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『マッカートニーⅢ』について正直に書こう

僕がこのブログを運営するにあたって気を付けていることの一つ・・・それは極力否定的、もしくはネガティブな内容は書かないということである。その理由はただ単純で、ネガティブな事を書いても楽しくないからだ。

しかし、時には書かなければならない時もある。たとえそれが大きな痛みを伴うようなものであるとしても・・・。

アルバム『マッカートニーⅢ』については、僕は事あるごとにこのアルバムがあまり好きではないことをちらつかせてきた。しかし、僕は1枚のアルバムについてある程度固まった意見なり、感想を語れるようになるまでには少なくとも1~2年の時間は必要だと考えている。だから僕は期が熟する時を待っていたのである。

『マッカートニーⅢ』は2020年12月18日に発売された。つまり、発売されてからもうすぐ2年が経とうとしているということになる。30年ぶりに「マッカートニー」のタイトルが冠されたこのアルバムは発売前から大きな話題を呼び、イギリスでは31年ぶりにチャート1位を獲得、アメリカでも最高位2位と、チャート成績だけを見れば2000年以降ポールが最も大きな成功を収めたアルバムの一つとなった。

しかしながら、過去約45年以上もポールの作品をリアルタイムで聴き続けてきた僕にしてみれば、『マッカートニーⅢ』は残念ながら彼の全作品の中でも最も出来の悪い作品の一つに数えざるをえないというのが偽らざる気持ちなのである。
(僕は好きでない作品まで「良かったね」とアーティストに対しておべっかを使うような類いのファンではない)

だが、「出来が悪い」というのはあまり正確な表現ではないかもしれない。各曲のアレンジや録音のクオリティ自体はけっして悪いものではないと思うからだ。問題は、いかんせん標準的なポールのアルバムに比べていい曲が少なすぎるのだ。

率直に言ってこのアルバムは内容的にはとても1位を獲れるようなものとは思えない。これまでポールの過去作品には辛口な評価が多かったウィキペディアでの評価(専門家によるレビュー)がすべて★4つ、というのも不可解だし、アマゾンのカスタマーレビューを見ても平均4.5点という高評価である。通常ならばファンとしてこれは喜ぶべき状況なのだが、ここまで作品と一般的な評価が乖離しているとなると、僕も黙っているわけにはいかない。まあこの状況を冷静に客観的に見れば僕一人が狂っていて、世間の評価が正しいということになるのかもしれないが・・・。

さて僕は「いい曲が少なすぎる」と書いたが、ポールの標準的なアルバムとはいったいどのくらいの比率でいわゆる「いい曲」が収録されているのだろうか?もちろん、これは簡単にいえば「好き嫌い」なので個人差があるだろう。しかし、僕自身の感覚ではポールのアルバムは「どんなに悪くても」半分以上はいわゆる「いい曲」で占められている、というのが正直な感想である。これが、評価の高いアルバムになればなるほどその割合が6割とか、7割とか、場合によっては8割というぐあいにアップしてゆくということになる。たとえば、ソロ期の最高傑作と誉れ高い『バンド・オン・ザ・ラン』を例に挙げると、全収録曲9曲のうち、僕の評価基準でいい曲でない曲は『ピカソの遺言』ただ1曲だけである。つまり、それ以外の8曲はすべて「いい曲」なのである。これは割合でいうと、8÷9で、8割8分という高確率なのだ。

こんな高確率で「いい曲」が入っていても特に驚きもしない。それがいわゆるポール・マッカートニーの標準的なアルバムだと僕は思っている。いや思ってきた。つまりポールのアルバムにはいわゆる駄作というものが極めて少ないのだ。

そして、だからこそ、『マッカートニーⅢ』には違和感ありまくりなのである(笑)。

『マッカートニーⅢ』全収録曲11曲中、僕が同じ基準で「いい曲」と思う曲はなんと1曲目の『ロング・テイルド・ウィンター・バード』と2曲目の『ファインド・マイ・ウェイ』のわずか2曲だけなのである。その割合は2÷11で、1割8分という低確率なのだ。
とはいえ、残り9曲がすべて駄作と言い切るつもりもないのだが、ともかく僕基準では「いい曲」とは呼べない曲ばかりがその後9曲連続で続くことになる。まさにこれは異常事態なのである。

これまでは、いい曲に挟まれていたがゆえにアルバム全体として見れば「この曲が入っているのも容認できる」・・・というような事がたくさんあったのである。少なくとも9曲連続でいい曲がない、などということはただの一度もなかった・・・。

たとえば『ディープ・ディープ・フィーリング』のような曲もいい曲がたくさんある中で箸休め的に1曲入っていれば、これは容認できる。しかし、同系統の『ディープ・ダウン』が同じアルバムに入っていて、しかも隣り合わせの曲も今イチの曲となれば、これはもうアルバム全体が散漫で小粒な印象しか与えないのである。また『ホエン・ウィンター・カムズ』のような魅力的な小品も、前後にいい曲があるかないかで印象がまったく変わってくる。

つまり結論として、『マッカートニーⅢ』は収録曲がこれまでの標準的なポールのアルバムに比べて非常に劣るというのが僕の最終的な意見である。さらっと言っているが、これは1ファンとしてとてもとてもショッキングで落ち込む事実であることを最後に強調しておきたい。これまで約45年間、ずっとポールの作品を聴き続けてきた中で、何があっても高いレベルを維持してきたポールの楽曲の質が、今ここにきて初めて崩れたことを指摘しなくてはならないとは・・・。まさかそんな日が来るとは夢にも思っていなかった。

『エジプト・ステーション』もいいアルバムだったので、どうかこのままでは終わらないでほしいと思う。

というわけで、『マッカートニーⅢ』の正直な感想でした!(笑)

けっこう暗い気分になってしまったので、気を取り直してこれから過去アルバムの再レビューでもやってみようかな、などと考えている次第。でも開始時期は不明です(笑)。

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