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ポールの曲 “So Bad(ソー・バッド)”

ポールのファルセット・ヴォイスが印象的な美しいラヴ・バラード。
ビートルズ時代にも匹敵する創造力の息吹を感じさせる名曲である。
今やマッカートニー・スタンダードの一曲にも挙げられるだろう。

詩の内容は極めてシンプル。

心の中が痛むんだ
君は大切な人

君のことをどうしようもなく愛してしまったんだ

君がいなくなると
痛みも去ってゆくけれど
それは僕にとっては良くないこと

君のことをどうしようもなく愛してしまったんだ

(抄訳)

ビートルズ初期にもつながるようなシンプルなラヴソングである。
余談になってしまうが、ビートルズ初期のストレートなラヴソングには思わず顔を赤らめてしまうようなものが多かった。
「愛は金で買えない」(Can't Buy Me Love)などはまだいいほうで、「君の手を握りたい」(I Want to Hold Your Hand)、「彼女は君が好き」(She Loves You)、「僕から君へ」(From Me to You)などなど。
ある意味無邪気で、純粋無垢な愛の歌がビートルズの原点であった。つまり、“So Bad”もそういう曲のひとつということだ。

演奏面では、特にメロディアスで溜めのきいたポールならではのベースプレイはファンをうならせるだろうし、リンダのキーボードとコーラスも、ことこの曲に関しては全く見事という他はない。ポールをしっかりとサポートしている。

映像としては、シングル発売用のプロモーションビデオと映画“Give My Regards to Broad Street ”の演奏シーンがどちらも甲乙つけがたい出来となっている。
特にファンとして嬉しいのは、どちらのビデオでもリンゴがバックでドラムを叩いていることである。
ポールはまだまだ若々しくてカッコよく、リンダも美しい。今から考えると全く夢のようなシーンであり、貴重な映像だ。

この“So Bad”が収録されているアルバム“Pipes of Peace”は、大ヒットした“Tug of War”の次に発表された。
不思議なのは、このアルバムがそれほどヒットしなかったということだ。
なにしろシングル“Say Say Say”は全米No.1を記録していたし、アルバムと同名のシングル盤“Pipes of Peace”はイギリスでNo.1になった。
他の収録曲にしても、決して悪い曲が並んでいるというわけでもない。(実際Amazon.co.jpで検索すると、このアルバムの検索結果はポールの全アルバムの中でも割と上位に位置していた)
にもかかわらず、アルバムは全米でNo.1を取れなかったのだ。そして、結局現在に至るまで全米No.1のアルバムは生まれていない。
実際このアルバム以降、アメリカにおけるポールのアルバムの売り上げは激減の道をたどることになる。だが、その話はまた時を改めることにしよう。

ともかく、売れようが売れまいが、ポールが天才の輝きを失っていないことを示したのがこの曲“So Bad”だった。

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