだというような言い方をしているが、意外に自身のプレイに関して保守的というポールの側面がここにも表れているようだ。
つい最近、この曲はヘザーとまだ仲が良かった時期に作ったものだとポールが語りニュースになっていた。たとえ別れた相手であっても、その人と過ごしたすばらしい時間は大切にしたいと思っているからだという。人間そうありたいとは思っていても実際にはなかなかできる芸当ではない。
こんなエピソードからも、ポールは本当に愛にあふれた人だと心から感心してしまうのである。(7)
“Dance Tonight”
64才にして初めてマンドリンの弾き方を覚え、その勢いでいとも簡単に曲を作ってしまうところがいかにもポールらしい。そういえばマンドリンをフィーチャーしたポップソングというのはこれまで全くなかった気がする。イントロはよく聴くと“I'm Looking Thorough You”のイントロに少し似ているような・・・。
これでスーパーマルチプレーヤーのレパートリーがまた1つ増えたわけで、常に新しいことに挑戦し続ける姿勢がすばらしい。
ポール自身も語っているように、全アルバム中一番最後に作曲された曲だが、最終的に見事オープニングチューンに選ばれた。きっとポール自身もお気に入りの曲なのだろう。シングル・カットされ、アルバムのプロモーションクリップ的な役割も果たしている。
ただファンの間ではシングルカットについては賛否両論で、ファースト・シングルとしては曲が弱いとの声も。僕自身もどちらかといえば否定派で、個人的には“Only Mama Knows”、“See Your Sunshine”、“Mr. Bellamy”あたりをシングルにしてほしかったところだ。(それにしてもいい曲が多い!)しかし、ライブでこの曲を演奏すれば盛り上がることは間違いない。「今夜は皆でダンスを踊ろう」というテーマはライブにはうってつけの曲といえる。日本公演でポールと一緒にステップを踏みたいものだ。(7)
“Ever Present Past”
典型的なポール製ポップソングといった感じだが、ポール自身初めから「ポップでキャッチーな曲を狙って書いた曲」ということである。悪く考えれば受け狙いの曲?とも取れるのだが、ポップソングを書こうと思って書けてしまうあたり、やはり天才ならではの芸当といえるだろう。素直に見事と言う他はない。
曲の出来はまさに職人芸とでもいえるもので、「何から何まで全部一人でやりました」感がとても良く出ている。たしかに一聴するとキャッチーなポップソングなのだが、実際に聴きこんでみると曲の厚みやアレンジの緻密さが半端ではないことがわかるだろう。“McCartney Ⅱ”における多重録音などと比較しても、完成度はこの曲が数段上回るように思われる。ポールは今もなお進化し続けているのだ。
アメリカではシングルカットされたが、爆発的なヒットには至らなかったものの、売れなかった=つまらない曲と単純に決めつけられない魅力にあふれている。
イントロのギターだけを聴いても、これまでのマッカートニーサウンドにはない斬新な試みが感じられる。(7)
“See Your Sunshine”
イントロのコーラス部分を初めて聴いたときは衝撃だった。冗談抜きで全く別のアーティストの曲が何かの間違いでポールのCDに紛れ込んだのではないかと思ったのである。この曲のイントロはそれくらいポールのイメージとは遠くかけ離れた印象を僕に中に残していった。
この曲に流れるソウルフルな感覚は・・・モータウン調などといえば言い過ぎかもしれないが、70年代に黒人アーティスト達が好んで使った手法を思い起こさせるものがある。たとえばアース・ウィンド&ファイヤーのように。
ポールのヴォーカルが入ってくると、なるほど安心して聴ける彼らしいポップチューンに様変わりするのであるが、ともかくコーラス部分は長年のファンを驚かせるには十分な爆弾といっていいだろう。
演奏についてはポール自身がこの曲の印象的なベースプレイについて語っている。調子に乗ってちょっとやり過ぎかな、と思えるほどに弾いてみたらプロデューサーのデビッドが最高と言ったので採用したのだという。ポールは、たまたまこの曲に合っていたから結果オーライだというような言い方をしているが、意外に自身のプレイに関して保守的というポールの側面がここにも表れているようだ。
つい最近、この曲はヘザーとまだ仲が良かった時期に作ったものだとポールが語りニュースになっていた。たとえ別れた相手であっても、その人と過ごしたすばらしい時間は大切にしたいと思っているからだという。人間そうありたいとは思っていても実際にはなかなかできる芸当ではない。
こんなエピソードからも、ポールは本当に愛にあふれた人だと心から感心してしまうのである。(7)