僕の好きな曲:『呪われた夜(One Of These Nights)』 by イーグルス - Macca Go Go Go! ポール・マッカートニーファンブログ

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僕の好きな曲:『呪われた夜(One Of These Nights)』 by イーグルス

アルバム『呪われた夜(One Of These Nights)』のタイトルトラック。1975年発売。
全盛期のイーグルスの録音は最高である。その頂点に位置するのはやはりアルバム『ホテル・カリフォルニア』であろうが、その前のアルバム『呪われた夜』においてイーグルスは既に「完璧な」大人のロックサウンドを完成させていた。その代表格ともいえる曲がタイトル曲の『呪われた夜』である。

イントロから現われるうねるようなベースと、質感たっぷりのドラム音。この出だしのほんの数秒間だけで、この曲がただならぬ曲であることを実感させる。続いて印象的なオープニングギター。そこにドン・ヘンリーの渋いヴォーカルが乗っかってくる。左右のチャンネルに慎重に配された各楽器とヴォーカルのアンサンブルには寸分の狂いもない。まったく息を飲むほどに見事なサウンドである。

音に情念、欲望、セクシュアリティさえをも感じさせるこの独特の空気感、そして異常とさえもいえる録音クオリティの高さは、古今東西イーグルスのみが到達したロック史上稀にみる偉業の一つであると僕は思っている。

と、ここまで大絶賛しておきながら、実は僕はポールやビートルズほどのイーグルスファンではない(笑)。僕が本当に好きなイーグルスは『ホテル・カリフォルニア』の全曲と、『呪われた夜』『ロング・ラン』の半分ほど、そしてそれ以外はほんの数曲にすぎないのである。初期のアルバムなどはほぼ全く入ってこないから中途半端なファンなのだ。

だが同じグループでありながら、そこまで僕に音の違いを意識させてしまう原因というのはいったいどこにあるのだろうか?不思議に思って調べてみたところ、どうやらそれはプロデューサーにひとつの鍵があるらしいことがわかった。デビューから3作目までのプロデューサーがグリン・ジョンズ、そして4作目の『呪われた夜』から『ヘル・フリーゼズ・オーヴァー』までのプロデューサーがビル・シムジクとなっているのだ(3作目の『オン・ザ・ボーダー』はグリン・ジョンズとビル・シムジクの共同プロデュース)。

ビル・シムジク。恥ずかしながら僕は聞いたこともなかった。ネットで検索してみても、日本語では驚くほど情報はわずかである。もちろんイーグルスの熱烈なファンであれば当然知っているのだろうが、あのイーグルスの黄金時代を築き上げたほどの名プロデューサーが(少なくとも日本では)十分に認知されていないというのはとても意外であった。

ともかく彼がアルバム『呪われた夜』から単独でプロデュースを手がけたことが作品の完成度に決定的な変化をもたらしたことだけは明白である。そのサウンドはまさにマジック。ビル・シムジク・・・もっともっと評価されてしかるべきプロデューサーだと思う。彼がイーグルス以外にはほんの数えるほどしかプロデュース作品を残していないのはとても残念に思える。ちなみに彼は1990年代以降音楽界からの引退を表明しているとのことだ。

話が横道に逸れてしまったが、『呪われた夜』に話を戻そう。この曲はアルバムのファーストシングルとして発売され、全米1位を獲得した。しかし驚くべきは、この曲に全くコマーシャルな感じがしないことである。どちらかというと玄人受けしそうな曲なのに、大衆にすり寄ることなくそれでも1位に輝いてしまったのだから、これは本当にすごい事だと思わすにいられない。

個人的にビートルズやポールの楽曲などと比較して興味深い点は、各楽器の音を初めから終わりまで「個別に」追いかけてゆくと面白いというところだろうか。単純に同じ繰り返しはなく、曲の進行と共に微妙な変化やアドリブの妙が楽しめるのだ。まあ、そういった屁理屈は脇に置いたとしても、ただただ純粋にカッコイイ曲である。この曲を含むイーグルスのいくつかの曲を聴くたびに、僕は「真にビートルズを超える可能性があったのはイーグルスぐらいだったのかな」などと本気で考えてしまったりする。それくらいピーク時の彼らはすごかったと思う。

