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『エジプト・ステーション』雑談的レビュー その3 - Macca Go Go Go! ポール・マッカートニーファンブログ・・・プラス!PLUS!+!

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『エジプト・ステーション』雑談的レビュー その3

5.Happy With You/ハッピー・ウィズ・ユー
実は僕はポールの歌詞をほとんど読んだことがないという珍しい?ファンである。もうかれこれ40年ほども彼の音楽を聴いてきたが、歌詞カードや日本語訳を手に取ったことがほとんどないのである。理由は単純。僕にとって最大の関心事は常に彼が作る音楽であって、歌詞ではないからだ。

しかしながら、今回のニューアルバムにかぎっては少し勝手が違った。というのも、普通に曲を聴いていても単純に聴き流せないというか、歌詞をちょっと確認してみよう、と思ったことが1度や2度ではなかったからだ。

この『ハッピー・ウィズ・ユー』もそんな1曲だった。

この曲の歌詞を要約すると、「僕はただ君といるだけで幸せ。」という実にシンプルで他愛のないラヴソングである。とても健康的で平和そのもの、ポールらしいハッピーソング・・・と言いたいところなのだが、ちょっと待った!実はこの曲に乗せてポールはかなりショッキングな告白を僕たちファンに向けて発しているのである。

この歌詞から読み取れるもの。それは、かつて生きることに悩み、苦しみ、道を踏み外しそうにさえなった一人の人間ポール・マッカートニーの痛々しい過去の姿であり、そしてそこから立ち直り、愛する女性に安らぎを見出した現在の姿である。

僕たちはポールのように特別な才能を持った人というのは、きっと生きてゆくことにたいした問題を感じていないのだろう、という風についつい考えがちである。もちろん、彼も同じ人間なのだからそんなはずはないのだが、僕たちはすぐにその事実を忘れてしまう傾向がある。

しかし、この曲で彼は言う。
「かつて僕は一日中ドラッグに逃げていた、無茶をやらかしていた、気分を害して怒って歩き回っていた、医者にもウソをついていた」
「でも今はもうそんな事もない。なぜなら、君がいるから。」

一般に社会で成功した人というのは自分の弱さというものをけっして見せたがらないものだ。どんなに私生活がみじめでも、表と裏の顔を実に巧みに使い分けるというのが実際に起こっていることである。

しかしポールはそんなステージはとっくの昔に通過してしまった人のように僕には思える。自分の弱さを認められる人こそが、実は一番強い人なのではないだろうか?ポールは本当に正直な人だ。

歌詞のことばかり書いてしまったが、音楽的にはなんといってもアコースティックギターのリフが印象的で美しい。『ヒア・トゥデイ』以降はなかなかアコースティックの名曲が生み出せなかったポールだが、これは個人的には『マザー・ネイチャーズ・サン』Part2と呼んでもいいほどの名品である。

参加ミュージシャンはポールとグレッグ・カースティンだけでほぼすべての楽器をこなし、バンドからはただ一人エイブだけが参加している。他にクラシックの弦楽四重奏団とフルート奏者も参加して華を添えている(ストリングスの響きが美しい)。

『エジプト・ステーション』のもう一つの大きな特徴は、印象的なリフやフレーズ、フック、サビ等々の宝庫であるということである(ちなみに各用語の厳密な意味は知らない、笑)。『ハッピー・ウィズ・ユー』や、次の『フー・ケアーズ』の特徴的なギターリフだけでも、これは聴くよりも自分で演奏したらさらに楽しいのではないかと思わせるものがある。若かったら自ら挑戦していたかも(笑)。読者諸氏の中で腕に自信のある方は是非トライして結果を報告していただけるとありがたい。(続く)

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