アルバム『NEW』 独断的レビュー その4 - Macca Go Go Go! ポール・マッカートニーファンブログ

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アルバム『NEW』 独断的レビュー その4

『エヴリバディ・アウト・ゼアー』(マッカートニー)
プロデュース:ジャイルズ・マーティン
ポール・マッカートニー:ヴォーカル、ベース、ギター、キーボード、ピアノ、メロトロン
ラスティ・アンダーソン:ギター
ブライアン・レイ:ギター
エイブ・ラボリエル・Jr:ドラムス
トビー・ピットマン:プログラミング、キーボード
ジャイルズ・マーティン:足踏み
マッカートニー・ファミリー:コーラス
キャシー・トンプソン:ヴァイオリン
ローラ・メルーイッシュ:ヴァイオリン
パトリック・キエルナン:ヴァイオリン
ニーナ・フォスター:ヴァイオリン
ピーター・レイル:ヴィオラ
レイチャル・ロブソン:ヴィオラ
キャロライン・デール:チェロ
キャサリン・ジェンキンソン:チェロ
クリス・ワーシー:チェロ
リチャード・プライス:ベース
スティーヴ・マクマナス:ベース
エリザ・マーシャル:アルト・フルート
アンナ・ノアケス:アルト・フルート

『セイヴ・アス』『クイーニー・アイ』『エヴリバディ・アウト・ゼア』の3曲(『ニュー』も入れると4曲)はいわゆる「聴衆参加型」の曲で、ライヴで非常な威力を発揮する。僕は日本公演で聴いたこれら4曲の衝撃と感動を今も忘れることができない。その大きな理由の一つはこれらの曲が演者と聴衆との間に強い一体感を生み出すからだろうと思う。特に『エヴリバディ・アウト・ゼア』は「ポールが問いかけ、聴衆が答える」という典型的なスタイルで、これまでのポールの曲にはほとんどなかったタイプの作品でもある。僕は”Everybody out there!””Oh-Oh-Oh-Oh”の掛け合いをポールとこのまま永遠に続けていたいとさえ思ったほどだ(気持ちよかったなぁ~)。ビートルズの名だたる名曲群の中にあって、リリースから日の浅い『エヴリバディ・アウト・ゼア』のような曲がライヴで強い印象を残したことの意味はとてつもなく大きい。なぜなら『フラワーズ・イン・ザ・ダート』の時も、『オフ・ザ・グラウンド』の時も、僕の記憶では新曲は明らかに他の名曲に見劣りしたからである。すなわち『NEW』は本当のホンモノの名盤なのだ。

演奏者のクレジットを見ていて特に気が付いたのは、エイブのドラムスである。バンド加入当時はライヴではやたらぶっ叩いているだけという印象の強かった彼のドラミングだが、この曲ではしっかりと抑制のきいた演奏を披露している。以前(といっても10年ほども前の話だが)は時に僕の癇にさわった彼のドラミングだが、日本公演では全く気にならなかったから彼も時と共にポールから多くを学んだのだな、などと個人的には思ったしだい。プロデュースはジャイルズ。

『ホザンナ』(マッカートニー)
プロデュース:イーサン・ジョンズ
ポール・マッカートニー:ヴォーカル、ギター、ベース、ドラムス、テープ・ループ
イーサン・ジョンズ:iPad用タンボラ・アプリ

ほぼ完全にポールの自作・自演曲だが完成度は非常に高い。このような曲を聴くと、やはりポールは一人で十分だ、などと僕などは思ってしまう。従来のポールのイメージをかなりくつがえすような陰性のバラードであり、正直最初はわけがわからなかったのだが、聴けば聴くほどに僕はこの曲が持つ魅力に引き込まれていってしまった。『ホザンナ』や『ロード』、さらにはボーナス曲の『ストラグル』『スケアド』などはアルバムのいわば陰の部分を受け持っている。『NEW』が名盤と呼ぶにふさわしいことの理由の一つは、陰と陽がほどよくミックスされ、バランスが取れているということであろう。

