アルバム『NEW』 独断的レビュー その1 - Macca Go Go Go! ポール・マッカートニーファンブログ

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アルバム『NEW』 独断的レビュー その1

発売から2週間以上が経過し、ようやく熱も冷めてきたので、ここで一度包括的なレビューを書いておこうと思う。

けっして言い訳をするわけではないが『NEW(ニュー)』というアルバムは非常に評価の難しい作品である。なぜならこのアルバムは聴く側に何度も何度も繰り返し聴き込むことを要求する、ある意味ではポールらしくない特殊な作品だからである。しかも困ったことに気に入った曲だけではなく、ボーナストラックを含む全体を細部まで聴き込むことを強制する(笑)(ただ、それは僕のように30年以上もひたすらポールの音楽を聴き続けてきたようなファンだからこそ起こる現象なのかも、なんて思ったりする自分もいる)。ひょっとしたら、多くの人は『ジェット』や『心のラヴソング』ような売れ筋の曲がないという理由からこの段階まで行かずにアルバムの評価を決めてしまい、それ以上先に進むことをやめてしまうかもしれない。アルバムはそのままCDラックの中で厚いホコリをかぶることになるかもしれない。

だがポールの音楽を本当に好きな人ならば、2、3回通しで聴いた時点でまちがいなくこの作品のすばらしさに気が付くはずである。すばらしいとは思わなくても、少なくともその特殊性には気が付くはずである。そしてしばらくは僕のように毎日このアルバムからは離れられなくなるはずだ。そういう意味では、このアルバムはこれまでのポールのどの作品にも増してとっつきにくいアルバムといえるかもしれない。言い方が適切かどうかはわからないが、たとえば「ほうら、この曲いいでしょ?聴いてね~」というような大衆迎合的ないやらしさが全くないのである。もっともこのあたりについては今始まったわけではなく、『ケイオス』以降のポールの作品全般について言えることなのだが、今回はさらにきっぱりとした潔さを感じてしまう。いい意味でファンを突き放している。この作品の本当の良さを理解するには、聴き手は自ら意識的にアルバム細部まで深く聴き込まなくてはならないのだ。そして、それができた人はまちがいなくこのアルバムから大きな恩恵を得ることになるだろう。

今ひとつ別の見方をすれば、このアルバムは天才ポール・マッカートニーの音楽的手法の宝庫ともいえる。特に今回はビートルズ時代に彼とメンバーが編み出した様々な手法の封印が解かれたことでサウンドにより大きな広がりと厚み(深み)がもたらされている。例としては楽器メロトロンの使用、テープループ・逆回転などの使用が挙げられる。
各楽器の使い方も秀逸である。ヘッドフォンで聴くと、数えきれないほど様々な小技、遊びが各楽曲の要所要所に散りばめられているのがわかるだろう。特に各曲におけるギター、ベース、ドラムスの使い方には耳を傾けるに十分なだけの面白さがある。
若手の人気プロデューサー4人と組んだことで、ポールの個性が損なわれない範囲で当世風のサウンドが導入されたという事実も見逃せない。当世風音楽を全く聴かない僕が言っても全く説得力はないのだが(笑)、とにかくこれまでのポールの音楽にはないテイストが加味されていることだけはまちがいない。
他にも曲の展開、アレンジ、ヴォーカル、コーラスワーク、効果音、プロデュースの妙など、各曲ごとに注目すべき点は多い。要はポールが曲によって全く異なったアプローチで1曲1曲を仕上げていったということである。それを知った上で曲を探索したならば、以前には気付かなかった新しい発見がきっとあるに違いない。

チャート成績はアメリカ3位、イギリス3位、日本2位(いずれも最高位)という結果となった。その他の国ではノルウェーで1位になったのを始め、フランス2位、デンマーク2位、スコットランド3位、イタリア4位など世界各国でチャートの上位に食い込む健闘を見せた。個人的にはアルバムの出来と比較すれば、これらの成績には全く不満であるが、これもまた現実であり致し方ない。あとは各国の音楽賞等でこのアルバムが再評価されることを期待したい。ファンとしてはグラミー賞は当確と言っておこう。日本公演初日まであと8日!その2へ続く。

参考:
アルバム『ニュー(NEW)』(日本盤SHM-CD仕様)
アルバム『ニュー(NEW)』(海外盤CD) ※通常盤
アルバム『ニュー(NEW)』(海外盤CD)※デラックス・エディション
アルバム『ニュー(NEW)』(海外盤アナログ)
アルバム『ニュー(NEW)』 iTunesストア

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コメント
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失礼します。
ここ最近のヘビロテの結果、無事「Hossana」以外は飲み干すことが出来ました(この曲が一番個人的に厄介です(苦笑))
最初はLooking At Herが一番だったのですが、今ではRoadに嵌っている次第です。詞も曲もカッコいいんですよねぇ。
蛇足ながら、Roadのラスト1分前辺りに聞こえる高い鍵盤の音が、鍵盤ハーモニカ、いわゆる「ピアニカ」に聞こえてなんとなくノスタルジーを感じてます(笑)

