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『ザ・ビートルズ:ゲット・バック』の感想 その9 - Macca Go Go Go! ポール・マッカートニーファンブログ・・・プラス!PLUS!+!

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『ザ・ビートルズ:ゲット・バック』の感想 その9

この記事にはネタバレが含まれます。

第2部(Part 2)

【8日目】 1月13日(月)
冒頭、黒い背景に以下のテロップが流れる。
「アルバムと特番のリハーサルが続く中、不満を抱えたジョージが金曜日バンドを脱退する。
日曜日の会合で問題は解決せず、プロジェクトのみならず、グループの先行きも不透明に・・・。」

4人揃っての日曜日のミーティングで問題が解決しなかったことが、当時の状況の深刻さを伝えている。それはまったく冗談ではなかったということだ。
ひょっとしたらジョージ以外の3人の誰かが、もしくは全員が「どうせ彼はすぐに戻るさ」と思っていたかもしれない。だが、日曜のミーティングで3人はジョージを説得することができなかった。ジョージは本気だったのである。

そして週明け月曜の朝、定刻に姿を現したのはリンゴただ一人。
このドキュメンタリーを観るかぎり、とにかくリンゴという人は時間を守る律儀な人であるらしいことがわかる。そして、その次に時間に正確なのはポールだ。

まだ薄暗いスタジオの中で、リンゴとスタッフたちの間で話し合いが始まる。しばらくしてポールとリンダがスタジオに姿を見せ、その話し合いに加わる。

この話し合いの中で重要な点は、脱退話がただ単にジョージについてだけではなかったということである。ここでポールが皆に明かしたのは、日曜日のミーティングではジョンは何も話さず、なんとヨーコが彼を代弁していたということであった。つまり問題は二重に複雑になっていたということだ。

以下、ポールの説明が続く。(少し長いが、重要な場面なので引用する)
ポール「要はジョンとヨーコはずっと一緒にいたいんだ。なら若い2人を一緒にいさせてやろう。皆ビートルズから多くを得た。だからヨーコとビートルズどちらを取ると迫れば、彼は彼女を選ぶ。」
スタッフの誰か「でも前にジョンと話したら、ビートルズでいたいと言った。」
リンゼイ・ホッグ監督「ヨーコが来る前はよく共作を?」
ポール「もちろん。減ってたがね。一緒に演奏しなくなったから。昔は朝から晩まで同じホテルにいた。音楽的には昔より演奏能力は向上している。でも肝心なのは親密さなんだ。ヨーコがいると白い壁についての曲を書いちまう。2人の好みだと思ってね。でも気に入ってもらえない。とにかく2人は一緒にいたいだけだ。だから2人に”ダメだ”なんて言うのはバカげてるよ。職場環境が悪いからストを起こすとか、”これでは働けない”なんて言っちゃダメだ。2人はやり過ぎだが、ジョンは極端だろ。”分別を持てよ”と言ってもムダさ。決めるのは彼だ。口を挟むことじゃない。」
ニール・アスピノール「でも、彼も譲歩はしなきゃ。」
ポール「譲歩させるにはまず僕らが譲らなきゃ。どちらも譲歩しないのはバカみたいだ。多分僕らには父親のようなまとめ役が要る。”恋人は連れてくるな”と言ってくれる人がね。でも解散の理由が”ヨーコがアンプに座ってたから”ではね。50年後には大笑いされるぞ。本当かよってね。”彼が女を連れ込むせいだ””それが理由?”別に地球を揺るがすような争いじゃない。」
ポール「ジョンに電話は?」
ニール・アスピノール「マルが掛けたがずっと話し中だ」

このスタッフとの会話の中でポールが示したものはジョンに対する驚くべき寛容さと、ジョンの性格を最も知り尽くしているがゆえに彼を弁護し、擁護してやろうという非常に強い意志である。ひと言でいって、このポールの対応は極めて大人の対応である。僕には20代の世間知らずのロックスターがやる対応とはとても思えない。

要するに、当時から周囲にいる誰もがヨーコを現場から排除してしまいたいと思っていたということだ。だが、誰も面と向かってはそれを言えなかった。しかし、ポールはそんなジョンとヨーコに対して驚くべき寛容さを示し、大切なのはまず彼らよりも先に自分たちが譲歩することであるとスタッフ全員に訴えたのである。これは偉大な意思表明であり、ポールが単なる目立ちたがり屋、仕切り屋ではなかったことを証明している。実際、あの状況の中にいて、これほどはっきりと事の本質を見抜き、それを全員の前で語ることができた者はポール以外にはあり得なかったであろう。いや、バンドはもっと早く空中分解していたであろう。この時点において、ポールはまちがいなくバンドの解散を阻止したのである。

そして、このドキュメンタリー全体で最もエモーショナルな場面がやってくる。
リンゼイ・ホッグ監督「ジョンに少しは協力しろと迫る気はある?」(この言葉がジョンが全体の事をまったく気にかけていなかったことを示している)
ポール(目に涙を浮かべて)「どうかな・・・」「そして2人だけになってしまった」
リンゴも目を拭う仕草を見せる。
ここで見せるポールとリンゴの表情がすべてを物語っている。少なくとも彼ら2人はバンドが解散することをまったく望んでいなかった。それだけは確かである。

そして、このあと花瓶に仕込まれた隠しマイクで、ジョンとポールが話す「本音」の会話が50年の時を経て初公開される。それは完全に2人だけのプライベートな会話であった。ジョンとポールはお互いの本音を伝え合った。そして、この会話こそが、当時の最悪な状況を改善する大きなきっかけになるのである。

この会話の中で特に僕の心に残ったポールの言葉を引用しておこう。
ポール「でも実際彼(ジョージのこと)は正しいよ。結局は僕らが悪いんだ。全員が別の方向に進んでる。でもいつか来るよ。君(ジョンのこと)が好きなように歌える日が来るさ。ジョージは何の指示もされず好きに弾ける日がね。」
ポール派の僕は声を大にして言いたい。ポールはただの自己中なヤツじゃなかった。彼はビートルズに対する大きな愛ゆえに自分が悪者になることも厭わなかったのだ、と。

そして、再びジョージと話をしようということで意見が一致する。しかし、ジョージはリバプールに帰っており、水曜までロンドンに戻らないという。

というわけで、ジョージが戻る水曜日までは3人でのリハーサルが再開されるのだった。

"Get Back"
ポールは以前と変わらないが、ジョンが心なしか何か吹っ切れたようなすっきりした表情をしているように感じられる。これもポールとの会話の結果なのか・・・。とにかく、このあとジョンが復活するのだ!

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