それにしてもこういう曲でのポールのギターの使い方は本当にうまい。そしてベースプレイにはニヤリとさせられてしまう。プロデュースはイーサン・ジョンズ。

『アイ・キャン・ベット』(マッカートニー)
プロデュース:ジャイルズ・マーティン
ポール・マッカートニー:ヴォーカル、ギター、ベース、メロトロン、ムーグ、ドラムス、パーカッション、テープ・ループ
ラスティ・アンダーソン:ギター
ウィックス:ハモンド・オルガン
トビー・ピットマン:プログラミング

曲調はポップだが、流されず非常に渋い仕上がりである。「軽くない」「甘くない」「流されない」。『NEW』がポールの多くのアルバムと比べて特に際立っている点であるが、この曲も『レディ・マドンナ』ばりの渋いヴォーカルをメインに最後まで隙のない歌と演奏を聴かせてくれる。ポールはまだこんな歌い方ができるのだ。個人的には文句なしの10点満点。単純にカッコいい曲である。プロデュースはジャイルズ。

『ルッキング・アット・ハー』(マッカートニー)
プロデュース:ジャイルズ・マーティン
ポール・マッカートニー:ヴォーカル、ギター、ベース、メロトロン、ムーグ、ドラムス、パーカッション、
ラスティ・アンダーソン:ギター
トビー・ピットマン:プログラミング、キーボード

『NEW』のオフィシャル・リリースは全12曲。今回僕がただ1曲だけボーナス曲と差し替えてもらいたかったな、と思ったのがこの曲である。もし僕に選曲の決定権があったとしたら、僕は迷うことなくこの曲をボーナス曲の『ターンド・アウト』と入れ替えただろうと思う。だがこれはポールのアルバムにはほぼ毎回のように起こることで、ファンとしてはそれほど大騒ぎするほどのことではない。この曲もプロデュースはジャイルズ。

『ロード』(ポール・マッカートニー&ポール・エプワース)
プロデュース:ポール・エプワース
ポール・マッカートニー:ヴォーカル、ピアノ、キーボード、チェレスタ、パーカッション
ポール・エプワース:ドラムス

アルバムの最後を飾るのはエプワースとの共作『ロード』。僕はこのアルバムの曲がすべて好きだが、一番すごいのはこの曲だと思う。ピンと張りつめた緊張感、妥協を許さぬ音作り、ベースの豊かな音色などはまさしく後期のビートルズを思わせる。名盤『NEW』を締めくくるにふさわしい最高の曲だ。

ポールとエプワースのコンビは、とりあえず現時点では地上最強のソングライター&音楽クリエイターのチームと断言しておこう。そして僕は彼らの共作活動が今後もなんらかの形で続いてゆくことを強く希望している。エプワースは疑いなくジョン・レノン以降にポールが出会った共作者の中で最もクリエイティブなアーティストである。彼らが本気で創作活動を始めたらいったいどうなるのか?きっとさらにすごい事が待っているだろう。が、しかし僕たちファンは多くを望むべきではない。というのもポールは常にベストを尽くしているからだ。それよりも重要なことは、ポールが『ロード』のようなすばらしい曲を発表してくれた、という事実である。これは歴史に刻まれ、永遠に語り継がれてゆくことだろう。

『ロード』、2013年を締めくくるにふさわしい曲だ。
“Heading for the light”
 光を目指して…

今年もありがとうございました。来年もよろしくお願いいたします。(Macca Go Go Go!管理人)

