『マッカートニー』と『マッカートニーⅡ』を振り返る
今日の1曲:『アンティシペイション』/カーリー・サイモン
さて、めでたく『マッカートニーⅢ』が発売されるとなれば、当然『マッカートニー』、『マッカートニーⅡ』についても改めておさらいしておきたくなるものである。
ということで、今日は上記2枚のアルバムについて僕自身の体験とか、評価等々について思いつくままに書いてみたい。
残念ながら『マッカートニー』については僕はリアルタイム世代ではないのだが(発売当時7才)、『マッカートニーⅡ』についてはもうすでにビートルズ、ポールにどっぷりと浸かっていた高校生だったから、当時のことはとてもよく覚えている。
なにしろ、当時のウイングスというのはその前の『バック・トゥ・ジ・エッグ』がセールス的に今ひとつ振るわず(全英6位、全米8位)、ポールファンとしては当然巻き返しを期待していたという時期であった。「巻き返し」というのは当時のポールならば当たり前のようにチャート1位を奪取するという意味である。つまり、ポールのことだから、僕は『マッカートニーⅡ』がアッと驚くような名盤になることを期待していたのである。
その期待といったら、それはすごいものであった。
なにしろ、ポールは70年代に次々とアルバムをチャート1位に送り込み、ウイングスとして全米ツアーを大成功させたあと、1977年にはシングル『夢の旅人』が本国イギリスだけで200万枚以上という史上最高の売り上げを記録していた。そのあとに発売されたアルバム『ロンドン・タウン』はディスコブームに押されながらも全米2位を記録(シングルの『幸せの予感』は全米1位)。まだまだポールの勢いは衰えていなかった。
だから、1979年の『バック・トゥ・ジ・エッグ』で少々コケたことも、僕はまったく気にしていなかった(実際アルバム自体の出来もけっして悪いものではなかった)。とにかく、次のアルバムはまた1位になるだろうと固く信じていたのである。それぐらい、当時のポールの信頼度は極めて高かったのだ。
それゆえに、実際にアルバムを家に帰って初めて聴いたときの落胆ぶりといったら、それはなかった(笑)。
『マッカートニーⅡ』はチャート面では全英1位、全米3位と、いちおうカムバックを果たした形とはなったのだが、僕はまったく納得していなかった。若気の至りで、まだ右も左もわからぬ小僧だった僕は「ポールはこんなもんじゃない!」と一人怒っていたのである。
ゆえに第一印象があまりにも悪かったせいで、『マッカートニーⅡ』に対する僕自身の評価は、今でもポールの全作品の中でもかなり低い部類に入る(笑)。そして、当時の世間一般の評価もけっして良くはなかったと記憶している。
しかしながら、今ではこのアルバムはポールの作品の中でも、特異な地位を確立しているようなのだ。それは『テンポラリー・セクレタリー』に代表されるような、いわゆる「あまりポールらしくない曲」が時間の経過と共に再評価され、カルト的な人気を獲得しているというのである。
要するに、今となってはこのアルバムもポールの巨大な才能、音楽性を語る上では、けっして欠かすことのできない作品になったということだと思う。
それに、当時の僕は若さゆえにあまりにも真面目で深刻すぎた(笑)。いくらポール・マッカートニーといえども、肩の力を抜いて、気楽に、純粋に音楽を楽しんで作った作品が1枚や2枚あってもよいではないか。実際、そのような作品は広大なマッカートニーワールドを探索するときに、とても良いアクセントになってくれるのである。
順番が逆になってしまったが、では1作目の『マッカートニー』はどうだろうか?個人的な好き嫌いでいえば、僕は『マッカートニーⅠ』のほうが数倍好きである。今聴いてもとてもすばらしいアルバムだと思うし、極めてポールらしい作品だと思う。アルバムの音自体も、リマスター前の音はラフでバランスの悪さが目立ったものだが、リマスター後はまるで別物のように完成された音になった。このアルバムが基本的に4トラックのテープレコーダーで録音されたとは信じられないくらいである。
ゆえに、このアルバムも時間の経過と共に評価が上がってきているというが、それも当然の事だと思う。特に『恋することのもどかしさ』はビートルズ級の永遠の名曲である。
さあ、それでは『マッカートニーⅢ』はいったいどんなアルバムになるのだろうか?個人的な希望を言わせてもらうならば、僕はⅡよりもⅠのほうに近いアルバムになってくれることを願っている。しかし、たった45秒の公式トレーラー映像を観て僕が感じたものは、ⅠもⅡをも遥かに超えた「なんかすごいモノ」ということである。ひょっとしてやってくれましたか、ポールさん??もし、そうなったとしたら、僕たちはコロナに感謝しなくてはならないだろう(笑)。
