ポール・マッカートニー東京ドーム2017 観戦記
この記事はネタバレが含まれます。
4月27日、東京ドーム初日のコンサートに行ってきた。
20数年ぶりのアリーナ観戦。
場所はDブロックでアリーナの中ではやや後ろのほうだったが、ステージはほぼ正面で全体が見渡せるすばらしい席だった。
もちろん肉眼でポールの顔までは確認できなかったが、「ああ、今現実にポールがあそこにいて演奏してるんだ」と実感できたのは幸せだった。この気持ちはやはりスタンド席では味わえないものだ。
もう一つ驚いたのは、音がとてもよかったことだ。
前回2015年の東京ドーム公演では、音があまりに悪いと当ブログで散々文句を言ったものだが、今回はそんな自分が恥ずかしくなるぐらい音がよかった。1990年の初来日公演ではAブロックのアリーナで数日間耳鳴りが止まらないほどの爆音だったが、今回は音量も大きすぎず、耳にも優しかった。これはあくまでも推測に過ぎないが、サウンドチェックはアリーナの真ん中あたりを基準に音量設定されているのではないかと思った。それぐらい音のよさには天と地ほどの差があったことを記録として残しておきたい。
さて、まずは何をおいてもセットリストである。
今回の日本公演では残念ながら僕が予想した「新曲披露」も「世界初公開」もなかったが、僕たち日本のファンにとっては近年にないほど曲目変更を「実感できた」コンサートになったと思う。
しかも、しかもである。驚くなかれ武道館公演よりも東京ドーム初日のほうが演奏曲目が8曲も多く、演奏時間も長く、選曲もよかったという現象が起こってしまったのである。武道館に足を運んだ方々には悪いが、もし僕が今回大枚をはたいて武道館に行っていたとしたら、きっと怒りが収まらなかったことだろう。10万円のコンサートより1万8千円のほうが内容がよかったのだから・・・。
むろん武道館には武道館にしかないよさというものがあるだろう。しかし、世界の中で日本だけ10万円チケットというのはやはりおかしいし、あまりにも異常である。この料金を取るのであれば、僕はポールから観客に1万円程度の「他では手に入らない特別な」プレゼントぐらいあっても何の不思議もないと思っている。ましてや、ドームより曲目が少なくなるなんてもっての他である。
もう10万円武道館は今回限りにしてもらいたい。どうしてもやるのなら5万円くらいが上限ではないだろうか。
大好きなポールだからあまり批判はしたくないが、とにかく良くないものは良くないのである。特に最近日本では言論弾圧の風潮があるだけに、ポール側の人間からの意見としてあえて書かせていただいた次第だ。
では当日のセットリストを順番に見ていこう。
オープニングは『ハード・デイズ・ナイト』。
僕がこのオープニング曲にこれまであまり賛成できなかったのは、ポールの声がこの曲にまったく乗っていないと感じていたからである。『エイト・デイズ・ア・ウィーク』を100とすると、50ぐらいという感じだった。
しかし!!この日はポールの声がこの曲にしっかりと乗っかっていると僕には感じられた。
ここでポールの声の調子について簡単に触れておきたいのだが、ポールの調子は高音がきれいに出ているかどうかというところにどうしてもフォーカスされがちなのだが、実は中低音部がカギであることが最近わかってきた。高音があまり出ていなくても、中低音がしっかり出ていれば、全体としての印象がとてもよくなるのである。
4月27日のコンサートがまさにそれで、たとえば『メイビー・アイム・アメイズド』の高音域はかなり危なかったが、中低音域がしっかりしていたので全体としてはとても満足の得られるパフォーマンスになった。
これの簡単な指標としてはポールのMCの声を確認することである。本当に声の調子が悪いとき、ポールは通常の会話さえもかすれて聞き取りにくくなってしまうからだ。だが、昨日のコンサートでは会話の声は全く問題がなかった。つまり、調子がいい日だったということなのだ。
2曲目は『ジュニアズ・ファーム』(日本初公開)。武道館では『ジェット』だったが、僕はある意味耳タコな『ジェット』よりは『ジュニアズ・ファーム』のほうが断然よかった。パフォーマンスもすばらしかった。これでつかみは完璧である。
以下は個人的に特に印象に残ったシーンをピックアップしてお届けする。
『レッティング・ゴー』
『ジュニアズ・ファーム』と共に個人的にライヴでどうしても聴いておきたかった曲。夢が叶った。演奏もすばらしかった。
『テンポラリー・セクレタリー』
初公開時はかなり話題になったが、その後やったりやらなかったりだった。が、ここにきて日本でやってくれて本当によかった!聴けてよかった!