最後にグレン・フライがこの曲について語っている言葉を引用しておこう。
「僕にとって『呪われた夜』は、間違いなくイーグルスが作ったアルバムの中で最も自然で、「痛みを伴わなかった」作品だ。『呪われた夜』から多くの事が変わった。たとえば僕たちはスタジオが好きになったし、この頃からドンと僕の作曲能力は飛躍的に向上した。僕たちは『呪われた夜』で大変身を遂げたんだ。この曲は大きな突破口であり、同時に僕が好きなイーグルスのレコードでもある。もし1曲だけを挙げろと言われたら、僕にとってそれは『ホテル・カリフォルニア』でも、『テイク・イット・イージー』でもない。僕にとってそれは『呪われた夜』なんだ。」

参考:Eagles Studio Albums 1972-1979(6枚組、輸入盤)

コメント
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商業ロックと揶揄されますが、イーグルスはいいですね。
呪われた夜はホテカリよりも好きなアルバムですね。
初期の曲ですが、セカンド収録のデスペラードもいいですよ。
自分のベストはロングラン収録のハートエイクトゥナイトです。
小学生のときNHK-FMで聞いたイーグルス初体験です。
スライドギターが燃えますね。
イーグルスにはいろいろ思い入れはあるのですが、
ドンフェルダーが解雇されてしまってから、ファンをやめました。

2014-07-15 01:19 │ from zakmotmuyURL

zakmotmuyさん
『デスペラード』は私も好きな曲の一つです。商業ロック、産業ロックという表現は個人的にはあまり好きではないんですよね。音楽はそれほど甘くはない。売れればそれだけでたいしたものなんです。

2014-07-15 14:15 │ from 管理人URL

ご無沙汰です。ポールの大阪公演以来でしょうか。
管理人さん同様、僕もポールにハマる前はオフコースが大好きで、本当によく聞いていまいした。(解散コンサートまで行きましたから!)
それでこの「呪われた夜」のアレンジですが、オフコースの「風に吹かれて」にそっくりなんですよね。勿論オフコースがパクっているのですが。
彼らはかなりイーグルスが好きだったみたいで、「きかせて」は「I can't tell you why」、「哀しき街」は「King of Hollywood」のパクリです。完全に(笑)。でもどちらもいいんですよね~。

2014-07-15 23:31 │ from ishiyanURL

以前にもコメントさせて頂いた事がありましたが イーグルスの録音って 他の70年代のアーティストと比べても とてもクリアですよね。
各楽器の音の分離がハッキリしていて 管理人様が仰る通り 楽器毎に音を追いかけてみる事も容易です。

「呪われた夜」はソウルな雰囲気も手伝って アメリカで大ヒットしたのでしょうね、その辺りサウンドとメロディも合わせて、イーグルスにとっては さらに大きく成長する切っ掛けとなった曲だと思います。

ちょうど私が学生時代に イーグルスは再結成を果たして 大きな話題になりました。2011年だったかな? ついにイーグルスの来日公演を観る事が出来た時の感激は 今でも忘れません。
そこには ビル・シムジクが紡ぎ出すコンピューターの様に正確な鉄壁のサウンドに迫る 丁寧な演奏と端正なサウンド、そして4人の美しいコーラスがありました。
プロデューサー以前に イーグルスのメンバー自体が サウンドに強いこだわりを持っていた様に思います。

2014-07-16 00:27 │ from テツURL

ishiyanさん
オフコースはサウンド的にはけっこうパクリがありそうですね。でも私は小田さんなら許せますね(笑)。解散コンサートとは武道館10日間の事でしょうか?当時は毛嫌いしてましたので(笑)、オフコースのライヴが観れた人はうらやましいです。

2014-07-16 18:51 │ from 管理人URL

テツさん
イーグルスの日本公演見たのですね。こちらもうらやますぅい~(笑)。グレンフライも言っているように、『呪われた夜』以降何かが大きく変わったんでしょうね。プロデューサーだけでなく、各メンバーの同時的な才能の開花もあったと思います。

2014-07-16 18:58 │ from 管理人URL

呪われた夜ではありませんが、ロングロードアウトオブエデンは、ジャケットが好きです

2014-07-17 14:38 │ from 雨URL

産業ロックという言葉はロッキングオンが提唱し定義した言葉ですね。
『ひとつひとつのアヴァンギャルドな試みが積み重なって音楽は進んでいく。そんな努力がない限り、音楽は動脈硬化するだけであり、産業ロックとはその動脈硬化なのである』(by 渋谷陽一)

