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ポールのアルバム “McCartney(マッカートニー)” - Macca Go Go Go! ポール・マッカートニーファンブログ

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ポールのアルバム “McCartney(マッカートニー)”

いわずと知れた、ビートルズ解散後にポールが発表した初のソロアルバム。

アルバム全体のカラーはポールにしてはやや暗めの印象。
その主たる理由として考えられるのは、ビートルズ解散が決定的という状況の中で、大きなフラストレーションを感じながら製作されたアルバムということだろう。
実際、アルバムに収録されているどの曲についてもポールらしい明るさや、突き抜けるような爽快感が全く感じられない。
しかし、逆にその事がこのアルバムを特別な一枚にしているとも言える。

マッカートニーの楽曲が何かの理由で陰影の質を帯びるとき、突如として作品が輝きだすことがあるのだが、このアルバム“McCartney”は、その陰影という要素が当時の彼を取り巻く状況によって自然と生み出されたという背景がある。

ポールの44年に渡る音楽キャリアを俯瞰してみると、「競争」「摩擦」「苦悩」「挫折」「悲しみ」などが名作を生むキーワードであることに気付く。
僕自身は好調時の底抜けに明るいマッカートニーの作品群、たとえばアルバム“Venus and Mars ”や“Speed of Sound”なども大好きなのだが、やはり一般的に評価の高い作品といえば“Ram”(自信喪失)であったり、“Band on the Run”(メンバーの脱退)であったり、“Tug of War”(ジョンの死)であったりするわけだ。
久々に高い評価を得た“Chaos ~”にしてもプロデューサー、ナイジェル・ゴドリッチとの摩擦、軋轢という化学反応があってこそ生まれ得た作品であったことを忘れてはならない。

このアルバム“McCartney”もビートルズ解散という大きなフラストレーションの只中で、たった一人ぼっち(正確には二人ぼっち)で製作された。
心の支えといえば、世界でただ一人、愛妻のリンダのみという過酷な状況の中でこの作品は生まれたのだった。

ゆえに、このアルバムはリンダへ捧げる極めて個人的な曲で幕を開ける。
「ラララ、ラララ、ラララ、愛しいリンダ。
髪にかわいい花をつけている…。」

ある意味衝撃的なラブソングだ。

完全無欠の完成度を誇る後期ビートルズの作品群をリードしてきたあのポール・マッカートニーが、初のソロアルバムの1曲目に、鼻歌で即興的に作ったかのような曲を持ってきているのだから驚きである。
しかも、曲は唐突に始まり、笑い声で終わる。
まるで出来の悪いデモテープではないか。
いや、まさにデモテープそのままであろう。

つまりポールはアルバムとしての作品の出来を犠牲にしてまでも、愛妻リンダに対する感謝の気持ちを不器用ながらも、純粋かつシンプルに表現したのだった。
ビートルズを失い、ジョン・レノンという盟友さえをも失ってしまったポールにしてみれば、リンダこそが唯一音楽を続けることを可能にする最大の原動力であったわけだ。

アナログ盤“McCartney”の裏ジャケットにはたしかLindaという名前の上に大きな赤いハートが付けられていたと記憶している。
そして、ジャケットを見開くと一面に隙間なく並べられたポールとリンダ、そして子供たちの写真。
世間の喧騒を離れ、人間ポール・マッカートニーを取り戻そうとする姿がそこにあった。
商業主義に踊らされることなく、音楽を少年の頃のように楽しもうとする姿がそこにあった。

ポールが生来持つ底抜けの明るさが、ストレスやフラストレーションによって中和されるとき、そこに見事なまでのハーモニーが誕生する。
それゆえ、いかにこのアルバム“McCartney”が遊び心満載のプライベートな作品であったとしても、至るところに天才のきらめきが感じられるのも、また確かなことである。

最後にこのアルバムは、ほとんど全ての楽器をポール自身が担当したという側面から見れば、ロック史上稀にみる異色作品でもあることをここに記しておこう。

“McCartney”で好きな曲ベスト5
1.“Maybe I'm Amazed” 1曲だけ突出した名曲。ビートルズのどの曲にも負けない輝きを持つ。
2.“Momma Miss America” ポールのインストゥルメンタルで一番好きかも。
3.“Junk” やはりこれは外せない。“Singalong Junk”も負けないくらいによい。
4.“Every Night” 艶っぽいヴォーカルが光る!
5.“Man We Was Lonely” ポールらしい必殺のメロディーライン炸裂。

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コメント
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ジャケットの意味が・・・

私は「That Would Be Something」も好きです。
もちろん一番は「JUNK」ですが。。。

あのジャケットは何なのでしょうか?
ポールマニアの間では常識なのでしょうが・・・(^^ゞ

2006-04-26 23:59 │ from wonderlastURL Edit

Re:ジャケットの意味が・・・

>あのジャケットは何なのでしょうか?
>ポールマニアの間では常識なのでしょうが・・・(^^ゞ

たしかどこかで読んだ記憶があるような…。でも、忘れてしまうくらいですから、たいした意味はなかったと思いますけど。僕は裏ジャケのほうが好きでしたね。

“That Would be Something”ですか。渋いところきましたね。僕も好きです。

2006-04-27 08:41 │ from 管理者URL

実は最初は・・・

私は「Jet」からポールをリアルタイムで聞いてます。(ビートルズはその前に少し聞いてましたが。)
なので、最初に買ったアルバムは「バンドオンザラン」。「こら、ごっついわ!ポール全部揃えよう」ってことで次にこの「マッカートニー」を買いました。