『イン・スパイト・オブ・オル・ザ・デインジャー』
「オー、オー、オー、オー」を合いの手で合唱できるところがとてつもなく気持ちがよかった。あー、ポールと一緒に歌ってると実感できる、一体感を感じられる曲だった。観客参加型の曲はよろしい。これは今後も定番でもよいかも。
『ラヴ・ミー・ドゥー』
ポールの声の調子がいいので、この割と普通の曲もとてもすばらしく聴こえた。今日は同じような瞬間が他の曲でもたくさんあった稀有なる日であった。
『ユー・ウォント・シー・ミー』
これも死ぬまでに1度はライヴで聴きたかった曲の一つ。本当にすばらしかった。観客がコーラスを担当している気分になれるこれも参加型の曲。「ウー、ラ・ラ・ラ♪」これは気持ちいい。
『ブラックバード』『ヒア・トゥデイ』
今日はヴォーカルの調子がもろに出るアコースティックの曲で、改めてポールの凄さを思い知らされた。感動した。本調子のときのポールは世界中のどんなヴォーカリストもかなわない。まだまだ現役、まだまだいけるぞポール。
『フール・オン・ザ・ヒル』『エリナー・リグビー』
慣れているはずなのに、なぜかこの日はいつもとは違って聴こえた。やっぱり今日はポールの調子がいい。
『フォーファイブセカンズ』
意外といけます。この曲。
『アイ・ウォナ・ビー・ユア・マン』
以前サウンドチェック等でやっていたヴァージョンとは違い、オリジナルに近いスタイル。出来もよかった。
『バースディ』
これは本日のベストパフォーマンスの一つ。今まで聴いたライヴの『バースディ』で最高の歌と演奏だった。
全体として定番曲は平均以上、そして僕たち日本のファンには目新しい曲をたくさん用意してくれて、どんなファンにも十分に納得のいくすばらしいコンサートになったと思う。
夢のような日本公演2017もあと残すところ1公演となった。
改めてはるばる日本まで来てくれたポールに心から感謝したい。ポールありがとう!
上下巻で約1600ページ。しかもそれがビートルズデビュー前までという圧倒的なボリューム感。当代随一のビートルズ研究家、マーク・ルイソンが現存するあらゆる資料と徹底的なフィールドワークを駆使して紡ぎあげた最初で最後、唯一無二の真・ビートルズ史です。橋本リウさんも推薦。http://hashimotoriu.cocolog-wbs.com/blog/2017/04/post-101d.html




4月27日、東京ドーム初日のコンサートに行ってきた。
20数年ぶりのアリーナ観戦。
場所はDブロックでアリーナの中ではやや後ろのほうだったが、ステージはほぼ正面で全体が見渡せるすばらしい席だった。
もちろん肉眼でポールの顔までは確認できなかったが、「ああ、今現実にポールがあそこにいて演奏してるんだ」と実感できたのは幸せだった。この気持ちはやはりスタンド席では味わえないものだ。
もう一つ驚いたのは、音がとてもよかったことだ。
前回2015年の東京ドーム公演では、音があまりに悪いと当ブログで散々文句を言ったものだが、今回はそんな自分が恥ずかしくなるぐらい音がよかった。1990年の初来日公演ではAブロックのアリーナで数日間耳鳴りが止まらないほどの爆音だったが、今回は音量も大きすぎず、耳にも優しかった。これはあくまでも推測に過ぎないが、サウンドチェックはアリーナの真ん中あたりを基準に音量設定されているのではないかと思った。それぐらい音のよさには天と地ほどの差があったことを記録として残しておきたい。
さて、まずは何をおいてもセットリストである。
今回の日本公演では残念ながら僕が予想した「新曲披露」も「世界初公開」もなかったが、僕たち日本のファンにとっては近年にないほど曲目変更を「実感できた」コンサートになったと思う。
しかも、しかもである。驚くなかれ武道館公演よりも東京ドーム初日のほうが演奏曲目が8曲も多く、演奏時間も長く、選曲もよかったという現象が起こってしまったのである。武道館に足を運んだ方々には悪いが、もし僕が今回大枚をはたいて武道館に行っていたとしたら、きっと怒りが収まらなかったことだろう。10万円のコンサートより1万8千円のほうが内容がよかったのだから・・・。
むろん武道館には武道館にしかないよさというものがあるだろう。しかし、世界の中で日本だけ10万円チケットというのはやはりおかしいし、あまりにも異常である。この料金を取るのであれば、僕はポールから観客に1万円程度の「他では手に入らない特別な」プレゼントぐらいあっても何の不思議もないと思っている。ましてや、ドームより曲目が少なくなるなんてもっての他である。
もう10万円武道館は今回限りにしてもらいたい。どうしてもやるのなら5万円くらいが上限ではないだろうか。