ということです。

これは実にうまく堕落したロックとは何かを言い当てていて、私は産業ロック、商業ロックという定義は存在しているとおもいます。いいたいことは産業ロックという言葉を 好き、とか、嫌い、といってしまうとちょっと違うのではないか、ということです。

誤解無きように書きますと、渋谷は売れる音楽が駄目といっているわけでありません。むしろ売れなきゃだめ、と考えている人です。くれぐれも誤解無きよう。(ビートルズやzepがアバンギャルド性と天文学的なセールスを両立させたモンスターバンドと評してますし、恐らくその辺の解明が渋谷の生涯かけた命題でしょうね)。

2014-07-19 08:40 │ from ゆうみんURL Edit

ロッキングオン・渋谷氏による 産業ロック・商業ロックの定義って 個人的にはイマイチ分かりませんね・・(泣)
なんだろう、好き嫌いの問題では無いのは理解出来ますが 渋谷氏の定義以外でも 産業ロックと言う表現に どこか侮蔑的なニュアンスを感じるのは私だけでしょうか?

この手の音楽で議論の的になる一つに メロディの分かりやすさ、ポップさが あると思うのですが、単純に分かりやすいロック・ポップスも良いと思うのですけどね・・
何か思想的なニュアンスやアバンギャルドな要素を加えないと ロックと認めないなんて、渋谷氏の個人的な嗜好だと思うのですが・・

どちらかと言うと ポールもそう言った類いで批判されてきた人ですよね。
ポールは まだビートルズで ロックの可能性を広げた人だから良かった。
もしウイングスだけだったら 産業ロックや商業ロックなんて言葉や概念によって 正当な評価が 得られなかったかも・・なんて思ったりもします。

渋谷氏が傾倒しているツェッペリンにしても 最後のオリジナル・アルバムでは、ジョン・ポール・ジョーンズが主体となって産業ロック的な シンセサイザーの多様、プログレに近い作風の楽曲も含まれてますが、この辺りどうなのでしょう?
ツェッペリンならOKなんですかね。

ロックは多種多様な音感要素があるから面白い、それにロック誕生直後の 50年代や60年代とは違って 70年代後半~80年代となれば マーケットの規模も違う。
当然 売り方も変化してくると思うのですけど どうなのでしょうか。

個人的に渋谷氏の定義とやらに 驚きました。日本では この人が提唱したんですね、産業ロックという概念。

ゆうみんさん、興味深いコメントを有難うございました。
管理人様、記事の内容と外れたコメントになり申し訳ございません。

2014-07-19 16:12 │ from テツURL

ゆうみんさん
渋谷氏の定義はわかりましたが、それでも私は産業ロックという言葉が好きではないですね。これは個人的な感情なのでどうしようもないでしょう。テツさんが仰るようにそこになにかしら侮蔑的な響きを感じてしまうからです。またこの定義自体もどうなんだという気はしますね。大阪風に言うと「ええカッコしすぎちゃうんか」と。アバンギャルドじゃなくても、動脈硬化してても、すばらしいロック作品はたくさん残されたと思いますし。
渋谷陽一さんに関しては、その昔ラジオでの独特の語り口が好きでよく聴いてましたが、ツェッペリンを礼賛するかたわら、デビュー当時の爆風スランプや武道館以降のチープトリックをやたら褒めまくっていてガッカリした事を覚えています。それ以降はロッキングオンを含め彼から離れてしまったので、その後の発言等についてもほとんど知らないので私が彼について語る資格はないですが。

2014-07-19 22:22 │ from 管理人URL

ああ、そういうことではないとおもいますよ。

そういうことというのは『アバンギャルドな要素』とか『思想的なニュアンス』という点です。そういうフリをしている人は一杯いますね(笑い)。
そういうなんていうか様式化してしまえば意味がない、全く意味がない!!アバンギャルドだから産業ロックじゃない、なんてことはないんです。
アバンギャルドな要素を『意識的に売り』にした全然アバンギャルドな精神をもっていない自称ロッカーなんていっぱいいるでしょう?