そう。順番逆ですよね。

最初の印象は「何じゃこりゃ?」でしたね。
「こんなんで金取るんかい!」って・・・(^^ゞ
Maybe・・・しか印象に残らなかった。
今では大好きなアルバムです。

2006-04-27 12:13 │ from wonderlastURL Edit

Re:実は最初は・・・

wonderlastさんは僕より一つお兄さんですが、バンド・オン・ザ・ランからリアルタイムですか。早熟ですねえ(笑)。僕はロンドン・タウンからがリアルタイムですから。
ポールの最高傑作であるバンド・オン・ザ・ランをリアル・タイムで経験したかったという思いがありますから、うらやましい限りです。
wonderlastさんは入口がバンド・オン・ザ・ランでよかったわけですね。1枚目がマッカートニーだったらまた違っていたかもですね。
最初に買ったアルバムって大事ですよね。
僕がロンドン・タウン好きなのも、それが理由なのかもしれません。

2006-04-27 18:59 │ from 管理者URL

Teddy Boyも

ポールお得意の物語風歌詞のこの曲もヨロシおまっせ~

2006-04-28 19:08 │ from martin_d28URL

Re:Teddy Boyも

ビートルズの時に作られ、演奏されていますね。
アウトテイクにするにはもったいない名曲だと思います。

2006-04-28 22:22 │ from 管理者URL

何故か

JunkとSingalong Junkが、車の中でかかるとカーステレオのボリュームを上げたくなるのと同時に、車の窓を下げたくなります。
外にいる人に、「この曲いいでしょう?」とアピールしたくなります。
Maybe I'm Amazedも最高(僕は、ライブバージョンの方が好き)ですが、このアルバムの中でjは上記の2曲は、自分にとっては、特別です。

2006-04-28 23:51 │ from SHOWURL Edit

Re:何故か

Junk もMaybe I'm AmazedもシングルカットされてないのにWingspanに収録されてますからね。ポールもきっと好きな曲なのでしょうね。
ちなみにMaybe I'm Amazedは僕もライブバージョンは大好きです。Over AmericaとBack in the U.S.のが特によろしいです。

2006-04-29 17:11 │ from 管理者URL

お邪魔します。

このアルバムを初めて聴いたのは、確か中2のころでした。 当時の私は太宰治に傾倒するほどの暗い人間だったので(笑)、このアルバムの持つ、異様な 「落ち込み感」 は大好きでした(その傾向で中島みゆきサンも好きになっていたんですけど)。

特に、ビートルズ後期に向かって全開だった 「このバンドを引っ張ってるのはオレ」 みたいな鼻っ柱の強さがすっかり折れてしまっているのは、とても魅力で。 逆に言うとスッゴイそれって、意地悪な興味なんですけどね(笑)。

その傾向は、「レット・イット・ビー」 にも見られる。
ポールの一種独特のダウナーな感情は、この時期にしか発揮できないほどの輝きを放っているように感じます。
「レット・イット・ビー」 という楽曲が持つ最大の魅力は、この時期の悲しみ、怒り、やるせなさという感情を、ポールがもう二度と再現できないことにある、そう思えてならないのです。

それが最も端的に表現されているのが、「ジャンク」 であると私は思います。
この曲、広場に捨てられているごみくずに自らを重ね合わせるという、かなり悲痛な曲です。
「バイ・バイ」 というビートルズメンバーに、「なぜ?なぜ?」 と問いかけるポールの姿を、この曲を聞くたびに私は強烈に連想していました。 この曲を弾き語りしながら泣いたことも数度(恥ずかしっ!)。

でもこの曲の前の曲、「グラシズ」 も相当アブストラクトでありながら、寂寞感が支配している。 このアルバム全体が、そんな寂寞感に縛られているのです。 このアルバムはやはりポールのコアなファンでしかハマることのできない魅力にあふれていると思います。

ところでこのアルバムの内ジャケット写真に、「スタンディング・ストーン」 のジャケットと同じ写真があったのはご存知ですか? 「スタンディング・ストーン」 が発売された後、このアルバム(「マッカートニー」)の内ジャケットを見て驚愕いたしました。 まさかずっと温めていたのかな?なんて。

しかしこの内ジャケットに載っていたヘザー(リンダの連れ子のほうです)のヌード写真は、現在なら児童ポルノ法に引っかかってしまうのでしょうか…(笑)。

2010-08-25 11:56 │ from 橋本リウURL

リウさん
こんにちは。このコメントだけで一つの記事になってしまいそうですね。興味深い洞察をいつもありがとうございます。ビートルズやポールの写真があれほど数多く残されたのも、今から考えれば時代のおかげという面はありますね。肖像権やら、個人情報保護やら、この世界はどんどん住みにくい場所になるようです(笑)。

2010-08-26 19:36 │ from 管理人URL

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