ところで、このアルバムでなんとなく思ったことなんですが、
今回収録されている曲って、イントロや間奏のメロディが凄く特徴的だなぁと思いました。(Save Us, Alligator, New, Everybody Out There, Road等)
曲調としては斬新な曲が多い一方、「ああ、ポールなんだなぁ」とすぐに納得がいくのはここがもしかしたら理由なのかもしれませんね。

2013-11-03 19:29 │ from 村正URL

村正さん
コメントありがとうございます。『ホザンナ』はたしかにとっつきにくく評価が分かれる曲のようですね。『ロード』は私も好きです。終盤のベースプレイなんてほんとカッコいいですね。

2013-11-04 14:11 │ from 管理人URL

「Queenie Eye」のたんたかピアノをたたくところが大好きです。この曲は子供のころの遊びのメロディらしいですね。僕は「Maggie mae」も大好きです。リバプールは素敵なメロディであふれていたみたいですね。

2013-11-04 21:22 │ from ふーてるURL

ふーてるさん
コメントありがとうございます。子供の頃の遊びを歌にするとはいかにもポールらしいなと私も思いました。イギリス人には特に受けがいいのかもしれませんね。

2013-11-05 13:35 │ from 管理人URL

最初聞いたときは皆同じように聞こえて80年代のような今一感があったのですが、自家用車のCDに入れっぱなしで聞き込んでたら良さがわかりました 後世傑作として聞き継がれると思います シークレット曲はまさにポール節ですね この曲が一番好きです

2013-11-05 16:03 │ from chusanURL

chusanさん
コメントありがとうございます。私も車の中で聴いてポールの今までのアルバムとの違いを実感しました。個人的にはポールの曲はあまりドライヴ向きでないと思ってるのですが、NEWはけっこう心地いいなと。

2013-11-06 02:01 │ from 管理人URL

こんばんわ。御無沙汰しています。僕は普段ポールは車では聴きません。これまでも、信号無視、左右折の間違い等危ないからです(笑)。ですが、今回我慢できずに聞いたらまたやってしまいました(高速の出口を間違えました)。と言うわけで、ポール(ビートルズ)のCDが出るたびに思ったことをメモって後でノートにまとめるのを常としていますが、今回はノートで8Pも書いてしまいました。これを全部この場で記入したら、
出入り禁止を喰らうのは必至なので一つだけ書きます。それは、アイルランドの符牒です。管理人さんもお好きな【ロンドンタウン】が分かり易いかも知れませんが、ポールの宇宙論的音楽世界の一端を確実に彩っていると思うのです。【NEW】でいうと、【アーリーデイズ】がそれです。
特に後半キーを変えて歌うところでは泣きそうになります。僕はポールの吟遊詩人的な顔が大好きです。管理人さんは、【刑事コロンボ】はお好きですか?第一部の78年作品【策謀の結末】でアイルランドの詩人が犯人役で出ています。この時、丁度【ロンドンタウン】が出ていたこともあって、この時ポールの側面をリンク的に意識しました。だから、ポールがC&Wを度々やるのは必然だと思うのです(その源流はアイルランド民謡ですからね)。因みに、僕も18日に行きます!前回は泣きっぱなしだったので今回はタオルを持っていきます(笑)。

2013-11-14 21:29 │ from マック小僧URL

マック小僧さん
コメントありがとうございます。おお、これはすごい。C&Wの源流はアイルランド民謡なのですか。『アーリー・デイズ』はポール初の(?)本格的カントリーソングだと勝手に思っていたのですが、そのルーツがポールが持つアイルランドの血にあると考えると空想が広がります。18日一緒に泣きましょう(笑)。私は1塁側スタンドちょい前のほうです。

2013-11-15 02:26 │ from 管理人URL

New

僕はこのアルバムを買って2週間くらい経つまでその魅力に気づきませんでした。
一番最初に聴いた時、テクノサウンドが多くポールらしくないという印象で正直買って後悔したような思いでした。
でも今はポールのアルバムの中で最も好きなアルバムの一つにまでなってしまいました。笑
聴く度に新しい発見が幾つもありそのたびに興奮させられ…改めてポールの凄さを実感しました。
最初は印象のないものが時間が経つうちに大好きなものになってるのはまさにポールマジックですよね。
ポールの凄さは、作曲能力の衰え知らずと、年を取っていっても進化し続けようとする精神にあると思います。
宣伝ではバックトゥザビートルズと謳われてますが、僕には"New"以外ビートルズサウンドではない気がするんですがどう思いますか?

いつか時間がある時で良いのでOff The Ground、Flowers In The Dirtのアルバム記事(ベストトラック等)も書いて欲しいです!お願いします(^.^)

2013-11-25 02:04 │ from TaishiURL Edit

Taishiさん
コメントありがとうございます。NEWはほんとに聴きごたえのあるアルバムですね。個人的には『アビイ・ロード』を初めて聴いたときに全く良いと思えなかったことを思い出してました。このアルバムも長く付き合えそうですね。
アルバムレビューは体力がいるので長いこと手つかずになってしまっているのですが、期待に応えられるようがんばりますね。

2013-11-25 03:13 │ from 管理人URL