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“Memory Almost Full” 寸評その1 - Macca Go Go Go! ポール・マッカートニーファンブログ

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“Memory Almost Full” 寸評その1

パワフルかつ美しいヴォーカルの復活

最近ボブ・ディランも語っていたように、ポールは本来シンガー、ヴォーカリストとしても他の追随を全く許さない存在だった。少なくとも70年代後半までは。
しかし、80年代以降は徐々にではあるが声の衰えが作品の質にさえ影響を与え始めるようになる。
特にライヴにおいては声の衰えは顕著で、ポールならではの美しいヴォーカルは2度と再び蘇ることはないだろうと思われたほどだ。(“Tripping the Live Fantastic”を聴いてみてほしい。観客の熱狂とは裏腹に、ポールの声の状態がかなりひどいことがわかるはずだ。)

スタジオ録音アルバムでは特に2001年発売の“Driving Rain”が良くなかった。このアルバムでのポールの声はまさに“ガラガラ”。
一発勝負のライヴ・パフォーマンスとは違い、スタジオ録音盤でのヴォーカルの出来の悪さを肯定的に捉える余地はなかった。僕自身この時ほどポールのヴォーカリストとしての限界について深く考えたことはなかった。どんなにいい曲を作ったところで、肝心のヴォーカルが不完全であれば、曲のすばらしさは半減してしまう。
実際、90年代以降のライヴで歌われた“Get Back”や“Let It Be”などはビートルズ時代のポールのヴォーカルには遠く及ばないものだ。

しかし、不思議なことに“Driving Rain”以降、ポールのヴォーカルは少しずつ回復し始めるのである。
ライヴでは、“Back in the U.S.”が“Wings Over America”以降最も優れたヴォーカル・パフォーマンスを収録したライヴ・アルバムになったし、続いて発表されたスタジオ録音盤“Chaos and Creation in the Backyard”では、全盛時のポールを思わせるヴォーカルをそこかしこに聴くことができた。

60歳を超えてなおも進化を続けるポール・マッカートニー。そこに僕は神がかり的なものを見た思いがしたものだ。果たして神はポールに何度目かの大仕事を与えたもうたのか?
真実は神のみぞ知る、というところだろう。

しかし実際、こうして届けられた新作“Memory Almost Full”において、僕たちはさらに進化したポールのヴォーカルを聴くことになるのである。いったいこんな事を誰が予想したであろうか?

ニューアルバムで聴けるポールのヴォーカルはとにかくすばらしいの一言。
僕が最も驚いたのは“Mr. Bellamy”の美しいファルセットヴォイスで、この曲のポールの声はもうすぐ65歳という年齢など微塵も感じさせない。これを奇跡と呼ばずして何と呼ぼう?
もちろん、それだけではない。いくつかの曲で、聴かせるパワフルなシャウト、そして雄叫び!忘れちゃ困る。ポールは世界最高のロッカーの一人なのだ。
もちろんバラードで見せる時に甘く、そして時に切ないヴォーカルも健在だ。
そしてコーラスワークのすばらしさ。リードヴォーカルだけではなく、自らをフィーチャーしたコーラスの職人芸も忘れてはならない。

もちろん全体的に見れば、20代の頃のヴォーカルに及ばないのは当然の事である。しかし、少なくともこのアルバムで、ポールはあと少なくとも10年は現役で歌い続けることができることを証明した。
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