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ポールのアルバム “Back to the Egg(バック・トゥ・ジ・エッグ)” - Macca Go Go Go! ポール・マッカートニーファンブログ

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ポールのアルバム “Back to the Egg(バック・トゥ・ジ・エッグ)”

ポールのアルバムの中ではかなりロックっぽい部類に入る作品である。1979年発売。

結果的には、これがウイングスのラストアルバムとなってしまったわけだが、このアルバムが発売になった当時は、ポールとウイングスはまだまだ精力的な活動を続けており、誰もこのアルバムが最後になるなどとは思っていなかったことを思い出す(当然僕も思っていなかった)。実際アルバム発売後にウイングスはイギリスツアーさえ行なっていたのである。

このイギリスツアーはアルバムと同じく、結果的にウイングスによる最後のツアーとなってしまった。その経緯についてはポールの音楽活動の中でもかなり重要な位置を占めるので、この機会に少し紹介しておきたい。

アルバム“Back to the Egg(バック・トゥ・ジ・エッグ)”発売後、1979年11月~12月にかけて母国イギリスで20回のコンサート・ツアーを敢行したウイングスは、翌1980年に日本を皮切りとするワールド・ツアーを計画していた。

以下がイギリス・ツアーで実際に演奏されたセット・リストである。

"Got to Get You into My Life(ガット・トゥ・ゲット・ユー・イントゥ・マイ・ライフ)"
"Getting Closer(ゲッティング・クローサー)"
"Every Night(エブリ・ナイト)"
"Again and Again and Again(アゲイン・アンド・アゲイン・アンド・アゲイン)"
"I've Had Enough(別れの時)"
"No Words(ノー・ワーズ)"
"Cook of the House(クック・オブ・ザ・ハウス)"
"Old Siam, Sir(オールド・サイアム・サー)"
"Maybe I'm Amazed(メイビー・アイム・アメイズド)"
"The Fool on the Hill(フール・オン・ザ・ヒル)"
"Let It Be(レット・イット・ビー)"
"Hot As Sun(燃ゆる太陽の如く)"
"Spin It On(スピン・イット・オン)"
"Twenty Flight Rock(トゥエンティ・フライト・ロック)"
"Go Now(ゴー・ナウ)"
"Arrow Through Me(アロウ・スルー・ミー)"
"Wonderful Christmastime(ワンダフル・クリスマスタイム)"
"Coming Up(カミング・アップ)"
"Goodnight Tonight(グッドナイト・トゥナイト)"
"Yesterday(イエスタデイ)"
"Mull of Kintyre(夢の旅人)"
"Band on the Run(バンド・オン・ザ・ラン)"

今見ると、とてもとても興味深い選曲となっている。最近の割と固定化(笑)したセットリストと違い、ファンなら目を丸くしてしまうような曲がいくつも並んでいる。特にリンダの“Cook of the House(クック・オブ・ザ・ハウス)”があるのにはびっくりさせられる。その他にも“No Words(ノー・ワーズ)”や“Hot As Sun(燃ゆる太陽の如く)”、“I've Had Enough(別れの時)”など、個人的にとても聴いてみたい曲が目を引く。“Wonderful Christmastime(ワンダフル・クリスマスタイム)”まであるのだから驚きだ。

上記のような曲がひょっとすると日本でも聴けたかもしれなかったかと思うと、1980年の日本公演中止はかえすがえすも残念でならない。そう、ポールは日本の土を踏むと同時に大麻不法所持の現行犯として成田空港で逮捕され、数日間の拘置ののちにイギリスに強制送還されてしまったのだった。

結局その後ワールド・ツアーを含む予定はすべて白紙となる。

このときの日本公演中止の知らせは、当時のポールファン、ビートルズファンに計り知れない衝撃を与えた。いかにファンといえどもとうてい容認できない行為であった。この出来事はもちろん世界中に大きく報道され、ポールはしばらくの間マスコミの前から姿を消すこととなる。

この1980年という年はビートルズファンにとっては悪夢のような年であったといえる。なぜなら、この年は日本でのポール逮捕事件だけにとどまらず、12月8日にはジョンが凶弾を受け突然他界してしまうという忌まわしい出来事が起こった年でもあるからだ。今思い起こしても、あの頃の記憶にはなにかしらどす黒い霧がかかっているように思われる。約30年という年月を経ても、未だに癒されない傷が僕たちの心の中には残っているのだ・・・。

このジョンの死をきっかけにして、ポールの活動は一つの大きな転機を迎える。ウイングスというバンドは自然消滅的に解散し、ポールは公の場にはめったに姿を見せなくなる。しばしば彼は二度とステージには立つことはないだろうという憶測も流れたが、それも無理のないことのように思われた。

しかし同時に、それはいみじくもソロ・アーティスト、ポール・マッカートニーの旅立ちをも意味していたのである。ビートルズ解散後、かたくなにバンドという形式にこだわり続けてきたポールが、この年を一つの区切りとして、本格的にソロとしての活動を開始することになったのだった。

さて、そろそろ話をアルバムのほうに戻そう。

タイトルはズバリ“Back to the Egg”(卵に還る)。ウイングスというバンドを率いて再び頂点へと登りつめたポールが、けっして現状に甘んずることなく、またしても原点へ戻ろうとする姿勢がこのタイトルには込められていると思う。こういう前向きなところは、いかにもポールらしい。

