マッカートニーⅢ 今日のひとりごと(1)
今日の1曲:『ハング・オン・トゥー・ユア・ラヴ』/シャーデー
1970年の『マッカートニー』発売から50年、1980年の『マッカートニーⅡ』発売から40年ということで、『マッカートニーⅢ』に対するファンの期待はいやがおうにも高まってしまうのである。僕自身最初このニュースを聞いたときは本当にびっくりしたし、期待と胸の高まりをどうにも抑えることができなかった。
だが、慌ててはいけない。ファンのサガとしてはどうしても歴史的名盤の登場を期待してしまうのであるが、過度の期待は禁物である。なぜなら、『マッカートニーⅢ』というアルバムはポール自身が語っているように、初めから1枚のアルバムにしようと意図して作られたアルバムではないからである。
ポールはただコロナウィルスの影響でコンサートや、ほとんどの仕事をキャンセルせざるを得ない状況に置かれ、サセックスの自宅に引きこもらざるを得なくなった・・・。そして、有り余る時間の中で、自宅スタジオにて未完成だったいくつかの仕事に手を付け始める。すると思いのほかスタジオワークが楽しくなり、自発的に気の向くままに新曲を作り、レコーディングを始める流れに自然となったというのだ・・・。だが、ここで覚えておくべきことは、ポールは最初からアルバムを作ろうなどという意図はまったくなく、1枚のアルバムとしてまとめてみようと思ったのは、あくまでも作業の最終段階になってからだった、ということである。
驚くなかれ、ポールは本当に『マッカートニーⅢ』を自分が作ることになるだろうとは思っていなかったのである。
その理由として、ポールはファイヤーマン・プロジェクトに代表されるような自発的で、実験的で、セールスを考慮しないアルバムをこれまでに何枚も作ってきたからだと語った。
なるほど、そういえばそうである。たとえば『エレクトリック・アーギュメンツ』のようなアルバムは『マッカートニーⅢ』というタイトルで発売したとしても、それはそれで納得できるような内容であった。
だから、ファンの期待とは裏腹に、ポール自身の中では『マッカートニーⅢ』制作の構想はそもそも初めからなかったということなのだ。
これが一つ・・・。そして、もう一つは、予想に反して今回ポールはほとんどの曲を新たに書き下ろしたということである。僕が最初『マッカートニーⅢ』の知らせを聞いたとき、僕の頭に浮かんだのは、ポールがこれまでに未発表、未完成のまま残されていた曲を整理し、あるいは録音し直して、1枚のアルバムにまとめるのではないかということだった。というのも、新曲をたくさん書くにはそれなりの時間が必要だろうと思ったからである。
しかし、最近のインタビューで、ポールは2、3の例外を除いて、ほとんどの曲が新曲であると語っている。なんとポールはすべての曲をたった一人で歌い、演奏し、録音し、その上10曲近くの曲を新たに書き下ろして、たった9週間でこのアルバムを仕上げたのである。
衰えぬ才能と創作意欲にはただただ驚くのみであるが、反面たった9週間で真に名盤と呼べるような作品がいとも簡単に作れるものなのかどうか・・・。しかも、制作の全工程がほぼポール単独で、となると、たとえポールほどの天才といえどもそれほど簡単ではないのではないか・・・素直にそう思ってしまうのである。
以上の状況から判断すると、『マッカートニーⅢ』に『バンド・オン・ザ・ラン』や『ヴィーナス・アンド・マース』、『タッグ・オブ・ウォー』等の名盤に匹敵するような内容を期待すること自体がそもそも間違いであることがわかる。
ゆえに『マッカートニーⅢ』とは、世間の期待や評判などはまったく気にかけずに、ポールがただ楽しんで、自分が好きな事だけを好きなようにやった。それをただ録音しただけのアルバム、と考えたほうが健全ではないかと思えるようになった。つまりこのアルバムは汚いビジネスの世界とはまったく無縁の、たとえて言うなら、ポールのプライベートな日記帳を僕たちファンのために公開してくれるような、そんな作品なのである。
だから本当にポールのことが好きな人だけがこのアルバムを買えばいいのだ。僕もチャート1位などと大それたことを言うのは今回はやめにしようと思う(笑)。
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今日の1曲:『ハング・オン・トゥー・ユア・ラヴ』/シャーデー