渋谷氏がいっているのはメンタル的、本質的な事だとおもいますよ。本質的な前衛精神です。なにか前衛的なことをやっていればそれでいいという浅薄なことではないとおもいます。

ポールの仕事の一部を見て、産業ロック的といった人がいるなら、それこそその浅薄な精神のことだと思いますよ。

昔ボンジョビがやったようなファンに迎合したアルバム作りなんかはロックの精神からはもっとも遠いというのは誰でも感じるのではないでしょうか?しかし現実にポピュリズム的な手法をだけで音楽やっている人もいっぱいいます。そういうことを定義し警笛を鳴らした見事な表現だと私はおもいます。



精神、精神と精神論みたいでちょっと誤解されそうですが、そうでないとわかっていただけたでしょうか?

別に渋谷氏を擁護するわけではありませんのであしからず・・・

2014-07-19 23:02 │ from ゆうみんURL Edit

書き忘れました。
産業ロックという言葉はニュアンスとかではなくて、
はっきり否定的な侮蔑的な言葉です。
つまり毒があります。

極論すれば毒がない評論なんてつまらない。渋谷氏は思い込みが激しくてバランスを欠いているのはたしかですが、批評もクリエイティブな行為であるとはっきり主張し実践している人ではないかとおもっています。

もちろん、そういうことを受け入れるかどうかは受けて側の問題なので渋谷氏が絶対に正しいというつもりは毛頭有りせん。

2014-07-19 23:14 │ from ゆうみんURL

管理人 様
お世話になっています、なるべく露出は控えようと思っているのですが、、、若い方にどんどんコメントを書いて頂いて盛り上げて頂かないと、、、皆さまのコメントいろいろありで楽しく深いです、オフコースは全盛期にかなりイーグルスやボストンの影響を受け楽曲やライブにそれが感じられます、オフコースや小田さんの初期はよかったですが某Yさんが言っておられるように今の小田さんは番茶の出がらしのようで魅力がなくなりました。ロック自体、私は70年代で終わっていると思います、その後はカテゴリー的に ロック と呼んでいるだけのような気がします、イーグルスもホテカル前、Rマイズナーや最初にWネックを弾いていたギタリストがいた頃が良かったような気がします、、、ありがとうございました。

2014-07-20 01:45 │ from ジョージ ハーリーソングURL

そもそもイーグルスって産業ロックとはちがうのでは?

彼らは非常に繊細で自覚的なバンドであり、産業ロック、商業ロック的なスタンスからはもっとも遠いところにいる(いた)と思えるのですが・・・

私はイーグルスファンではないし、彼らのアルバムは『ホテルカリフォルニア』のアナログしかもってませんから、イーグルスについて語る資格はまったくありませんが・・・・

イーグルスをもし産業ロックという人がいるとしたら、成功したバンド、売れたバンドということでしょうか。つまり産業ロックということばを完全に誤解誤用しているようにおもえます。そういうひとにとってはポールもビートルズもおなじようにみえるでしょうね。

2014-07-20 14:47 │ from ゆうみんURL

ジョージ ハーリーソングさん
私も大先輩ほどではないですがそれなりに好きなアーティストはいましたが、昔と変わらずリアルタイムで追いかけているのはとうとうポールただ一人となってしまいました。懐古主義には陥りたくないのですが、70年代までは本当にいい音楽が溢れていましたね。毎週アメリカントップ40を聴くのが楽しみでした。

2014-07-20 20:02 │ from 管理人URL

ゆうみんさん
ウィキペディアで調べてみたら、産業ロックとはジャーニー、フォリナー、スティクス、REOスピードワゴンなどを指すのだそうな(しかしけっこう曖昧だ…)。私は全部それなりに好きですが…。同時代のアメリカ人が聞いたら怒るだろうし、日本でしか通用しない定義のようにも思います。イーグルスは入ってないようでちょっと安心しましたが、人によっては大差ないと思うかもしれませんね。

2014-07-20 20:23 │ from 管理人URL

もともと外国では『ダイナソーロック』という否定的な定義があって、渋谷はその影響下というか、そういう潮流を彼なりに掘り下げたというのが『産業ロック』という表現だと、彼はその著書でいってますね。

ただ『Industrial Rock』ということばないか、というとそうでもないようでBCRのレスリーマッコーエンに『我々は『産業ロック』であり、自分たちの本当やりたい事が全く出来なかった』という発言があります。
BCRは『産業ロック」か否か、という以前に完全なアイドルバンド、おこちゃまむけバンドという売り方だった気がしますが・・・

2014-07-25 11:17 │ from ゆうみんURL