コメント
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NEWのレビューいろんな雑誌とかも読みましたが本当に曲の評価がばらばらです。とくにこの後半のばらつきはすごい。「I Can Bet」は意外にも一番評価がばらつく曲な気がします。僕は管理人様とは真逆の好みでなんか古臭いしごり押し感が....と思ってしまいました。管理人様にけちをつけたいわけではなくこんなにも人により注目点の異なるアルバム作ったポール凄いという気持ちを伝えたいです。少しでも気分を悪くさせてしまったらすみません。僕は「Looking at her」をむしろ傑作だなと思っていました。 「Hosanna」は収録曲の中で一番初めにタイトルが判明していたことや神にささげるという意味のタイトルであることなどから期待しすぎていた分、最初聴いたときあれと思いましたが、今では私もこのアルバムで三本の指に入るくらい素晴らしい曲だなと思っています。
 僭越ながら自分の満点ソングあげさせていただくと「Queenue Eye」です。橋本様にも是非この曲をしこりなく聞けるようになってほしいです。橋本様のコメントまえから記事の一つと同じくらい面白く読んでいましたのでこれからもたくさんの意見を聞かせていただきたいです。
 今年は私も書き込みをさせてもらって本当にこのブログに楽しませていただきました。どうもありがとうございました。お体に気をつけてどうかよいお年を!

2013-12-30 18:00 │ from ふーてるURL

ふーてるさん
コメントありがとうございます。「独断的レビュー」ですので、私の評価はあくまでも1ファンの感想でしかありませんし、その評価も時と共にコロコロ変わりますから参考程度に軽く読んでいただければと思います。人により評価が異なるのはむしろ当然で全く問題はないです。これからもコメントお待ちしています。ふーてるさんもよいお年を!

2013-12-30 21:56 │ from 管理人URL

年末のご挨拶をしたのに(笑)、またお邪魔いたします。 呼ばれましたもので(笑)。

ふーてる様、お気遣い下さり、誠に恐れ入ります。 ミュージック・ライフのポール来日本を読みながら、あのイヤな思い出がぶり返しているハシモトでございます(笑)。 クイーニーアイを一緒に歌ってたときに 「うるさいよ!」 と言われたときのショックというのは、たぶんこの曲を聞くたびに蘇ると思いますが、曲に罪はございません。
特にこの曲は、「life is a game」 の部分からの、歌詞のたたみかけが非常に心地いいし、調子に乗って大声で歌ってしまったんでしょうね、自分も。 でも、大声出せるような、キイの高い曲じゃないんですけどね、この曲。
アルバム 「NEW」 の中の曲って、歌ってみれば分かりますが、特にキイの高い曲というのは、確か1曲もなかったと思います。 キイが高くても、ポールはファルセットで歌っている。 「アプリシエイト」「ロード」 が好例です。

「クイーニー・アイ」 でちょっと分かんないのが、サビの部分で 「O-U-T spells OUT」 って歌ってますよね。
これ、ビートルズの 「クリスマス・タイム・ヒア・アゲイン」 で、リンゴが歌った部分と歌詞が一緒なんですが、これって何かの常套句なんでしょうか? 訳を読むと、どちらも 「アウトだよ、アウト!」 みたいな感じで訳されているけれど。 管理人様の英語力を見込んでお尋ねします。

ポールがしゃべった、「バック・トゥ・ザ・ビートルズ・アルバム」 というコンセプトにいちばん近いのが、「ホザンナ」 なのではないか、という気が、個人的にはしています。 この曲のバックには、テープループによるアンサンブルが流れています。 アウトロは完全にテープループのみですよね。 メロトロンという楽器もそのカテゴリなんですが、こういう、サンプリング的な音の組み立て方って、ビートルズそのもののような気がするんですよ。 特にこの曲には 「ブルー・ジェイ・ウェイ」 とか 「トゥモロー・ネヴァー・ノウズ」 の感覚に近いものを感じる。 私もこのアルバムの中では、かなり上位に位置するフェバリットです。

「アイ・キャン・ベット」 は、どちらかというとウィングス時代のシングルB面曲によくあるような感じですよね(「ターンド・アウト」 も同様かな…笑)。 空耳的に 「アッカンベー」 と歌ってるような感じがして(笑)、一緒に歌っているとなんとなく気恥ずかしい気がするんですが、これは日本人だからでしょう(笑)。 でもサビに向かうメロディの部分は好き。 イントロで、「バンバンバンバンバンバンバンバンバンバン!」(笑)。 コレ、数えてみたら10回で、一緒に歌う時にタイミングを計る上で欠かせないカウントなんですが(笑)、もしかするとこの10回のアタック音、コインを投入するときの音のイメージなのかな、なんて考えたり(スロットなのか、ルーレットなのか)。

