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“Memory Almost Full” 寸評その2 - Macca Go Go Go! ポール・マッカートニーファンブログ

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“Memory Almost Full” 寸評その2

世界最高のマルチプレーヤーの証明

マッカートニーバンドのメンバーがいくつかの楽曲で参加してはいるものの、前作“Chaos and Creation~”に続き、基本的にほとんどすべての楽器をポール自身が担当している。
そしてポールは今回も世界最高のスーパーマルチプレーヤーであることをはっきりと証明した。
ただ単にテクニカルな意味でいえば、ポールを凌ぐマルチプレーヤーは存在するかもしれない。しかし、クリエイター兼マルチプレーヤーという意味では、ポールと比較しうるのは世界広しといえども只一人スティービー・ワンダーぐらいのものだろう。

演奏面で僕が最も感銘を受けたのは、ポールの絶妙なギターワークである。
まさに匠の技とでもいうのだろうか。曲によって音色や奏法を縦横無尽に使い分け、いわゆる独特のマッカートニーサウンドを生み出している。
ジョンは生前ポールのギタリストとしての力量を非常に高く評価し、当時存在したギター・テクニックの半分はポールが初めてやったものだとさえ豪語していた。比較的ポールの事をほめることの少なかったジョンにしてみればこれは特筆すべきことで、いかにポールが斬新なギタリストであるかを如実に物語るエピソードである。
ただ、ジョンは同時に「ポールはギターの演奏に関しては驚くほど消極的なんだ」とも語っており、このジョンの発言はそのままポールのソロキャリア全般に当てはまるように思われる。つまり、いくつかの例を除いて、ポールは自らのギターテクニックを前面に押し出したような演奏をあまり残していないのだ。

兎にも角にも、前作で完全なソロワークを再開したことがきっかけとなり、ポールはギタリストとしての隠れた実力を再び僕たちの前に示し始めたのだった。これは長年ポールを聴き続けてきた僕のようなファンから見ても実に新鮮な驚きであり、ポールの演奏者としての奥の深さを改めて再発見する機会を与えてくれた。

プロデューサーのデビッド・カーンは最近のインタビューで、“House of Wax”のギターソロのパートはポール自身が弾いたと語っている。もちろんこの曲のギターソロはアルバム全体の中でも最大の聴きどころの1つなのだが、本当にポール自身が弾いているのだとしたら、僕はまたしてもポールのギターテクニックの評価を大幅に修正せざるをえなくなるだろう。
これほどエモーショナルで力強いギターソロは、おそらくビートルズ解散後の全作品を見渡しても皆無と思われるほどで、これほどの事ができるならば、なぜ今までやらなかったのか?と逆に疑問符を投げかけたい気分になる。
たとえば“Maybe I'm Amazed”のギターソロならば、僕のような素人でもおそらくポールだなと想像はつくのだが、“House of Wax”ではそう簡単にはいかない。ラスティ・アンダーソンのギターと考えるほうがより自然に思われるのだが・・・。ともかく、この部分については正確な演奏データの発表を待ちたい。

本職であるベースプレイに目を移せば、大胆、重厚、かつセンス溢れるポール本来の奔放なプレイが復活したと見るべきだろう。“See Your Sunshine”がそのいい例である。

キーボードに関しては、ピアノの生音を十分に生かしたものから、シンセサイザー等を駆使して実に様々な音色を紡ぎ出している。また、ビートルズでおなじみのメロトロンも使用しているようだ。

ドラムス、パーカッションは技術的にポールが最も苦手とする分野と思われるが、曲に応じて十分に効果的な使われ方がなされていて、全く気になることはない。むしろ本職のドラマーがテクニックにかまけて曲を台無しにしてしまうよりはよほどいい事だと思う。
本来マッカートニーサウンドはヴォーカルがメインであり、楽器類は基本的に脇役なのだ。特にドラムスに関しては目立たないくらいのほうがちょうどいいと個人的には思っている。

ストリングスを初めとするクラシックの手法はポールが昔から得意とするところだが、以前にも増してうまい使われ方をしていると感じる。“Only Mama Knows”がいい例で、この曲を初めて聴く人は誰しもが度肝を抜かれるに違いない。

その他、ポールらしい遊び心だろうか、あちらこちらに効果音等が散りばめられていて聴く者を飽きさせない。

ポールがこのアルバムをほとんど一人で作り上げたという事実に、僕たち凡人はただ呆れかえるのみである。1つ1つの音が世界最高のマルチプレーヤー、ポール・マッカートニーによって生み出されたのだ。そう考えながらこのアルバムを聴くとき、さらに極上の時が僕たちを待ち受けていることだろう。
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