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1970年の『マッカートニー』発売から50年、1980年の『マッカートニーⅡ』発売から40年ということで、『マッカートニーⅢ』に対するファンの期待はいやがおうにも高まってしまうのである。僕自身最初このニュースを聞いたときは本当にびっくりしたし、期待と胸の高まりをどうにも抑えることができなかった。
だが、慌ててはいけない。ファンのサガとしてはどうしても歴史的名盤の登場を期待してしまうのであるが、過度の期待は禁物である。なぜなら、『マッカートニーⅢ』というアルバムはポール自身が語っているように、初めから1枚のアルバムにしようと意図して作られたアルバムではないからである。
ポールはただコロナウィルスの影響でコンサートや、ほとんどの仕事をキャンセルせざるを得ない状況に置かれ、サセックスの自宅に引きこもらざるを得なくなった・・・。そして、有り余る時間の中で、自宅スタジオにて未完成だったいくつかの仕事に手を付け始める。すると思いのほかスタジオワークが楽しくなり、自発的に気の向くままに新曲を作り、レコーディングを始める流れに自然となったというのだ・・・。だが、ここで覚えておくべきことは、ポールは最初からアルバムを作ろうなどという意図はまったくなく、1枚のアルバムとしてまとめてみようと思ったのは、あくまでも作業の最終段階になってからだった、ということである。
驚くなかれ、ポールは本当に『マッカートニーⅢ』を自分が作ることになるだろうとは思っていなかったのである。
その理由として、ポールはファイヤーマン・プロジェクトに代表されるような自発的で、実験的で、セールスを考慮しないアルバムをこれまでに何枚も作ってきたからだと語った。
なるほど、そういえばそうである。たとえば『エレクトリック・アーギュメンツ』のようなアルバムは『マッカートニーⅢ』というタイトルで発売したとしても、それはそれで納得できるような内容であった。
だから、ファンの期待とは裏腹に、ポール自身の中では『マッカートニーⅢ』制作の構想はそもそも初めからなかったということなのだ。
これが一つ・・・。そして、もう一つは、予想に反して今回ポールはほとんどの曲を新たに書き下ろしたということである。僕が最初『マッカートニーⅢ』の知らせを聞いたとき、僕の頭に浮かんだのは、ポールがこれまでに未発表、未完成のまま残されていた曲を整理し、あるいは録音し直して、1枚のアルバムにまとめるのではないかということだった。というのも、新曲をたくさん書くにはそれなりの時間が必要だろうと思ったからである。
しかし、最近のインタビューで、ポールは2、3の例外を除いて、ほとんどの曲が新曲であると語っている。なんとポールはすべての曲をたった一人で歌い、演奏し、録音し、その上10曲近くの曲を新たに書き下ろして、たった9週間でこのアルバムを仕上げたのである。
衰えぬ才能と創作意欲にはただただ驚くのみであるが、反面たった9週間で真に名盤と呼べるような作品がいとも簡単に作れるものなのかどうか・・・。しかも、制作の全工程がほぼポール単独で、となると、たとえポールほどの天才といえどもそれほど簡単ではないのではないか・・・素直にそう思ってしまうのである。
以上の状況から判断すると、『マッカートニーⅢ』に『バンド・オン・ザ・ラン』や『ヴィーナス・アンド・マース』、『タッグ・オブ・ウォー』等の名盤に匹敵するような内容を期待すること自体がそもそも間違いであることがわかる。
ゆえに『マッカートニーⅢ』とは、世間の期待や評判などはまったく気にかけずに、ポールがただ楽しんで、自分が好きな事だけを好きなようにやった。それをただ録音しただけのアルバム、と考えたほうが健全ではないかと思えるようになった。つまりこのアルバムは汚いビジネスの世界とはまったく無縁の、たとえて言うなら、ポールのプライベートな日記帳を僕たちファンのために公開してくれるような、そんな作品なのである。
だから本当にポールのことが好きな人だけがこのアルバムを買えばいいのだ。僕もチャート1位などと大それたことを言うのは今回はやめにしようと思う(笑)。
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