大好きなポールだからあまり批判はしたくないが、とにかく良くないものは良くないのである。特に最近日本では言論弾圧の風潮があるだけに、ポール側の人間からの意見としてあえて書かせていただいた次第だ。
では当日のセットリストを順番に見ていこう。
オープニングは『ハード・デイズ・ナイト』。
僕がこのオープニング曲にこれまであまり賛成できなかったのは、ポールの声がこの曲にまったく乗っていないと感じていたからである。『エイト・デイズ・ア・ウィーク』を100とすると、50ぐらいという感じだった。
しかし!!この日はポールの声がこの曲にしっかりと乗っかっていると僕には感じられた。
ここでポールの声の調子について簡単に触れておきたいのだが、ポールの調子は高音がきれいに出ているかどうかというところにどうしてもフォーカスされがちなのだが、実は中低音部がカギであることが最近わかってきた。高音があまり出ていなくても、中低音がしっかり出ていれば、全体としての印象がとてもよくなるのである。
4月27日のコンサートがまさにそれで、たとえば『メイビー・アイム・アメイズド』の高音域はかなり危なかったが、中低音域がしっかりしていたので全体としてはとても満足の得られるパフォーマンスになった。
これの簡単な指標としてはポールのMCの声を確認することである。本当に声の調子が悪いとき、ポールは通常の会話さえもかすれて聞き取りにくくなってしまうからだ。だが、昨日のコンサートでは会話の声は全く問題がなかった。つまり、調子がいい日だったということなのだ。
2曲目は『ジュニアズ・ファーム』(日本初公開)。武道館では『ジェット』だったが、僕はある意味耳タコな『ジェット』よりは『ジュニアズ・ファーム』のほうが断然よかった。パフォーマンスもすばらしかった。これでつかみは完璧である。
以下は個人的に特に印象に残ったシーンをピックアップしてお届けする。
『レッティング・ゴー』
『ジュニアズ・ファーム』と共に個人的にライヴでどうしても聴いておきたかった曲。夢が叶った。演奏もすばらしかった。
『テンポラリー・セクレタリー』
初公開時はかなり話題になったが、その後やったりやらなかったりだった。が、ここにきて日本でやってくれて本当によかった!聴けてよかった!
『イン・スパイト・オブ・オル・ザ・デインジャー』
「オー、オー、オー、オー」を合いの手で合唱できるところがとてつもなく気持ちがよかった。あー、ポールと一緒に歌ってると実感できる、一体感を感じられる曲だった。観客参加型の曲はよろしい。これは今後も定番でもよいかも。
『ラヴ・ミー・ドゥー』
ポールの声の調子がいいので、この割と普通の曲もとてもすばらしく聴こえた。今日は同じような瞬間が他の曲でもたくさんあった稀有なる日であった。
『ユー・ウォント・シー・ミー』
これも死ぬまでに1度はライヴで聴きたかった曲の一つ。本当にすばらしかった。観客がコーラスを担当している気分になれるこれも参加型の曲。「ウー、ラ・ラ・ラ♪」これは気持ちいい。
『ブラックバード』『ヒア・トゥデイ』
今日はヴォーカルの調子がもろに出るアコースティックの曲で、改めてポールの凄さを思い知らされた。感動した。本調子のときのポールは世界中のどんなヴォーカリストもかなわない。まだまだ現役、まだまだいけるぞポール。
『フール・オン・ザ・ヒル』『エリナー・リグビー』
慣れているはずなのに、なぜかこの日はいつもとは違って聴こえた。やっぱり今日はポールの調子がいい。
『フォーファイブセカンズ』
意外といけます。この曲。
『アイ・ウォナ・ビー・ユア・マン』
以前サウンドチェック等でやっていたヴァージョンとは違い、オリジナルに近いスタイル。出来もよかった。
『バースディ』
これは本日のベストパフォーマンスの一つ。今まで聴いたライヴの『バースディ』で最高の歌と演奏だった。
全体として定番曲は平均以上、そして僕たち日本のファンには目新しい曲をたくさん用意してくれて、どんなファンにも十分に納得のいくすばらしいコンサートになったと思う。
夢のような日本公演2017もあと残すところ1公演となった。
改めてはるばる日本まで来てくれたポールに心から感謝したい。ポールありがとう!
上下巻で約1600ページ。しかもそれがビートルズデビュー前までという圧倒的なボリューム感。当代随一のビートルズ研究家、マーク・ルイソンが現存するあらゆる資料と徹底的なフィールドワークを駆使して紡ぎあげた最初で最後、唯一無二の真・ビートルズ史です。橋本リウさんも推薦。http://hashimotoriu.cocolog-wbs.com/blog/2017/04/post-101d.html
2017-04-29 │ 日本公演2017夢日記 │ Edit