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さて、めでたく『マッカートニーⅢ』が発売されるとなれば、当然『マッカートニー』、『マッカートニーⅡ』についても改めておさらいしておきたくなるものである。
ということで、今日は上記2枚のアルバムについて僕自身の体験とか、評価等々について思いつくままに書いてみたい。
残念ながら『マッカートニー』については僕はリアルタイム世代ではないのだが(発売当時7才)、『マッカートニーⅡ』についてはもうすでにビートルズ、ポールにどっぷりと浸かっていた高校生だったから、当時のことはとてもよく覚えている。
なにしろ、当時のウイングスというのはその前の『バック・トゥ・ジ・エッグ』がセールス的に今ひとつ振るわず(全英6位、全米8位)、ポールファンとしては当然巻き返しを期待していたという時期であった。「巻き返し」というのは当時のポールならば当たり前のようにチャート1位を奪取するという意味である。つまり、ポールのことだから、僕は『マッカートニーⅡ』がアッと驚くような名盤になることを期待していたのである。
その期待といったら、それはすごいものであった。
なにしろ、ポールは70年代に次々とアルバムをチャート1位に送り込み、ウイングスとして全米ツアーを大成功させたあと、1977年にはシングル『夢の旅人』が本国イギリスだけで200万枚以上という史上最高の売り上げを記録していた。そのあとに発売されたアルバム『ロンドン・タウン』はディスコブームに押されながらも全米2位を記録(シングルの『幸せの予感』は全米1位)。まだまだポールの勢いは衰えていなかった。
だから、1979年の『バック・トゥ・ジ・エッグ』で少々コケたことも、僕はまったく気にしていなかった(実際アルバム自体の出来もけっして悪いものではなかった)。とにかく、次のアルバムはまた1位になるだろうと固く信じていたのである。それぐらい、当時のポールの信頼度は極めて高かったのだ。
それゆえに、実際にアルバムを家に帰って初めて聴いたときの落胆ぶりといったら、それはなかった(笑)。
『マッカートニーⅡ』はチャート面では全英1位、全米3位と、いちおうカムバックを果たした形とはなったのだが、僕はまったく納得していなかった。若気の至りで、まだ右も左もわからぬ小僧だった僕は「ポールはこんなもんじゃない!」と一人怒っていたのである。
ゆえに第一印象があまりにも悪かったせいで、『マッカートニーⅡ』に対する僕自身の評価は、今でもポールの全作品の中でもかなり低い部類に入る(笑)。そして、当時の世間一般の評価もけっして良くはなかったと記憶している。
しかしながら、今ではこのアルバムはポールの作品の中でも、特異な地位を確立しているようなのだ。それは『テンポラリー・セクレタリー』に代表されるような、いわゆる「あまりポールらしくない曲」が時間の経過と共に再評価され、カルト的な人気を獲得しているというのである。
要するに、今となってはこのアルバムもポールの巨大な才能、音楽性を語る上では、けっして欠かすことのできない作品になったということだと思う。
それに、当時の僕は若さゆえにあまりにも真面目で深刻すぎた(笑)。いくらポール・マッカートニーといえども、肩の力を抜いて、気楽に、純粋に音楽を楽しんで作った作品が1枚や2枚あってもよいではないか。実際、そのような作品は広大なマッカートニーワールドを探索するときに、とても良いアクセントになってくれるのである。
順番が逆になってしまったが、では1作目の『マッカートニー』はどうだろうか?個人的な好き嫌いでいえば、僕は『マッカートニーⅠ』のほうが数倍好きである。今聴いてもとてもすばらしいアルバムだと思うし、極めてポールらしい作品だと思う。アルバムの音自体も、リマスター前の音はラフでバランスの悪さが目立ったものだが、リマスター後はまるで別物のように完成された音になった。このアルバムが基本的に4トラックのテープレコーダーで録音されたとは信じられないくらいである。
ゆえに、このアルバムも時間の経過と共に評価が上がってきているというが、それも当然の事だと思う。特に『恋することのもどかしさ』はビートルズ級の永遠の名曲である。
さあ、それでは『マッカートニーⅢ』はいったいどんなアルバムになるのだろうか?個人的な希望を言わせてもらうならば、僕はⅡよりもⅠのほうに近いアルバムになってくれることを願っている。しかし、たった45秒の公式トレーラー映像を観て僕が感じたものは、ⅠもⅡをも遥かに超えた「なんかすごいモノ」ということである。ひょっとしてやってくれましたか、ポールさん??もし、そうなったとしたら、僕たちはコロナに感謝しなくてはならないだろう(笑)。
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