このアルバム、マイナーコードの曲が非常に多い。 ポール独特の、切ないメロディの曲が極端に少ない割に、胸を締め付けられるような性急さを感じるのは、マイナーコードの曲が多いせいなのではないか、と考えています。

アナログで言うと、「NEW」 までがA面で、「アプリシエイト」 から 「ロード」 までがB面。 この配置で聞いたほうが、なんとなく座りが非常にいい気がします。 ボートラは要らないとは言わないけれども、作品としては12曲まででまとまってるな、という気がしますね。

蛇足ですが、「アリゲーター」 の終わりの部分で、「カタカタカタカタカタカタ」 というSEが入りますよね。 アレ、スーパーファミコンのドンキーコングに出てくる、ワニの効果音を連想してしょうがないんですけど(笑)。 アリゲーターだし(笑)。

そうだ、管理人様、「アリゲーター」 の意味が分かりません、教えてください(思い出したみたいに…笑)。 訳詞を読んでもそのままでワケが分かりません(笑)。

では管理人様、皆様、あらためて、よいお年を!

2013-12-31 07:14 │ from 橋本リウURL

リウさん
コメントありがとうございます。リウさんのコメントもテツさんと同じでネタが多すぎて、まともにコメントを返せないのがジレンマであります。いつもスルーですいません。私は昔からポールの歌詞をまともに読んだ試しがないのです。“O.U.T. spells OUT”は子供が遊びで使う慣用句のようですが、私もはっきりとはわからないです。「お前の負け~」みたいな感じで私は受け取りましたがどうでしょう。
アリゲーターに至っては、全く意味不明ですな。ワニの歌じゃなかったんだ、これ(笑)。正月休みの宿題にしときますね。ではよいお年を。

2013-12-31 10:44 │ from 管理人URL

新年おめでとうございます。 今年もよろしければお邪魔させていただきます。 メンド臭いのはしばしご勘弁くださいまし。

ブログの仕様が変わりましたね!
なかなかスタイリッシュになっている気がいたします。 私も自分のブログの模様替えしようかな~。

ネタが多すぎるというお言葉をいただきましたので(笑)1曲に絞ってコメントを(笑)。

「エヴリバディ・アウト・ゼア」 はこれまた、ビートルズのアプローチに最も近い曲のひとつだと感じます。
イントロから、ギターの1弦を開放にして2弦以降のメロディとぶつからせている方法は、「ビートルズ・フォー・セール」 でよく見られる手法です。 2013ジャパンツアーのオープニングの 「エイト・デイズ・ア・ウィーク」、そして 「ハニー・ドント」、ちょっと応用的なのでは 「ワーズ・オブ・ラヴ」。 でもフィーリング的にいちばん近いのが、「エヴリ・リトル・シング」 だと感じます。

そしてコーラスでも、「there but for the grace…」 の部分では、ひとりが同じ音階で歌い、もうひとりが徐々に音階を下げていく。 いわばイントロの応用ですが、この手法は 「プリーズ・プリーズ・ミー」 ですよね。 それにしてもこの歌詞、結構特殊な英語のような気がします(ゼア・バット・フォー…って、なんか歌いにくいんだよなァ…笑)。

ボートラに関しての記事も、お待ち申し上げております(笑)。 私いちばんのフェバリットは、「スケアド」 ですので(笑)。

2014-01-04 21:11 │ from 橋本リウURL

リウさん
コメントありがとうございます。今年も楽しくポールを語っていきましょう。よろしくお願いいたします。
『エヴリバディ・アウト・ゼア』のテクニカルな解説ありがとうございます。この曲コマーシャルだけど、またしても今までのポールにない感じの曲というのが私の印象です。
さて年末の宿題ですが、『アリゲーター』はアリゲーターという言葉自体が何を指すかはネイティヴでも解釈が分かれるようです。個人的には性的な隠喩を含みながら、ポールが感覚的に選んだ言葉という気がします。

2014-01-05 07:37 │ from 管理人URL