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ポールの曲 “Silly Love Songs(心のラヴ・ソング)” - Macca Go Go Go! ポール・マッカートニーファンブログ・・・プラス!PLUS!+!

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ポールの曲 “Silly Love Songs(心のラヴ・ソング)”

おそらくポールの全ソロキャリアを通じて、真の意味でシングル盤として最も成功したのがこの曲である。(“Mull of Kintyre”は本国イギリスでしかヒットしていない)
たしかアメリカ・ビルボード誌では6週間連続No.1を記録したと記憶している。

よくあることだが、大ヒットした曲というのは耳に触れる機会も自然と多くなるため、なんとなく聴かなくなってしまう場合がある。

僕にとってこの曲もその例にもれず、初めて聴いたときの感動はいつの間にか薄れてしまっていた。
若い頃には長い間ソロでは好きな曲のベスト5に入っていたのに、ここ10年ほどはまともに聴いたことがないほどだった。
きっと若い時に聴きすぎてしまったのが悪い方向に作用したのだろう。
何事もほどほどにしておかないと、こういう事になるという見本である。

さて、この曲のすばらしさを再認識したのは、通勤時にいつも聴いている音楽がきっかけだった。
最初は手当たり次第にMP3プレーヤーに曲を詰め込んで、ランダムに聴いていたのだが、ある時を境に通勤にピッタリ合う曲と、全く合わない曲があることに気がついた。
言葉を変えて云うなら、通勤時に聴いて心地よい曲と全くそうでない曲があるということだ。
これは曲の良さとか、その曲がどれだけ好きだとかいう事とはあまり関係がないように思う。

そして全く意外なことに、ある日“Silly Love Songs”が通勤にピッタリくる曲であることを発見したのだった。
こうして、この曲の再発見の旅が始まった。

このブログでも何度か触れたことがあるが、この曲が収録されている“Wings at the Speed of Sound”は、ポール・マッカートニーがプロデューサーとして最もいい仕事をした作品ではないかと思っている。

適度な緊張感。音のバランスの良さ、そしてしっかりとした安定感。
各曲のアレンジも不必要な装飾が極力抑えられており、シンプルかつ奥行きのあるサウンドに仕上がっている。

「ケイオス」もそうだったが、よくプロデュースされたアルバムというのは、ただ聴き流しているだけでも心地良いものだ。

“Silly Love Songs”はその中でもポールが特に手間ヒマかけて作り込んだであろうことがうかがい知れる、まさに聴きどころ満載の贅沢な1品だ。

まずは印象的なイントロ。
何かの楽器の音なのか、それともポール自らが創り出した音なのか、未だにわからずにいる。
ともかく、温かみを感じさせるとても不思議な音である。
ここに美しいピアノの和音が重なり、曲の中核をなす重厚なベースラインが加わってくる。
ポールの全作品を通しても、これほど力強く、クリエイティブなベースラインはそうは見当たらないだろう。
ベースの音だけを追いかけても、十分聴くに値するほどのすばらしい演奏である。
まさに世界有数のベーシスト、ポール・マッカートニーの面目躍如といったところだ。

さて、曲の他の部分にも目を向けてみよう。

・ジョー・イングリッシュの正確で心地よいドラムス。(僕は彼が好きなのだ)
・流れるように豊かなハーモニー(リンダの貢献度大である!)
・曲の良さを最大限に引き出した効果的なブラス・セクション。
・まだまだ若い!ポールの伸びのあるヴォーカル。

もちろん曲自体のすばらしさも忘れてはならない。
この曲のテーマはおそらくワンフレーズに凝縮される。
♪アーイ・ラーブ・ユー♪
この一見何の変哲もないシンプルな主題こそが、マッカートニーミュージックの真髄である。
誰にでもできそうでいて、実は誰にもマネができない芸当、まさに神業だ・・・。
ライブでこのフレーズを一緒に口ずさみたかったと思うのは僕だけではないだろう。

しかし、個人的にはサビの部分こそがこの曲で最も好きなところであったりする。
全く唐突に、たたみ掛けるように、しかも激しく聴く者のハートに訴えかけてくる。
“Love doesn't come in a minute.
Sometime it doesn't come at all.
I only know that when I'm in it,
it isn't silly, no it isn't silly, love isn't silly at all”

曲の盛り上がりは一気に最高潮に達する。
「愛はすぐにはやって来ない。
 全く来ないこともある。
 だけど、僕に言えること。
 それは、愛することがちっとも愚かではないという事…。」

ポールの最も偉大なところの一つは、彼がまさに自分自身の全人生を通して「愛」を体現しているということだ。
口では愛を語り、実際には愛とは正反対の生き方をしている人たちのいかに多いことか。
だが、彼の人生は、どこをどう切り取っても愛と思いやりにあふれている。
愛を生きるということは、本当に大変な事なのだ。

最近も、離婚をした相手に対するポールの深い思いやりを僕たちは目撃したばかりだ。
だから、“Silly Love Songs”は架空の愛の歌ではない。
これは、ポール自身の事を歌った曲なのだ。



Wings at the Speed of Sound Wings at the Speed of Sound
Wings (1996/07/23)
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