FC2ブログ

『ザ・ビートルズ:ゲット・バック』の感想 その4 - Macca Go Go Go! ポール・マッカートニーファンブログ・・・プラス!PLUS!+!

Macca Go Go Go! ポール・マッカートニーファンブログ・・・プラス!PLUS!+! ホーム » ザ・ビートルズ:ゲット・バック » 『ザ・ビートルズ:ゲット・バック』の感想 その4

『ザ・ビートルズ:ゲット・バック』の感想 その4

この記事にはネタバレが含まれます。

【3日目】 1月6日(月)
土日休みを挟んでのリハーサル3日目。

未だ十分な機材がそろっていないトゥイッケナム映画スタジオにジョージの私物である8トラック録音機が運び込まれる。

ビートルズほどのグループがリハーサルを始めるのにほとんど何も機材がそろっていない・・・。しかし、メンバーたちも大した不快感を表わすことなく高価な私物機材を現場に提供する・・・。時代が違うと言ってしまえばそれまでだが、なんとも言えぬ人間としての大きさ、おおらかさを感じてしまうのは果たして僕だけだろうか。

それにしても、当時すでに音楽界の頂点に君臨していたはずの4人だが、彼らの言動は実に自然で嫌味がなく、まったく偉そうにしている印象を与えないのは驚くべきことであると思う。

"You Wear Your Women Out"
"My Imagination"
3日目のリハーサルシーンはビートルズ4人による共作ナンバー2曲から始まる。ファンならばもう少し聴いてみたいと思うところだが、残念なことにどちらも数秒しか流れない。このドキュメンタリーでは多くの曲が演奏されるが、最終的にアルバムに採用された曲以外のほとんどの曲は10秒以内に切られてしまう。それは編集上やむを得ずなのか、それとも聴くに値しないという判断なのか、そのあたりは未だ不明である。いずれにせよ、さらに長い『ゲット・バック完全版』がいつの日か公開されることはおそらく間違いないであろうと個人的には思っている。

"Don't Let Me Down"
おそらくこのドキュメンタリーで最も多く演奏される曲の一つである。この日のリハーサルでは特にコーラス部分に試行錯誤する過程が克明に記録されている。ここでは主にポールが主導的な役割を果たし、なんとか曲をまとめようという意気込みが強く感じられる(しかしけっして高圧的ではなく協調的である)。
トゥイッケナム映画スタジオにおけるリハーサル全体に言えることだが、ここでのジョンは総じて発言が控えめに思われる。この場面でも曲自体はジョンのものであるにもかかわらず、あえて主導権をポールに握らせているようにさえ感じられる。
面白いのはさんざんいろいろやったあげく、ジョージがかなり辛辣な言葉で曲の仕上げ方に文句を言っていることである。彼がここまで直接的であるというのは多くの人にとってきっと驚きであるにちがいない。しかも、「彼の主張は正しく思われる」のである(笑)。

だが、リハーサルは遅々として進まない。それは以下のジョージの言葉に表れている「ざっと試したのが4曲。何も覚えてないぞ。」そして、この状況に一番焦っているのはポールである。その結果ここではこのドキュメンタリーで一番ともいえる意見のぶつかり合いも生じている。
この場面でポールは、ここ数年自分は仕切り役を演じてきたこと、だが好きで仕切り役をしているわけではないこと、他に誰もやろうとしないからやっているだけだということ、他の3人は「またか」という目で自分を見て誰も自分をサポートしてくれないこと、ジョージを責めているわけではないこと、ただこんな風にやったらどうかなと言っているだけだということ、等々をメンバーたちに向かって語りかける。

そして、このポールの発言のあと、有名なジョージの言葉が続く「わかったよ、君の望むとおりに弾く。望まないなら弾かない。君が喜ぶことなら何でもやるさ。でも、君はわかってないよ。」

上記に対するポールの答えは「とにかくやらなきゃ。何とか解決しよう。特番用に曲を仕上げる必要がある。取り組んだのはまだ4曲だけ。20~30曲は仕上げないと。ちゃんと覚えるんだ。コードを覚えれば即興だってできる。必要なソロも弾ける。とにかくサウンドの向上だよ。」

そしてポールが「とにかく他の曲をやろうか」と言いリハーサルが再開される。

ここで僕が見たものは、なんとかバンドをまとめて多くの曲をモノにしようとがんばるポールと、それに対して辛辣な言葉で返したジョージ。だが、その言葉に感情論で切り返すのではなく、極めて冷静に状況を説明し前に進もうとするポールの姿だった。

要するに、映画『レット・イット・ビー』では、前後の流れを無視して特定の言葉だけを切り取ることによって、まったく別の印象を与える結果になってしまっていた、ということである。

この場面だけを切り取ることにより、ポールはすごく利己的で、ワンマンで、相手の気持ちを理解しないイヤな奴という印象を与えられてしまった。それが悪意をもって行われたことであるかどうかは今の僕にはわからない。しかし、結果的にポールは世界中の多くのビートルズファンを敵に回すことになったことだけはたしかである。

前後を切り取らないで、この場面の全体像を視聴者に見せることにより、ピーター・ジャクソン監督は事の真相を世界に知らしめたのである。ポールファンである僕にとって、この場面はポールが失われた威信を完全に回復した歓喜の瞬間であった。ポールの深い傷もきっと癒されたことであろう。

"Two Of Us"
そして、ある意味これだけの口論があったにもかかわらず、その後もポールとジョージはまるで何事もなかったかのように言葉をかけ合いながら"Two Of Us"をリハーサルしている。これはビートルズがちょっとやそっとの口論でバラバラになるようなグループではないことを示している。

かくして「波乱の3日目」が終了した。このあとリハーサルはどうなっていくのであろうか・・・。


ディズニープラスのトップページ
https://disneyplus.disney.co.jp/

レット・イット・ビー スペシャル・エディション (スーパー・デラックス)(完全生産限定盤)(SHM-CD)(5枚組)


公式書籍 ザ・ビートルズ:Get Back(日本語版)


関連記事