このアルバムの先行シングルとして発売された曲、それは“Goodnight Tonight”(グッドナイト・トゥナイト)/“Daytime Nightime Suffering(デイタイム・ナイタイム)”のカップリングだった。(オリジナルのアルバムにはこの2曲は収録されていなかった)
“Goodnight Tonight(グッドナイト・トゥナイト)”はポールが当時全盛だったディスコのリズムを取り入れた作品ということでかなり話題にはなっていたが、セールス的には中ヒットという感じで割と地味な売れ方をしていたと思う。むしろB面の“Daytime Nightime Suffering(デイタイム・ナイタイム)”のほうがポールらしいポップチューンということで評判がよかった。しかし、個人的には“Goodnight Tonight(グッドナイト・トゥナイト)”はビートルズ以降の作品の中で、最も好きな曲の一つである。この曲がもっと評価されてもいいのにと思う。

アルバムは、インストゥルメンタル・ナンバーの“Reception(レセプション)”に始まり、ポールにしては珍しくジャズっぽい雰囲気の漂う“Baby's Request(ベイビーズ・リクエスト)”で終わる全14曲から構成されている(ボーナストラックは除く)。

アルバムジャケットから推測するに、宇宙にいる何者かが地球のラジオ電波を受信(Reception/レセプション)するところからこのアルバムは始まる。そのままチューニングを合わせてゆくと、突然ソリッドなロック・ナンバー(Getting Closer/ゲッティング・クローサー)が飛び込んでくる、といった具合。そして、3曲目は再び雰囲気がガラっと変わって、ポールがショーの幕開けを優しく告げる…といった構成となっている。このあたり、ポールがある種のコンセプト・アルバムを意識してこの作品を作ったことがうかがえる。そして、アルバムの締め(ショーの最後)は“So Glad to See You Here(ソー・グラッド)”、アンコールは“Baby's Request(ベイビーズ・リクエスト)”という感じだ。

なかなかに見事な構成ではあるが、“Sgt. Pepper's/サージェント・ペパーズ”や“Abbey Road/アビイ・ロード”などに比べるとやや荒削りな印象があるのは致し方なしか…。しかし、ロックっぽい曲を中心にしながらもバラエティに富んだ13曲が詰め込まれたこのアルバムは、ポールの天性のサービス精神がいかんなく発揮されたなかなかの名盤だと個人的には思っている。試しに前述のシングル2曲と“Wonderful Christmas Time/ワンダフル・クリスマスタイム”をこのアルバムに加えでもしようものなら、きっと誰でもとてつもないポールの才能に圧倒されること間違いなしである。

結局ウイングスとしてはこのアルバムがラストになってしまったわけだが、僕個人としては、結果的にそれでよかったのだと思っている。なぜならウイングスというバンドの存在によって、ポール・マッカートニーという天才音楽家が持つ巨大な個性、創造力、そして豊かな才能といったものがかなり薄められていたという気がするからだ。仮にバンドを率いたとしても、ポールはワンマンでよいのだ。専制君主でよいのだ。民主的なバンドなどというのは単なる幻想にすぎない。いつの時代も芸術とは一切の妥協を許さないものだから。

好きな曲ベスト5
1.“Rockestra Theme(ロケストラのテーマ)”
  ロックのオーケストラというテーマを元にポールが生み出した全く新しいサウンドがこれ。この曲が初めてFMラジオから流れてきたときの感動と衝撃は今でも忘れない。アルバム“Wingspan(夢の翼~ヒッツ&ヒストリー)”に収録されているバージョンがベスト。

2.“Winter Rose/Love Awake(冬のバラ/ラヴ・アウェイク)”
  愛妻リンダに捧げた珠玉のラヴ・バラード。新婚旅行のときに作った曲と言われているが、約10年の時を経てこれだけの名曲を発表するあたり、いかにもポールらしい芸当である。

3.“Baby's Request(ベイビーズ・リクエスト)”
  しっとりとした雰囲気が漂う大人のナンバー。疲れた時に聴くと、ホッと身も心も癒される大好きな曲。ポールはこんな曲も書けるのだ。

4.“Spin It On(スピン・イット・オン)”
  理屈はいらない。とにかくゴキゲンなロックンロールナンバー。

5.“Getting Closer(ゲッティング・クローサー)”
  シングルカットされたがあまり売れなかった。が、個人的にはとても好きな曲だ。


参考:
“Back to the Egg(バック・トゥ・ジ・エッグ)”
“Wingspan(夢の翼~ヒッツ&ヒストリー)”

コメント
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またお邪魔します。
1979年発売当時、14歳だった私が生まれて初めて「予約して買った」レコードがこれでした。
リアルタイムでは「スピード・オブ・サウンド」あたりからフォローしていたのですが。
ウィングスのバンドとしては、この最終ユニットが、いちばん一体感があった気がします。
パワーがあって未知数の力を発揮していたのは、やはり「オーヴァ・アメリカ」の時のメンバーかな。
「バック・トゥ・ジ・エッグ」はご指摘の通り、「サージェント・ペパー」につながるトータル感を出してましたね。
ジャケットのリンダのケバい姿にショックを受けたことを思い出します(笑)。
あのころは、ポールの奥サンだったにもかかわらず、リンダがちょっと、好きでした(恥ずかしっ!)。
アルバムとしては、今野雄二サンの解説が、ちょっとウザかった記憶が(笑)。
ジョンのソロアルバムの日本語訳では、いい味出してたんですけどね、今野サン。

2010-03-31 21:58 │ from 橋本リウURL

橋本さん
コメントありがとうございます。笑わせてもらいました。リンダがちょっと好きだった、というあたりと、今野雄二さんがちょっとウザかった、というところが(笑)。私も若かりし頃はリンダの巨大なバストに頭がクラクラした記憶が…。みんなそうして大きくなってゆくんですねえ。今野雄二さんはテレビなどでもかなり露出の多い評論家(?)の1人でしたね。ま、同時代でなければわからない話題ですね。嬉しいです。
ちなみに、リンダはバッチリ化粧をしたらすごい美人だったと個人的には思います。

2010-03-31 23:55 │ from 管理人URL